12月定例月議会 行財政改革について(一般質問③)

2019/12/19

行財政改革については、所属する総務委員協議会においても、パブリックコメントとして公表される前に示された「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」の問題のある部分について意見を述べてきました(総務委員協議会 (3)行政改革の取り組みについて)。
今回、他の議員からも多くの質問がありましたが、私の方からは、改めて、プランにおける「効果額」の算出の根拠やその意味について質問をしました。
「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」には、「Society5.0を見据えた」とか「持続可能なまちづくり」とありますが、これからの時代に求められる、地域や時代のニーズに応じた質の高い枚方市行政を、どのような考え方やビジョンのもとで、どのように取り組むのかを具体化するというものではなく、「効果額」とやらを生み出すために、考えられるものを並べたてているという感じがしてなりません。
プランの中で廃止を含む見直しを検討されている水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の中には、所得制限を設けたひとり親世帯や生活困窮の高齢者世帯に対する減免も含まれています。最も公助が必要な市民、最も公的支援が必要な市民に対する福祉施策を廃止して財源を生み出し、それを何に使うというのでしょうか。「改革で人を支える」というのであれば、限られた財源、厳しい財政状況の中でも、市民福祉の増進やくらしの安全・安心という大切な行政の役割を維持するために進めるのが行財政改革であって、行財政改革を単なる経費の削減、「効果額」の積み上げのための取り組みとするべきではありません。
そこで、「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」を抜本的に再検討し、水道料金・下水道使用料の福祉減免の見直しはすべきでないと、強く意見しました。

 


 

質問のやりとりは次のとおりです

◇観点1 「効果額」について

質問1

行財政改革についてはこれまでにも多くの質疑があったので、ここでは1点だけ確認させていただく。
「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」において、「ごみ収集業務体制の見直し」や「公立保育所の民営化」の目標「効果額」はマイナス(▲)の値で記されているが、この「効果額」マイナスの意味と理由について、伺う。

回答要旨1(総合政策部長)

ごみ収集業務体制の見直しや立保育所の民営化など、人件費の削減効果を伴う課題については、委託料等の必要経費の額はマイナス効果額としてお示ししているものであるが、その効果額をよりわかりやすくお示しする観点から、参考として、委託料等の必要経費と人件費効果を合わせた効果額を記載しているものである。

 

◇観点2 水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の廃止について

質問1

「水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の廃止」という目標課題の4年間の目標「効果額」の累積額は8億1,638万5,000円、全体での目標「効果額」26億9,740万9,000円のなんと約3割をも占めている。
見直しを検討されているこの福祉減免制度の対象者は、それぞれ困難な生活を過ごしておられると思うが、ひとり親家庭の皆さんからは、どのような相談が寄せられているのか、改めてその実情について、伺う。

回答要旨1(子ども青少年部長)

子ども総合相談センターのひとり親相談においては、児童扶養手当の受給や医療費助成のほか、「安定した就労を目指したいので専門資格を取得する支援制度を教えて欲しい」、「子どもが大学に進学するので福祉資金貸付制度について教えて欲しい」など、さまざまなご相談をお聞きしている。

 

意見

行財政改革の効果を数字で示したいがために、考えられる項目を「効果額」として算出し、その額を基金に積み上げようとされているが、その選び方も、実現性も極めて問題である。
「ごみ収集体制の見直し」など、委託料の増大による「効果額」のマイナス(▲)は、それに伴う職員人件費の削減により結果としてプラスの「効果額」になるということのようだ。
しかし、取り返しがつかないほど乱暴な今の民間委託の進め方では、人手不足で入札参加者がいなかったり、人件費の高騰で委託契約が成立しなかったりした時はどうするのか。
直営で何とか乗り切った、そんな事業もあった。渚・渚西保育所の民営化においては、募集段階で参加したすべての法人が、人員確保に課題があるなどの理由で応募を辞退したことから、民営化のスケジュールを見直し、再募集が行われるとのことだ。
そもそも民間委託には、こうした不確実さが常についてまわるわけである。
だからこそ、公の役割を果たすためにも、セーフティネットを確保するためにも、そう簡単に職員の削減はするべきではないし、実際、急激に増える委託料を上回る人件費の削減効果など、短期間に出せるものではない。
また、くずはアートギャラリー事業の見直しに伴う「効果額」もあげられているが、これは総合文化芸術センターの開設に伴う文化振興のための経費増に充当されるものである。
「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」では、このような問題を多数かかえた「効果額」をも無理やり積み上げている。
枚方市駅周辺再整備など、まだ議会や市民の理解も得ることができていない巨額の開発事業財源などの数字を作るために使われようとしているのが、まさに「公助」である低所得のひとり親家庭などへの水道料金・下水道使用料の福祉的な減免である。
子どもさんが2人おられて、児童扶養手当を受給している市民税非課税のひとり親世帯の年間収入は約205万円で、見直し後の水道料金・下水道使用料の基本料金分の負担増は年間18,840円となる。
約2万円という金額は決してわずかな額ではなく、経済的に大きな打撃になることは明らかである。子ども青少年部長から相談内容をお示しいただいたが、ひとり親家庭の皆さんは、苦しい生活の中でも、子どもの教育のことを一生懸命考えておられる。家庭の経済的な苦しさ、それは子どもたち自身が抱えている困難でもある。
ひとり親家庭の皆さんの経済的に非常に厳しい実情に対して、支援のための施策も一方では提供しながら、返す刀で福祉減免を切り捨てる。
「改革で人を支える」というのであれば、限られた財源、厳しい財政状況の中でも、市民福祉の増進やくらしの安全・安心という大切な行政の役割を維持するために進めるのが行財政改革であるはずなのに、全く本末が転倒していて、そんな矛盾した施策の進め方には理解ができない。
「(仮称)行財政改革プラン2020(案)」を抜本的に再検討し、水道料金・下水道使用料の福祉減免の見直しはすべきでないと強く意見しておく。

^