10月7日、決算特別委員会5日目(特別会計・企業会計)における私の質問内容の報告です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
10月7日、決算特別委員会の最終日(特別会計・企業会計)は、在宅医療・介護連携推進事業(介護保険特別会計)と、地域医療支援病院である市立ひらかた病院についての質問を行いました。
「地域包括ケアシステム」の実現のためにも、さらなる充実が求められる「在宅医療・介護連携推進」について、枚方市医師会をはじめとする関係機関のさらなる連携に努めていただきたいこと、ACPの推進のためにも「保健・医療・介護・福祉の連携強化」が求められること、そして、地域医療の推進のため、地域の医療機関との緊密な連携のもと、市立ひらかた病院が「地域医療支援病院」としての責務が果たせるよう、市立ひらかた病院に対する「公的支援」に、市はしっかりと取り組んでいただきたいことを要望しました。
「地域包括ケアシステム」の2025年の実現を目指すというのに、今回の決算においても大きな前進を示せていないのは、実は何もコロナ禍のためだけではないと考えます。「民間依存路線」は、裏返せば、公共の機能劣化を進めることに他なりません。公共によるイニシアティブ抜きに、在宅医療・介護連携も、ACPも具体化することはないと思います。繰り返し要望していますが、公共によるイニシアティブが絶対に必要な政策分野であるわけですから、地域医療の推進に関する専門の部署の設置は不可欠であると考えます。
今回の質疑の中で、市立ひらかた病院の林病院長からは、地域医療の中核である公立病院として果たすべき役割・使命について熱く語っていただき、地域の医療機関との緊密な連携のもと、「地域医療支援病院」としての責務が果たせるよう努めていくとも答弁いただきました。市立ひらかた病院は、公立病院であり続けたからこそ、感染症医療という政策医療と、通常医療における地域での中核医療機関「地域医療支援病院」という役割を獲得し得たわけです。
超高齢化が進む中、安全・安心に過ごせるまちづくりにおいて極めて重要な「在宅医療・介護」の推進、そして、感染症医療をはじめとする政策医療を推進するという課題に向けた取り組みを前へ進めるためには、「民間企業に任せることが秘訣」などという伏見市長の「民間依存志向」発想を根本的に改めてもらうことが必要であると最後に意見しました。
※以下、C日程での質問の詳細を記します。
(1)介護保険特別会計の「在宅医療・介護連携推進」事業について
O.私の意見
介護保険特別会計の「在宅医療・介護連携推進」事業の目的や委託料 4,266 万 1,250円の内訳、枚方市医師会への委託内容等については、先の田中委員への答弁でよくわかった。市のホームページには、「地域ケア推進実務者連絡協議会」の会議資料として、「令和3年度の在宅医療・介護連携の推進について(令和4年3月)」が掲載されていて、答弁のあった枚方市医師会への委託内容も記されており、非常に興味深く拝見させていただいた。引き続き、「在宅医療・介護連携」の推進をよろしくお願いする。
(※健康福祉総合相談課長の答弁【想定】)
在宅医療・介護連携推進事業は、医療と介護の両方を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、在宅医療と介護サービスを一体的に提供するために、居宅に関する医療機関と介護サービス事業者などの関係者の連携を推進することを目的とした事業である。
委託料の内訳としては、医療的見地から介護との連携を図るために医師会へ 571万 9,950円、社会資源の開発を目的として地域に根差した活動を主としている地域包括支援センターに 3,694万 1,300円となっている。医師会への主な委託内容は、地域の医療と介護の資源の把握や関係者間の情報共有を行うための冊子の作成や、在宅医療・介護連携に関する相談支援として、訪問看護師による電話相談、地域住民への啓発として、エンディングノートや人生会議の手引きの作成を委託している。
Q.私の質問
2021(令和3)年度は、第8期介護保険事業計画である「ひらかた高齢者保健福祉計画21」の初年度になるが、「地域包括ケアシステムの構築」、「地域包括ケアシステムの実現」に向け、第8期期間においては、「在宅医療・介護連携推進事業」の在り方が、非常に重要になってくると思う。「切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築 (看取りや認知症への対応の強化)」をめざし、PDCA サイクルをまわしながら、先にご答弁いただいた本市の地域の実情に応じた「在宅医療・介護連携推進事業」を、より柔軟に推進していかなければならない時期であると考える。
「保健・医療・介護・福祉の連携強化」、「認知症支援策の推進」等を進め、「これまでの地域包括ケアシステムの進化・推進」を図っていくのが第8期になると思うが、2020(令和2)年度と異なる2021(令和3)年度、第8期の取り組みとして、地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」、「生活支援体制整備事業」、「認知症総合支援事業」の中で取り組まれた特徴的な事業内容があればお示しいただきたい。
A.健康福祉総合相談課長の答弁
「在宅医療・介護連携推進事業」については、関係機関向けに作成している「医療・介護資源集」について、これまでの往診可能な医療機関の情報に加え、認知症に関する項目と訪問介護事業所の医療ケア対応の可否項目を追加した。
「生活支援体制整備事業」については、生活支援コーディネーターを中心に地域住民が主体となって、各地域における様々な課題を整理し、その解決に向けた取り組みを実施している。
「認知症総合支援事業」については、医師会会員向けに認知症に関するアンケートを行った結果、認知症サポート医を知らないと回答された割合が 60%、知っていても利用したことが無い割合が 90%であった。
この結果を受け、認知症疾患医療センター、認知症サポート医、かかりつけ医の役割や機能の周知、また現状の把握、機能の整理が必要と考え、今後は、認知症が心配になっても必要な医療・サービスが円滑に受けられる体制を目指すことを重点施策として位置づけ取り組んでいくこととした。
Q.私の質問
必要な時に医療やサービスが受けられる体制の構築とともに、私は、2019年12月議会において、最期まで自分の人生観や価値観、希望に沿ったケアを家族や周囲の人と話し合いを重ねる、ACP(アドバンス・ケア・プランニング=人生会議)に関する課題を検討していくことが重要であると意見した(一般質問「人生の最終段階の過ごし方を選択できる環境の整備について」)。
そこで、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)における、「保健・医療・介護・福祉の連携強化」に向けた取り組みについて、伺う。
A.健康福祉総合相談課長の答弁
2022(令和4)年3月の地域ケア推進実務者連絡協議会において、ACP(アドバンスケアプランニング)について、各機関での取り組み状況や課題共有を行った。その協議会での結果を踏まえ「ACPの必要性の伝え方が難しい」といった課題等に対応するため、2022(令和4)年度からワーキングチームを設置し、関係機関の取り組み内容について意見交換を図っている。
Q.私の質問
「医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることが出来るよう、地域内で助け合う体制」のことを「地域包括ケアシステム」といい、その「地域包括ケアシステム」というのは、「それぞれの地域の実情に合った医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」で、戦後のベビーブーム時代に生まれた、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人たちが、75 歳以上の後期高齢者となる 2025(令和7)年を目途に、地域の特性に応じて構築していくことが目標である、とされている。
最後に、「地域包括ケアシステム」の 2025年の実現を目指し、第9期計画に向け、市は、どのように取り組んでいくのか、伺う。
A.健康福祉総合相談課長の答弁
ひらかた高齢者保健福祉計画21 第8期計画に基づき、認知症サポーター養成数などの取り組み目標を踏まえ、本人の希望に応じて住み慣れた地域にできるだけ長く住み続けることができるよう、認知症における課題や、ACPの普及啓発など、地域ケア推進実務者連絡協議会を中心に、関係機関との連携も深めながら、保健・医療・介護・福祉の連携を強化した支援体制の構築に努めていく。
O.私の意見
私は、今、1点目に「在宅医療・介護連携推進事業」、2点目に「地域包括ケアシステムの構築」に向けた取組み、3 点目にACPにおける「保健・医療・介護・福祉の連携強化」に向けた取組み、4点目に「地域包括ケアシステム」の取り組みについて伺った。それぞれのご答弁を伺い、「やはりな」と思うとともに、とても残念な思いにもなっている。というのは、実際に何らかの体制や、実態づくりがうまく進んでいるようには、とても思えないからである。
1点目の、「在宅医療・介護連携推進事業」における医師会への主な委託内容は、結局、「冊子の作成」と「電話相談」、「手引きの作成」であった。
2点目の、「生活支援体制整備事業」については地域住民による取り組み、「認知症総合支援事業」については、医師会会員向けに認知症に関するアンケートを行っただけ、のように感じられた。
3点目の、ACP における「保健・医療・介護・福祉の連携強化」については、実務者会議での状況や課題共有を行っただけで、2022(令和4)年度からワーキングチームを設置して意見交換を開始するとのことである。
4点目の、「地域包括ケアシステム」の取組みについては、第9期計画に向けても、関係機関との連携で認知症における課題や ACP の普及啓発などに取り組むことぐらいのことしか描けていない。
この2年間については、新型コロナウイルス感染症対策のために、これらの課題への取り組みが思うように進められなかったことは充分理解している。しかし、一方で、コロナ禍により、さまざまな課題が可視化された側面も少なくない。これからは、もう一度、これらの課題について、地に足の着いた具体的な取り組みを進めなければならないと考える。
国全体も、であるが、枚方市における超高齢化も急速に進んでいる。コロナ禍を経験する中で、高齢者の皆さんの、医療や介護、そして自らの人生の最終段階、最期の迎え方に対する不安も高まってきている。
どのような最期を迎えたいかについて事前に考え、決めるということは、どう生きるかを考えることでもある。人生の最終段階の過ごし方を選択できる環境の整備は、待ったなしである。そのためには、枚方市医師会との強力な連携協力関係を是非とも早期に築いていただき、在宅での療養・在宅での看取りを支える在宅医療体制の整備に努めるとともに、市としては、地域医療の推進に関する専門の部署を設け、支援体制を強化していただくことが重要であると考える。そして、そのことは、2019年12月議会においても要望をし(一般質問「人生の最終段階の過ごし方を選択できる環境の整備について」)、「在宅医療体制を構築するにあたっては、本人意思を尊重する観点から、様々な部署や関係機関と多角的に連携を図るように考えていきたい。」と長澤副市長から答弁をいただいたが、さて、なかなか進んでいるようには思えない。市の部署も、どこが担当されるのか、よくわからない状況は変わっていないので、是非とも、地域医療の推進に関する専門の部署の設置を重ねてお願いしておく。
国の交付金を活用して、何かを配るような事業ではないので、一気に何かができるというものではないことも理解している。地道ではあるが、担当される各部署のあらためての取り組みの強化をお願いして、在宅医療・介護連携推進事業に関する質問を終わる。
(2)地域医療支援病院である市立ひらかた病院について
Q.私の質問
北河内地域で唯一の公立病院である市立ひらかた病院は、「災害医療」、「救急医療」、「周産期医療」、「小児医療」、そして、「新興感染症」という 5事業の「政策的医療」に対応されている。2020(令和2)年度、2021(令和3)年度は、新型コロナウイルス感染症対応にご尽力いただいた。公的病院の果たす役割を再認識した、この「コロナ禍」であったと思うが、「新興感染症」、つまり、感染症対応医療は、特殊状況であるとはいえ、市立ひらかた病院にとっては、公的医療機関として、平時の「通常医療」に戻った後も、政策的に担当いただく分野でもあるわけである。これからも、引き続きよろしくお願いする。
しかし一方では、現在、市立ひらかた病院は、極めて「特殊な医療」から、徐々に平時の「通常医療」に戻すプロセスに入っておられるのではないかと考える。
したがって、「新型コロナ対応医療」の中で、結果として充実することのできた医療資源、つまり、治療用の医療機器や検査機器等のハード面、あるいは、療養体制等のソフト面など、通常医療、それこそ、2021(令和3)年3月に承認を受けた「地域医療支援病院」の機能強化にどう活かしていくかという視点も非常に大切ではないかと思う。
そこで、まず、2021(令和3)年度、資産購入費等で充実(整備)した医療機器(治療用の医療機器、検査機器)について、病院事業会計決算書の56ページに記載のある医療器具や庁用器具の内容と財源について、伺う。
A.経営企画課長の答弁
2021(令和3)年度では、委員お示しのとおり、「資産購入費」の医療器具購入費として、4億 2,488万 2,210円、84件の購入を行った。その主な財源としては、決算書の55ページのとおり、「企業債」が 3億 8,450万円、「補助金」で新型コロナ関連補助金として、国庫補助金が 510万円、府補助金が 7,748万 4,960円となっている。
Q.私の質問
84件の医療器具購入費、約4億 2,500万円に対して、約 8,300万円の国・府の補助金を獲得できているのであるが、これは通常ではありえない、ことである。いかがだろうか。
そのなかで、コロナ医療に大きく貢献した医療資源もあると思うが、コロナ医療での活用状況について、伺う。また、今後の一般診療に、これらの機器をどのように活用していくのかについても、伺う。
A.経営企画課長の答弁
新型コロナ感染症対応にかかる国・府補助金を活用して整備した医療機器は、回診用X線撮影装置や一般X線撮影装置の更新、超音波診断装置の追加購入など、10件となっており、いずれも新型コロナ感染症への対応に有効活用してきたところである。
これらの医療機器は、新型コロナ感染症の対応に特化した特殊機器ではなく、一般診療でも有用な機器であるので、新型コロナが終息した後においても、一般診療に有効活用していく。
O.私の意見
新型コロナウイルス感染症は、人によっては、肺炎、酸素不足、心臓病などの深刻な問題を引き起こす病気であるが、感染症医療、感染症対応医療といっても、診察・治療自体は通常医療と異なるものではない、と聞いている。
感染症医療は感染症医療、一般医療は一般医療と別々に考えてしまう傾向があるかと思うが、実は感染症医療と一般医療は地続きで、使用される各種医療機器にも、検査機器にも違いがあるわけではない。
ただいまご答弁にあったように、国・府の補助金を得て整備された医療機器は、回診用X線撮影装置や一般X線撮影装置の更新、超音波診断装置の追加購入などで、これらは通常医療においても、常に更新・充実させなければならない機器だったと思う。こうして充実することのできた医療機器を、「地域医療支援病院」としての市立ひらかた病院の医療充実に、ぜひ活かしていただきたいとお願いしておく。
Q.私の質問
次に、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるにあたっては、機器等のハード面の整備だけでなく、人的なソフト面に対応する整備も必要であったと考えますが、どのような措置をされたのか、伺う。
A.総務課長の答弁
新型コロナウイルス感染症患者の受け入れにあたり、コロナ感染症拡大時期には、職員の応援体制を整備のうえ、さらなる補充が必要となった際には、派遣職員を配置するなど臨機応変に対応してきた。
また、新型コロナウイルス感染症患者の対応に従事する職員に対しては、国・府からの補助金を活用し、「新型コロナ感染症に対処するための業務に係る特殊勤務手当」を支給、さらに令和3年11月に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」の一環として2022(令和4)年2月から9月までの間、国において実施された看護職員等処遇改善事業の補助金を活用し、本院の看護職員等に対する処遇改善措置を講じたところである。
O.私の意見
新型コロナに感染した患者を受け入れなければならない病院であるということで、看護職員等の医療スタッフには、大変大きな負荷がかかった。
看護職員等の離職状況は深刻な状況にならずに済んだのか等、離職率の現状や採用への影響、定着率等をここで伺うことはしないが、自らへの感染リスクだけでなく、家族への影響、そして過酷な仕事内容を思うと、医療スタッフの離職や、就職への躊躇があったとしても、これはやむを得ないことであると思う。
しかし、感染症に対応できる医療機関としての役割を果たそうとすれば、看護職員のみならず、さまざまな経験のある各種医療スタッフをしっかりと確保し続けられなくては、いざという時に、その機能を発揮することはできないと思う。そのためには、やはり、処遇を改善して使命感を持ったスタッフに多く集まっていただき、離職を減らして安心して働き続けていただくことが極めて重要であると思う。そして、そのためには、一時的な手当ての支給や処遇改善では不十分であると考える。
Q.私の質問
そこで、ただいまの答弁にあった、国の「看護職員等処遇改善事業補助金」について、2022(令和4)年9月までの間、とのことであるが、では、この10月以降の処遇改善については、まさに今であるが、どのように考えておられるのか、引き続き、処遇改善を実施されるのか、伺う。
A.総務課長の答弁
この国の補助金については、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として創設されたものであり、10月以降については、診療報酬の改定が行われることで財源が手当されたことから、看護職員についての処遇改善措置を実施することとし、先日、必要な予算措置についてご可決いただいたところである。【→議案第48号_2022(令和4)年度大阪府枚方市病院事業会計補正予算(第3号)】
O.私の意見
まさに今、であるが、この10月以降についても、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果を継続させるために「診療報酬の改定が行われることで財源が手当された」ことから、「看護職員についての処遇改善措置を実施」されるということである。これは、コロナ対策で頑張っていただいたことで実現できた「一つの前進」と捉えている。先ほどの各種医療機器や検査機器等のハード面における充実も、看護職員等の処遇改善というソフト面の充実も、直接的には感染症医療体制の充実を目的にした財源措置であったが、こうした医療基盤の充実を、市立ひらかた病院の「通常医療」、すなわち、地域医療を充実させるための中核的な役割を果たさなければならない「地域医療支援病院」としての市立ひらかた病院の充実に、是非、つなげていただきたいと要望しておく。
Q.私の質問
次に、医療相談と地域医療連携について、伺う。
2021(令和3)年度の予算特別委員会において、医療相談・連携室の医療相談員の設置体制について伺い、「医療相談員設置に対する負担金は、社会福祉士3名と専任看護師1名の合計4名に係る人件費分について、診療報酬上の入退院支援加算を上回る金額の交付を受けているもの」との答弁であったが、2021(令和3)年度の相談員設置体制の実績、また、相談実績や入退院支援の状況について、伺う。
A.医療相談・連携室課長の答弁
医療相談・連携室の医療相談員については、配慮を要する妊婦や小児への支援やがん相談支援センターの運営、入退院支援などの業務を行っている。
2021(令和3)年度の支援の実績としては、医療相談の件数は 2,170件であり、経済面に関すること、入院や受診について、制度やサービスについてなど、多岐にわたる相談に対応した。
また、入退院支援については、医療相談員3名に加え、看護師5名の8名体制で業務にあたっており、年間で 4,720件、月平均で 393件の支援を実施した。入院生活だけでなく経済的問題や介護に関することなど様々な相談にも対応し、その内容に応じた支援を行なうとともに、退院時には安心して退院後の生活を送っていただけるよう、転院や施設入所の支援、必要に応じて在宅療養に向けた在宅医・訪問看護事業所・福祉関係への連携調整など、できる限りトータルサポートが提供できるように取り組んでいる。
O.私の意見
先の質問で取り上げた「地域包括ケアシステム」の確立のためには、入院前支援、退院支援、在宅移行、在宅療養に向けた多機関との緊密な連携調整、在宅医療の後方支援がとても重要であり、その中で、市立ひらかた病院の医療相談・連携室が果たすべき公的な役割は非常に大きいものがあると考える。
新型コロナウイルス感染症対策としても、感染症治療が終了した、特に、要介護状態にある高齢者の退院支援、在宅移行には、医療・介護連携機能の強化が求められる。
切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築といった「在宅医療・介護連携推進事業」が取り組むべき課題とも通じると思う。
Q.私の質問
市立ひらかた病院において、コロナ対策にかかる補助金等で、結果として充実することができたと言える医療資源(医療機器・医療人材等)について、確認をさせていただいた。
今後、在宅医療との連携や、在宅でのみとりへの支援など、地域包括ケアシステムの確立のためにも、市立ひらかた病院が地域医療全体の中で果たす役割を高めていくことがますます強く求められていくと考えるが、「地域医療支援病院」としての市立ひらかた病院が、この後、どのように機能強化し、地域連携に生かしていこうとお考えであるのか、これについては病院長に伺う。
A.林病院長の答弁
地域医療を中心的に担う当院の使命として、コロナ診療に全面的に注力しつつ、通常診療をも疎かにすることなく励んでいくことが強く望まれている。北河内医療圏唯一の公立病院として担ってきた政策医療の機能を引き続き維持するとともに、地域で高度な医療を支える柱となる「急性期病院」としての機能を強化し、地域の医療機関の皆様との緊密な連携のもと、地域医療支援病院としての責務が果たせるよう取り組んでいく。
O.私の意見
地域医療の中核である公立病院として果たすべき役割・使命について、病院長に語っていただいた。感謝申し上げ、どうぞよろしくお願いしたい。
地域医療の推進、「地域包括ケアシステム」の確立のためにも、さらなる充実が求められる「在宅医療・介護連携推進事業」を委託されている枚方市医師会も、すぐ隣に来ている。保健所機能も保健センターに持って来られる想定である。保健所を有する本市において、実効性のある有機連携が可能となるよう、枚方市医師会をはじめとする関係機関のさらなる連携に、そして、地域の医療機関との緊密な連携のもと、市立ひらかた病院が「地域医療支援病院」としての責務が果たせるよう、市立ひらかた病院に対する公的支援に、市はしっかりと取り組んでいただきたい、とお願いをしておく。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって浮かび上がった日本の医療体制の問題点は、病床数自体は世界でも有数の多さなのに、少し感染が拡大するとたちまち対応できずに「医療崩壊」状態になってしまう脆弱さであった。これは、民間病院を優先し、公的病院を切り捨ててきたこの間の医療政策が招いた事態ではないかと思う。
伏見市長は、「民間にできることは民間に」という言葉を繰り返し使われている。地域新聞のインタビュー記事では、「持続可能なまちづくりの秘訣は、その道に長けた民間企業に任せ、知見と経験をふんだんに生かしていただく。行政は調整やサポートに徹することで成り立って行くと確信しています」と語っておられる。
超高齢化が進む中、安全・安心に過ごせるまちづくりにおいて極めて重要な「在宅医療・介護」の課題、そして感染症医療をはじめとする政策医療を推進するという課題に向けた取組みを前へ進めるためには、まず市長に、「民間企業に任せることが秘訣」などという発想を根本的に改めてもらうことが必要だと最後に意見し、私の決算特別委員会における質問を終わらせていただく。
▶ 2019年12月の定例月議会で「人生の最終段階の過ごし方を選択できる環境の整備について」、質問を行いました。
どのような最期を迎えたいかについて事前に考え決めることは、どう生きるかを考えることでもあります。市としては、地域医療の推進に関する専門の部署を設け、支援体制を強化していただくことを要望したところ、担当副市長からは、「在宅医療体制を構築するにあたっては、本人意思を尊重する観点から、様々な部署や関係機関と多角的に連携を図るように考えていきたい。」との答弁がありました。
▶ 2019年12月、枚方寝屋川消防組合議会で「高齢者の救急搬送について~心肺蘇生を望まない傷病者への対応、地域包括ケアシステムの構築に向けた消防機関としての関わり」について、質問を行いました。
人生の最終段階を迎える際の大きな問題とは、生活の場である自宅や施設で穏やかに最期の時を迎えたいと願い、その意思表示を行っている方であっても、救急車で病院に運ばれてしまうと、結局、望まない治療を受けることになってしまうことだと思います。地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みに対して、適切な救急要請や救急搬送・救急医療体制の確保のためにも、消防機関としての関わり(参画)について、積極的に対応をいただくこと等を要望しました。
※この後は余談ですが…、
今回の決算特別委員会の「在宅医療・介護連携推進事業」の一連の質問の流れについて、ですが、枚方市医師会への委託を最初に尋ねたため、健康福祉部・福祉事務所の健康福祉総合相談課が対応してくれました。ここはワンストップの総合相談窓口(福祉施策)ではありますが、私の質問の意図に対応していただくのであれば、本来的には、健康福祉部・健康寿命推進室の長寿・介護保険課(介護施策)や、健康福祉部・保健所の保健医療課(医療施策)に関係する質問であったと考えています。
縦割りの弊害も顕著で、「在宅医療・介護連携推進事業」の質問に対して、直前の委員には長寿・介護保険課長が答弁されていました。どこの部署にもそれぞれ多種多様なかかわりがあるとは思いますが、いったい、どこがマジ担当やねん、と思うところも少なくありません。
「在宅医療体制を構築するにあたっては、本人意思を尊重する観点から、様々な部署や関係機関と多角的に連携を図るように考えていきたい」と、2019年の12月定例月議会の一般質問の際に長澤副市長から答弁をいただきましたが、さて、なかなか進んでいるようには思えません。繰り返し要望していますが、公共によるイニシアティブが絶対に必要な政策分野であるわけですから、地域医療の推進に関する専門の部署の設置は不可欠であると考えます。