11月25日、教育子育て委員協議会が開催され、7案件の協議が行われました。「こども施策に対するこども等の意見の反映」を掲げるこども基本法の趣旨が反映されているのか。まずは「(仮称)枚方市こども計画(素案)について」の報告から。(教育子育て委員協議会報告①)

2024/11/25

枚方市議会議員の奥野みかです。

11月25日は教育子育て委員協議会が開催され、7件の案件の審議が行われました。今年度、「教育長」が不在の中での3回目の開催となります。理事者側は清水副市長の挨拶のみでした。

理事者からは、9月17日にオープンしたステーションヒル枚方の行政サービスフロアの市立図書館の新たな試みについて、また、ラポールひらかたに児童福祉育成拠点「ふらっと」が整備され(10月)、居場所の選択肢が増えたこと、さらに、11 月 9日に磯島小学校の渡り廊下天井の一部コンクリート片が落下する事案を受けて、市内全小中学校の校舎最上階の天井ボードの点検を行うことなどの報告がありました。

さて、今回、提出された案件は次のとおり。

【案件名】

(1)(仮称)枚方市こども計画(素案)について[資料
(2)東部エリアにおける臨時保育室の開設について[資料
(3)枚方市教育振興基本計画の見直しについて[資料
(4)市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について[資料
(5)中学校全員給食について[資料
(6)枚方市支援教育充実審議会における検討状況について[資料
(7)(仮称)枚方市児童の放課後を豊かにする行動計画(素案)等について[資料

 

各案件の詳細について、順次報告していきます。
なお、それぞれの案件のタイトル部分をクリックすると、枚方市HP「枚方市議会/議会資料室」にアップされた資料にリンクします。

 


 

(1)(仮称)枚方市こども計画(素案)について[子ども青少年政策課]

2023年4月1日に施行されたこども基本法において、国のこども大綱や都道府県こども計画を勘案の上、市町村こども計画を策定することが努力義務とされた。これを受け、2024年3月に(仮称)枚方市こども計画の策定について、「社会福祉審議会 子ども・子育て専門分科会」へ諮問。今回、同分科会においてまとめられたこども計画の素案の内容について報告するもの。(今後の進捗管理も同分科会)

「子ども・子育て支援事業計画」、「子ども・若者育成計画」、「ひとり親家庭等自立促進計画」の3計画を一体のものとして策定。2025年度を始期とした5年間の取り組み内容となる。
なお、こども基本法第11条において、「こども施策に対するこども等の意見の反映」が定められていることから、子ども・若者、子育て当事者、その他の関係者の意見を聴き、政策に反映するため、子ども・若者等からの意見聴取も実施→計画(案)5ページ参照

◇こども計画(素案)

 

奥野の意見

「子ども・子育て支援事業計画」、「子ども・若者育成計画」、「ひとり親家庭等自立促進計画」の3計画を一体のものとして策定してということで、諮問された子ども子育て専門分科会には、「子ども・若者育成計画」の進捗管理を行ってきている枚方市青少年問題協議会の会長「ひとり親家庭等自立促進計画」の進捗管理を行ってきている児童福祉専門分科会の会長臨時委員として加わり、審議を重ねてこられたと聞いています。これだけの計画書をまとめることは本当に大変なことで、網羅的、総合的な計画になっているかと思います。

しかしながら、結局、市は、子どもたちの何が大変で問題なのか、そして何を行うのか、その方策がよくわからないという印象です。ひとり親家庭等に関して言えば、「ひとり親家庭や寡婦の自立支援」という推進方向は示されていますが、寡婦に対する言及はほとんどないのではないかと懸念されます。また、ひきこもりやニート、不登校の子ども・若者の自立に特化した行政計画であった「子ども・若者育成計画」がどのように変更となるのかについてもはっきりと示されていません。(進捗管理は、引き続き、これまでの審議会で行うようです。)

また、今回、こども基本法に基づく「こども施策に対するこども等の意見の反映」とされ、「子ども若者等から意見を聴きました」と報告はありますが、子どもたちからどんな意見が出たのか、聴取会のはどのような状況であったのか等、現場でどのような意見聴取が行われたのかがよくわかりません。アドボケイトが重要ですが、表面的なニーズのみならず、子どもたちからの気持ちや実態をしっかり聞けているのだろうか、そういった取り組みが丁寧に行われているのだろうかと懸念されます。

網羅的な大作ですが、「あれもこれも」でなくて、「今、これが大切だから、これをやる」という部分が感じられればと思いました。経済的格差が拡大する中、子どもたちの教育格差・体験格差、子どもの貧困への対応、さらに、学校に行けない・行かない不登校の児童生徒数の急増が止まらないなか、子どもたちの心を元気にするための取り組み、笑顔につながる取り組みが大切ではないかと考えているところです。

他の委員の質問

・3計画を一体化する中で、施策の推進・支援の内容が表面的にならないかと懸念する。
→国の説明資料も参考にして取りまとめるが、各計画で丁寧に行ってきたこれまでの取り組みの抜け落ちがないよう、施策の推進方向等に明確に掲げ、具体的施策についても充実を図る。
・ひきこもり当事者の意見等も含め、さまざまな年代・立場の子ども若者への意見聴取を行ってきているとのこと。不登校、ひきこもりの子どもたちの意見等、ひらぽ(枚方公園青少年センター)ではオンラインで回答、まるっとこどもセンターでは窓口で同意を得て個別に聴取をしたとのことであるが、アドボカシーの観点など、引き続き、計画等への子ども若者の意見の聴取、聴取した意見の反映を要望しておく。
→ルポ、ふらっとの子どもたちについても、今後、意見聴取の仕組みを検討する。
・子ども若者の意見表明の確保、社会参画の方策は、計画策定においても、実行・進捗管理に際しても重要である。具体的方向性・重要性について聞く。
→すべての子ども若者の人権、最善の利益が尊重されるまちづくりの推進を掲げる中、子どもの権利条約やこども基本法を踏まえ、人権教育の推進、子ども若者の意見表明の確保、社会参画の機会の充実などの実現をめざすとともに、子どもを守る条例に係る取り組みや、子ども若者から意見聴取する仕組みづくりなどを進めていく。
・主要事業の「目標事業量」、「量の見込み及び確保方策」について確認する。2号認定(3歳以上で保育が必要な児童)の教育・保育の量の見込み及び確保方策について、前回は「幼児期の学校教育の利用希望が強い/それ以外」を分けて記載していたが、今回は合算して合計のみの記載。前回と異なった理由について。枚方の実情に合わせて、詳細ニーズの把握が必要ではないか。認定こども園のニーズ、幼稚園のニーズ等がわかるように2号認定を分けていたのではないか。
→教育・保育の確保方策について、よりわかりやすくまとめたもの。
・保育需要の増加に対して臨時保育室で対応するとのことであるが、臨時保育室がふさわしいのか。計画に臨時保育室を記すことの妥当性について。1年間、臨時保育室で過ごす子どももいる。これが臨時なのか。保育所の増設が必要ではないか。
→さまざま待機児童対策は行っているが、年度途中の待機児童の受け入れに臨時保育室は必要であると考えている。
・一時預かり事業の中に、「こども誰でも保育園」は反映されているのか、聞く。どういう規模になるのか。保育所そのものが足りていない、保育士の現状に鑑みて果たして受け入れられるのか。現場実態を見るべき。
→「こども誰でも保育園」は一時預かり事業に反映していない。今後、量の見込み等の記載が可能となった段階で記載する予定。2026(令和8)年本格実施に向け、実施手法などの検討を進めている。
・地域子育て支援拠点について、北部3か所になっている。これまでは4か所であった。市民にもわかりやすく示してほしい。
→2009(平成21)年7月、枚方市保育ビジョンで4つのエリアに4か所ずつの設置をめざしていた。各エリアの子どもの人数や地域バランスを考慮して、変更したもの。
・9月、子ども向けアンケートで意見聴取を実施しているとのこと。「ふらっと」は10月オープンであるが、意見を聞いてほしかった。また、ふらっとについての記載もない。
→児童育成支援拠点「ふらっと」について、意見聴取もできておらず、記載できていない。10月開始のふらっとの意見聴取については、委託先の社協と調整して、子どもの定着状況も確認しながら、子どもの意見を聞くよう調整する。計画へのは寧や実際の事業運営に反映できるように努める。
・児童育成拠点の活動など、子どもが笑顔で健やかに過ごせるよう支援するのに、今の人員体制ではたして可能であるのか。しっかりと検討いただきたい。
・子どもを守る条例に、子どもアドボカシーの視点や、子どもの権利の視点はタイミング的に入らなかった。意見聴取、子どもの思いをしっかりとひろっていくためにも、対応する人員は多い方がいい。人員体制についてはしっかりと考えていただきたい。
・子どもの意見表明については、大人の側の拒否反応、抵抗が大きい。保育者の意識改革が必要。
・見やすく、わかりやすい資料作成に効果的・効率的に努められるよう、(アプリやAI等も)検討していただきたい。
・相談体制の強化、支援体制の強化の部分で、これまでも訴えてきているが、子どもの権利委員会など独立した救済制度が必要であると考える。子ども権利条例のある志免町には第3者による救済制度等の仕組みもしっかりと整備されていた。・子どもの権利条例があってこそ、アドボカシーや救済制度が認識されるのではないか。
→本市においては、救済制度の明確な記載はない。これまでも、ぽーちなどの取り組みや、市長部局にいじめ相談窓口が設置されている。権利擁護については、計画に基づき、しっかりと検討し、取り組んでいきたい。
・数値目標について、いじめの認知件数は、まず声を上げていくということで増加するがその後は減少する。子どもを守る条例の認知について、6年後に20%の目標であるが、全庁的に対応して、もっと頑張るイメージがあってもいいのではないか。子どもの権利がどういうものかを子どもたちに伝えていく姿勢はわかるが、子どもの権利条例の必要性を強く感じている。

 


【参考】

第2期_枚方市子ども・子育て支援事業計画(2020年3月)

第2期_枚方市子ども・子育て支援事業計画(2020年3月)概要版

第2期_枚方市子ども・子育て支援事業計画 主要事業の目標事業量(2020年3月)

第4次_枚方市ひとり親家庭等自立促進計画(2021年3月)

第4次_枚方市ひとり親家庭等自立促進計画(2021年3月)概要版

第2期_枚方市子ども・若者育成計画~ひきこもり等の子ども・若者の自立に向けて~(2023年3月)

こども基本法に基づくこども施策等へのこどもの意見の反映について

教育子育て常任委員会の今年度の先進都市研修(行政視察)のテーマは「子どもの権利/子どもの権利条約を踏まえた子どもの意見の反映に関する取り組みについて」で、11月5日~6日、福岡県の福岡市と志免町に行かせていただきました。その報告です。それぞれ、こども計画の策定段階でのこどもの意見の反映、アドボケイトの取り組みについて、引き続き、見ていきたいなと考えています。

▶ 「子どもは、一人の人間であり、かけがえのない大切な存在」で始まる子どもの権利条例を全国で10番目に制定し、子どもの権利救済制度も備え持つ志免町。こどもがこどもらしく生き、学び、育ちゆく、「こどもにやさしいまち」の実現に向け、子どもアドボカシーに取り組む福岡市。今年度の教育子育て常任委員会の行政視察のテーマは「子どもの権利」です。(2024年11月6日)

 

 


【追記】

小中学校の天井ボード点検結果について(報告)2024年11月28日

小中学校47 校の最上階で雨漏れによる一部天井 ボードの劣化(小学校34校、中学校13校において95箇所)を確認。修繕工事にて劣化した天井ボードを撤去し、コンクリート躯体の打診調査を行った上で、12月より、順次、天井ボードの張り替え工事を実施。
※「磯島小学校の渡り廊下天井の一部コンクリート片の落下について(報告)_20241114」はこちら

建設環境委員協議会(11月)資料「06_枚方市学校整備計画(第2期実施計画)について」はこちら

【他市事例】

2023年4月に、小中学校の校舎の外壁の一部が落下する事故をはじめ、5月には若戸大橋の金属片や市営住宅の外壁の一部の落下などが相次いで発生した北九州市では、公共施設全般の老朽化について、局・委員会横断的に対応していくため、2023年5月24日に「北九州市 市民の安全・安心を守る老朽化対策チーム」を設置、事故を受けて行われた外壁の緊急安全点検の結果の整理や、老朽化対策の新しい取組について議論・検討を行ったとの報告です。

北九州市「市民の安全・安心を守る老朽化対策チーム」の取組 – 北九州市

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