12月定例月議会 外国人市民に対する支援について(一般質問②)

2019/12/19

多文化共生施策の推進については、6月の定例月議会で一般質問を行いました(6月定例月議会 多文化共生施策の推進について)。多様性を認め合い、お互いさまで支え合える社会の実現のため、また、「誰一人取り残さない」という人権尊重の観点からも、外国人市民の存在をしっかりと認識して、多文化共生施策の取り組みを計画的に進めていただくよう要望しました。

今回はその具体的な施策である「外国人市民に対する支援」について、(1)災害時の外国人支援について、(2)「やさしい日本語」の使用について、(3)外国人児童生徒の教育保障について、(4)日本語教育の推進について、の4つの観点から質問を行いました。
教育長からは、「教育委員会においては、国籍に関係なく、すべての子どもたちが生き生きと学ぶことができる学校園づくりに努めていく。」との回答も得ましたが、就学年齢である外国籍の子どもの不就学の問題や進学などに関わる課題がクローズアップされたこともあり、子どもの最善の利益の観点からも、SDGsの「誰一人取り残さない」多文化共生の観点からも、このまちに住む外国につながる子どもの教育の保障について要望するとともに、「災害弱者」である外国人市民の特性を踏まえた防災・減災の啓発や災害時の対応、「やさしい日本語」の普及・啓発、社会教育事業としての基礎的・体系的な日本語教育の実施についても要望しました。

 


 

4つの観点からの質問のやりとりは次のとおりです

◇観点1 災害時の外国人支援について

質問1

台風による大雨で堤防が決壊して河川が氾濫するなど、今年も大きな自然災害が発生した。ハザードマップをきちんと理解して、いま、暮らしている地域にどのような危険性があるのかを知っておくことが重要である、と再認識しているところである。
災害が発生した時、日本語がわからず、地域の地理や災害に不慣れな外国人市民には、避難時の支援が必要ですし、文化や習慣の違いから、避難所においては「要配慮者」でもある。災害時の対応や防災の啓発について、「災害弱者」である外国人市民の特性を踏まえた支援として、どのような取り組みがあるのか、伺う。

回答要旨1(市民安全部長)

現在、外国語版の防災マップ作成や避難所案内板の外国語表示などの対応を行っているが、海外からの旅行者に限らず、本市で生活している外国人市民についても、さまざまな言語や文化の違いがあることを踏まえ、その特性に配慮した災害時の対応や防災啓発の取り組みが必要であると認識している。
災害時の外国人への対応としては、大阪府災害時多言語支援センターを活用するとともに、平時においては、同センターの周知に努めるほか、共助の観点からも校区自主防災組織等が外国人市民に防災訓練への参加を積極的に呼びかけていただくよう協力を願うなど、地域住民としての自助、共助を啓発していく。

要望

災害時の外国人支援については、日頃から、防災・減災の啓発、災害時の対応の仕組みなどについての情報発信や、避難所運営において「災害弱者」である外国人の特性を踏まえた工夫・改善をしっかりと検討していただき、具体化されることを要望する。
また、その際、支援の担い手としての外国人市民を発掘することも、今後は必要となってくるのではないかということを意見とさせていただく。

 

◇観点2 「やさしい日本語」の使用について

質問1

外国人市民の支援には必要な情報や対応の多言語化も重要であるが、行政が使用する日本語はそもそも難しすぎる。阪神淡路大震災での外国人の被災の実態を教訓に考案された「やさしい日本語」について、行政はもちろんのこと、地域住民にも広げていくための意識改革や学びが求められていると思う。
そこで、「やさしい日本語」の使用について、どのような取り組みを進めていくのか、伺う。

回答要旨1(産業文化部長)

外国人市民の方々が地域で生活していくためには、必要な情報がわかりやすく入手でき、地域住民とのコミュニケーションにおいても、お互いに伝えたいことが正確に伝わり、理解することが重要であると認識している。
そのため、市では、「やさしい日本語」を用いた情報提供や、窓口対応などにおける言葉の置き換え方法に関する研修などに取り組むとともに、想定される様々な場面で「やさしい日本語」が使われるよう、普及啓発に取り組んでいく。

要望

「やさしい日本語」の使用については、外国人市民のみならず、高齢者、理解が困難な市民、子どもたちにとっても望ましい接遇につながると思うので、窓口対応のガイドラインを作成する等、「やさしい日本語」の普及・推進を要望する。

 

◇観点3 日本語教育の推進について

質問1

本市では地域における日本語教育として、社会教育事業の日本語多文化共生教室「よみかき」と、日本語ボランティアの会の日本語教室が実施されている。
今年6月に成立した日本語教育推進法は、外国人の方などが、その希望、置かれている状況や能力に応じて日本語教育を受ける機会を最大限確保することを自治体に求めている。法の趣旨を踏まえると、基礎から体系的に学ぶことができる日本語教育の機会を設けることが必要ではないかと考える。
子どもたちの就学前の日本語指導を含め、基礎的な日本語教育を社会教育事業として実施すべきではないかと考えるが、見解を伺う。

回答要旨1(社会教育部長)

本市における日本語教育の推進は、本市に居住する外国人市民のためだけではなく、ひいては諸外国の本市への理解と関心を深め、友好関係の構築に資するものと考えている。
今回の日本語教育推進法の制定を受け、外国人市民が、地域で生活するのに必要な知識を得る機会の充実、確保に関し、今後議員お示しの観点も踏まえ、調査研究していく。

要望

社会教育は「人が地域で生活するのに必要な基礎的な知識や技術等の教育」とされている。外国人市民が、このまちで生きていく上で必要な基礎的・体系的で新たな日本語教育の場を社会教育事業として実施されることを要望する。

 

◇観点4 外国人児童・生徒の教育保障について

質問1

不就学の可能性があると考えられる小・中学生相当の外国人の子どもの数は全国で約2万人と報道されているが、就学していない子どもの個別調査・追跡調査など、就学機会の確保に向けた取り組みは自治体によってまちまちである、というのが実態である。
そこで、まず、本市において、外国籍の子どもの保護者への就学案内をどのように行い、就学していない子どもの状況はどの程度、把握されているのか、伺う。

回答要旨1(学校教育部長)

外国籍の子どもの保護者への就学案内については、翌年4月に小学校へ入学する年齢に達する者の保護者に対して毎年10月初旬に就学時健康診断の受診通知を送付する際に、多言語に対応した就学案内を同封し、入学を希望される場合は就学手続きを行うよう周知をしている。また、転入児童生徒の保護者に対しては、転入手続きを行う際に市民室で就学案内を行っている。
なお、就学手続きを行わず就学状況が確認できていない方が毎年一定数あるが、不就学かどうかについては把握していないのが実情である。

質問2

就学の案内を送付し、希望する場合は手続きをしてくださいと言っても、案内が届いているのか、また、その内容が理解されているのか、そもそも日本の学校の仕組みを理解できているのかも憂慮される。
就学案内を送付した外国籍の子どもの就学状況の実態を把握するとともに、外国につながる子どもがスムーズに就学できるよう、事前の指導機会の検討を要望する。

日本語が全くできない児童・生徒はもとより、日本語で日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている児童・生徒に対して、「特別の教育課程」を編成して、学校教育の一環として日本語教育を実施するとともに、教育委員会として、母語を話せる教育指導員を1回2時間、週2回を限度として在籍する学校に派遣して日本語指導を行っているとのことである。
外国につながる子どもの学力保障のためにも、教員の負担軽減のためにも、これらの制度の拡充が必要ではないかと思うが、見解を伺う。

回答要旨2(学校教育部長)

議員お示しの通り、大阪府から加配されている日本語指導教員が所属する学校において、「特別の教育課程」による日本語指導を実施している。
加えて、他の日本語理解が困難な児童・生徒が在籍する学校にも巡回し、支援を行っている。また、教育委員会では、母語が話せる教育指導員を日本語の理解が困難な児童・生徒が在籍する学校に派遣しているところである。
教育委員会としては、日本語の理解が困難な児童・生徒が増加傾向にある中、その児童・生徒一人ひとりに対して適切な支援が必要であると認識している。
今後も、教育指導員のみならず、巡回する日本語指導教員も加わり、日本語の理解が困難な児童・生徒への支援を行っていく。

質問3

外国につながる子どもの教育を受ける権利を保障するという観点からは、日本語教育や母語・母文化教育のみならず、勉強がわからないからドロップアウトしてしまうということがないよう、進学などを実現するための学力の獲得についても支援していかなければならないと思う。
外国籍の子どもは日本の憲法が定める教育の義務の対象外ではあっても、日本も批准をしている子どもの権利条約から考えれば、国籍を理由に子どもが教育を受ける権利が侵害されることは決して許されるものではない。
教育委員会としての基本的な姿勢を、これは教育長に伺う。

回答要旨3(奈良教育長)

教育委員会では、国籍に関係なく、すべての子どもたちが生き生きと学ぶことができる学校園づくりに努めていく。

要望

横浜市では、来日したばかりの子どもが通う日本語支援拠点「ひまわり」を独自に設置しており、浜松市では、「外国人の子どもの不就学ゼロ作戦」を実施、焼津市では、来春小学生となる外国ルーツの子どもたちを対象にした全8回のプレスクールを開始するなど、先進的な自治体の取り組みもたくさん紹介されている。
子どもの最善の利益の観点からも、SDGsの「誰一人取り残さない」多文化共生の観点からも、このまちに住む外国につながる子どもたちの教育の保障について要望する。

 

 

 

 

 

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