1人でも多くの人が「香害」への理解を深めることが大切です。誰にでも発症の可能性があり、一度発症すると、微量でも反応してしまう化学物質過敏症には、特効薬もなく、原因物質を遠ざけることしかありません。患者は推計100万人以上。
枚方市議会議員の奥野みかです。
毎日新聞の医療プレミア(2021年10月6日)に「柔軟剤や化粧品の香りでも体調不良に 化学物質過敏症」という記事が掲載されていました。
柔軟剤や化粧品などの「香り」に含まれる化学物質に反応して発症する体調不良を訴える人が増加しています。
発症の仕組みは完全には分かっていないようですが、化学物質過敏症は、頭痛や吐き気、筋肉の痛み、倦怠感など、さまざまな過敏症状が現れ、一度発症するとその後は微量でも反応し、その他の化学物質でも症状が悪化することもあるようです。診断に至らない人も含めると、化学物質過敏症の患者数は、子どもから高齢者まで、100万人以上とも言われています。
化学物質過敏症は、周辺環境に求めるべき課題が多い半面、まだ社会的な認知が低く、住民トラブルになったり、周囲の理解不足による孤立に悩む人もいます。こうした悩みに対しては、民間の支援センターや相談窓口も設置されています。
今年2月26日、国会で立憲民主党の議員(大河原雅子議員)が文部科学大臣に「香害」について質疑し、大臣から「香害」で健康に害が出ていて学校に行けない児童がいるのは極めて重い課題である、という答弁を引き出し、関係省庁で連携して情報共有などをしていくという政府の方針を確認したとのことです。また、その後の国会での質疑応答で、文部科学省が地方自治体へ「香害」問題への取り組みを促すという答弁もあったとのことです。
▶ 第204回(衆)予算委員会第四分科会 2021/02/26 大河原雅子議員(立憲民主党)
【萩生田国務大臣答弁(※抜粋)】
学校においても香料等に起因して健康不良を訴える児童生徒がおり、その原因等については現段階においては明らかになっていないものと承知をしております。
文部科学省においては、各学校において、個々の児童生徒等の実情に応じて個別の配慮が適切に行われるよう、いわゆる化学物質過敏症について取り上げた参考資料の作成や、教育委員会や養護教諭等を対象とした研修会などを通じて周知を図っているのが現状です。
においというのは人によって好き嫌いがいろいろあるかもしれないんですけれども、実際に体に異常を来して、ましてや学校に来れなくなるという児童がいるというようなことだとすれば、これは極めて重い課題だというふうに思います。
五省庁の担当者会議は外部の意見を直接伺う場ではないのですが、各省庁の情報共有を行う場であると承知しておりますので、本日先生から賜りました御意見や御指摘について、今後、担当者会議においてしっかり共有をしてまいりたいと思いますし、また、各教育委員会からも様々な情報収集をしてまいりたいと思います。
そもそも、この問題が国会で取り上げられる以前から、札幌市や世田谷区、東京都などで「香害」についての問題提起や「香害」の防止などの呼びかけや対策が行われていたようですが、文部科学省が「香害」問題の解決に各地方自治体の教育委員会が動くよう「お墨付き」を与えたことの意味は大きいと言われています。
「香害」に悩む人たちは、政治や行政が乗り出して企業や製品を規制し、安全性を担保できるようにするべきという声が多いようですが、そもそも「香害」という問題があることを周知し、認知度を広めていくことが必要です。
様々なメディアにも取り上げられているようです。
▶ 香害 被害者が全国組織 柔軟剤など化学物質で体調崩す 仕事、学業に支障「危険性知って」:東京新聞 TOKYO Web_2021年8月12日
▶ コロナ時代に「香害」を考える〜被害者の声に行政も動き始める:石田雅彦_2021年6月24日
香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを、国の5省庁(消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省)が連名で作成、発行しました。周囲に理解されずに苦しんでいる人にとって、このポスターは特別な人の話ではないということを伝えることができるでしょう。
▶ その香り困っている人がいるかも?_(2021年8月13日)
様々な化学物質過敏症がありますが、「香害」という問題があることが認知され、困っているということが発信できるよう、そして、学校現場など「香害」の防止などの対策が進むことを願います。