11月14日、枚方寝屋川消防組合の全員協議会が行われた後、災害情報収集用ドローンや京都市の訓練施設の視察を行いました。

2019/11/14

11月14日は、令和元年第3回枚方寝屋川消防組合議会の全員協議会が開催されました。

【案件】
1.枚方市、寝屋川市及び交野市における消防の広域化について
2.平成31年/令和元年の消防概況について(速報値)
3.警防活動及び訓練時における安全管理の徹底について
4.バイスタンダーの養成について
5.文化財建造物等の防火安全対策について
6.京都市伏見区アニメーションスタジオ爆発火災を受けたガソリンスタンドへの注意喚起について
7.IP電話からの119番通報について

以上、7つの案件について説明を受け、質疑応答がありました。

交野市との消防広域化については、検討委員会・幹事会を設置し、これまでに2回の幹事会でメリット・デメリットなどについて検討を行ってきているが、現時点では広域化の判断についての結論には至っておらず、この後、通常業務(予防)についても比較検証を行う、との報告でした。
議員からは、メリット・デメリットの内容の確認、消防力比較、今後のスケジュール等についての質問がありました。
一部事務組合か委託か、広域化の方式も含め検討中とのことでしたが、消防力の確保のためには働く消防職員の側からの検証もしっかり行っていただきたいことを私からは要望しました。

消防概況については、平成30年中の119番通報は過去最多の67,896件(災害による通報が42,484件、災害以外の通報が25,412件)、本年(1月1日~10月末)は54,769件(災害による通報が35,240件、災害以外の通報が19,529件)で、前年度同時期より1,823件の減少との報告でした。
議員からは、災害以外の通報を減少させるための取り組みやドクターカーの出動実績等についての質問がありました。
救急相談ダイヤルの活用等による災害以外の通報の減少は、効率的な消防力の確保や消防職員の負担軽減につながると思いますが、確実な災害通報によって救われる命を守るため、Net119等の緊急通報システムの普及啓発や緊急通報ができないIP電話等の周知等、災害通報の確保にも努めていただきたいことを私からは要望しました。

救急現場に居合わせた人(バイスタンダー)による応急処置により傷病者の救命率の向上が望まれることから、各種救命講習会、バイスタンダーのフォローアップ、子ども同伴を可能とした救急講習会、小中学生対象の「PUSH~いのちの授業~」等の実施についての報告には、実績や今後の取り組み等について多くの議員から質問がありました。平成30年中の各種救急講習会の受講者数は4,098人(165回)で、平成6年以降、累計で約16万人が受講。これ以外にも、認定された応急手当普及員による講習会が地域や職域で実施されているとのことでした。

以上のほか、今年に入り全国で警防活動時や訓練時の殉職という事故が発生しているなか消防組合として徹底されている安全管理についての報告、首里城跡の火災を踏まえて文化財建造物等の防火安全対策についての注意喚起を実施した内容の報告、京アニの爆発火災を受け、ガソリンの容器への詰め替え販売を行う場合の注意喚起や販売記録の依頼を管内ガソリンスタンドに行い、今後は「危険物の規制に関する規則」の改正を予定していること、インターネット回線を利用する050IP電話は119番通報などの緊急通報ができないことから、緊急時の対応方法について周知が必要である等の報告がありました。

 


 

午後は枚方東消防署において、PA連携の救助訓練&ドローンによる災害情報収集を視察しました。

無人航空機(ドローン)は、災害発生時、上空から情報収集・創作活動を行い、迅速な警防活動につなげていくことを目的に導入されたもの。ドローンの9割は中国産で、今回導入分も中国産。折りたたむとスーツケース程度。赤外線カメラ(サーモグラフ)による可視化が可能で、雨天時・強風時にも飛行が可能。ドローンに搭載したカメラにより、消防本部や枚方市・寝屋川市に画像伝送が可能であるとのこと。
今後、要綱・マニュアルも作成し、パイロットの養成も行いながら、運用の開始に受け準備を進めていくとのことでした。

 


 

その後、京都市消防活動総合センター(京都市南区)に移動し、視察しました。
京都市消防活動総合センターは、「活動支援施設」「消防学校」「訓練施設」の3つの機能を有する施設で、平成21年4月にグランドオープン。背景には、平成7年の阪神淡路大震災の後、京都で400隊1,800人を収容できるスペースを確保することが求められたとのこと。
大規模災害発生時に、交通アクセスがよく全国からでも参集しやすい拠点となる場所にあるセンター。施設のコンセプトは、大規模災害時の活動を支援できること、消防職員・消防団員が平常時においても訓練できること。大規模発生時に、平常時の「活動支援施設」「消防学校」「訓練施設」は、それぞれ、「後方支援施設」「作戦情報室」「緊急消防援助隊終結場所」となるとのことでした。
実際、平成23年3月11日のの東日本大震災の時には、九州などから被災地に入る際の中継地として、屋外訓練場には消防車両が多数並び、消防学校の寮は宿泊施設として活用されたとのことです。

基本的な訓練技術を学ぶ訓練施設。
潜水プールは水深10m。池や川の深度は10mがほぼ最深。気泡発生装置で視界を悪くして、水難救助の訓練ができます。

センターの実火災訓練室は、室内で少量の可燃物を燃焼させて大きな火をおこすパターン。効率的・効果的に繰り返し訓練できる、片付けが簡単であることが特徴とか。可燃物は、稲わらと北山杉とのことでした。
できれば頭に濡れたタオル等を被り、口を手で押さえ、姿勢を低くして、と実火災訓練室からの避難も体験させていただきました。

実際の消火活動を終えた後の防火服&マスクの展示がありました。

街区訓練場の訓練用建物は可動式なので、レイアウトを変更しての訓練も可能。


消火栓・防火水栓は上下水道につながっておらず、井戸水や雨水を消火水として活用し、グレーチング等に流れた水をろ過して再使用しているようです。総合訓練等の一面はマンション外装仕様、一面はオフィスビル仕様等の工夫も。


平成25年の台風第18号で初の大雨特別警報が発令されましたが、水災害対応訓練施設は、水災害に対する訓練を強化するため、小学校プールの4分の1程度の大きさの施設が設置され、水没した車からの救出や浸水ドアの開閉訓練もできるようです。


救助に当たられる方の安全も確保しながら、助けられるいのちが確実に助かるためには、訓練設備の充実も重要だと改めて思いました。枚方寝屋川消防組合の消防職員数は京都市消防局1,600人の約3分の1。せめてこの3分の1の広さの訓練施設が確保できればと思う、と消防本部の方がポロリ…。

京都市消防局についても、適正配置の名のもと、消防職員数の削減が行われているようです。救急を増やして、消防を減らしているけれども、なかなか救急需要に対応する人員の確保は難しいとか。
また、増加する救急需要に対応する取組として、出動件数の多い昼間時間帯に、即応性を確保した「日勤機動救急隊(愛称:モビリティ・アンビュランス)」の運用について、2019年4月から始められているようです。育児等の事情で交替制勤務が困難であった職員も災害現場活動に従事できる、働き方改革の一環としての実施とか。
京都市では民泊が急増、防火対象物の立入検査が4000件を超えるとか。予防業務として行う防火対象物の立入検査にも対応できるよう再任用雇用を活用しているとの報告もありました。

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