総務委員協議会(2)長期財政の見通しについて 質問の内容
(2)長期財政の見通しについて
質問1
長期的な財政見通しを持って市政を運営することは、当然、必要なことであるが、現在は特に重要な意味があると思う。枚方市駅周辺再整備、特にすでに着手されている③街区に加えて、②、④、⑤街区にまたがる再整備に莫大な市費を投入することが計画案として出されていて、その財源を確保するために、人件費の削減や市民負担の増につながる行財政改革を進めるというプランが示されている。
この長期財政の見通しとこれまでのプランの説明とのつながりをきちんと見ておきたいとの観点から、いくつか確認をさせていただく。
まず、今回策定した長期財政の見通しでは、行財政改革プラン2020に掲げている行革効果額について、どういった内容でいくらの効果額が反映されているのか。
また、上下水道料金の福祉減免の廃止を含む市民負担の引き上げなど、行財政改革プランで「見直しに向けた検討」と継続検討とした項目の効果額は反映されていないということでよいか。
回答1
今回の長期財政の見通しでは、行財政改革プラン2020に掲げる課題やそれ以外の取り組みとして、繰出金の抑制や経常経費の見直し(※詳しく)を中心に4億1,000万円の効果額を見込んでいる。
なお、上下水道料金の福祉減免制度の見直しなど、継続検討となった内容は含まれていない。
質問2
11ページに長期財政収支の見通しが記されている。令和2年度当初予算案において見込んでいる4億1,000万円の効果額が反映されているが、行財政改革プランの効果額すべてではない。また、プランで「継続検討」とした項目の効果額は反映されていないということである。
長期財政の見通しでは、投資的経費については詳しい説明があるが、物件費等、経常的な経費については、入・出ともになかなかわからないので、非常に大きな影響がありそうな項目について、確認をさせていただく。
総合文化芸術センターの事業費(投資的経費)は令和2年度に約80億円が見込まれており、非常に大きな財政負担が生じることとなっているが、整備後、開館後の運営経費(物件費)についてはいくら見込まれているのか。
回答2
総合文化芸術センターの運営経費については、令和3年度以降、これまでの運営経費に加え、毎年約3億円の支出を見込んでいる。
質問3
「物件費」にも大きな支出が予定されている。「投資的経費」についても、70億円を基本額として見込んでいるものの、今後さらに公共施設の老朽化などにより財政負担は増大し、状況によっては70億円では不足するかもしれない。また、追加の行政需要や予期せぬ税収の落ち込みなどもあるかもしれない。その上で、実質収支については、期間を通じ10億円台の黒字を維持できるとの説明である。
10億円台の実質収支黒字を確保するために、投資や経費をコントロールする考えなのか。必要性や優先順位はどんなものなのか。この10億円台の実質収支黒字という数字は確固たるものではなく、あくまで現時点で想定できる条件をもとに算出した、いわばシミュレーションに過ぎないのではないか。
もし、想定より収支が悪化する場合についてはどのように対応していく考えなのか。
回答3
実際の財政運営を進めるうえでは、毎年の財源状況や収支状況に十分に留意しながら取り組んでいく必要があると考えている。そのためにも不測の事態への対応として財政調整基金について一定規模の残高を維持していく必要があると考えている。
意見
今回の長期財政の見通しでは10億円程度の実質収支の黒字は維持できる見込みとなっているが、私としては楽観的な見方をしている面があるのではないかと感じている。経済成長率が見込まれない場合の市税収入で試算されている表も掲載をされていますので、財政課としても危機感はもちろんお持ちであると思う。
格差の拡大や度重なる自然災害の脅威から、安心して暮らしていくことができるまちをつくるために、必要な施策のための財政出動は必須である。先送りをしているのではないか、いま取り組んでおかなければいけないのではないかという、この表に現れていない施設更新コスト、例えば、まだ方針の決まっていない屋外プールを含めた王仁公園のリニューアル、学校プール施設の更新、市民会館大ホールなどの解体費用などもあるのではないかと考える。
そのような状況のもとで、現状の収支見通しを確認すると、市駅周辺再整備については、③街区の整備だけでも財政的には限界であり、その上に、さらに②、④、⑤街区に着手する体力はないのではないかと思う。少なくとも、②、④、⑤街区を含めた枚方市駅周辺再整備計画を実施できる財政的な見通しを示せていないということは明らかではないか。
この点については別途議論が必要であると思うが、今後は、さらに詳しい中身がわかるような財政見通しの説明にも取り組んでほしいとお願いする。
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