総務委員協議会 (3)行政改革の取り組みについて 

2019/11/26

(3)行政改革の取り組みについて

【背景及び内容】

① 9月の総務委員協議会で示した「使用料・手数料に関する設定基準(案)」について、パブリックコメントを実施して策定した「使用料・手数料に関する設定基準」に基づき、現行の施設使用料及び事務手数料を試算し、5つの施設使用料及び2つの事務手数料について、改定の方向での検討を行うというもの。
今後は、令和2年3月定例月議会に関係条例等の改正案を提出し、令和2年度内に施行を予定。

・改定を予定する施設使用料 5施設(5件)
牧野生涯学習市民センター(牧野北分館集会室)
生涯学習情報プラザ(交流ルーム)
枚方公園青少年センター(ホール)
教育文化センター(音楽室)
やすらぎの杜(市外料金/大人火葬)

・改定を行わない施設使用料(34施設)
試算結果が現行使用料とほぼ同額のため[0.8~1.2](19施設)、類似施設との均衡を図るため(3施設)、現行指定管理者の更改期に改めて検証を行うため(7施設)、その他(5施設)

・改定を予定する手数料 2件
道路敷、水路敷その他市有地と私有地との境界の明示手数料
自転車等保管手数料

・改定を行わない手数料 70件
試算結果が現行手数料とほぼ同額のため[0.8~1.2]、大阪府内で統一の料金とされているため、近隣市との均衡を図るため、本市類似手数料との均衡を図るため、その他

 

9月の総務委員協議会で示した「(仮称)行財政改革プラン2020 基本的な考え方」に基づき、具体的な取り組み内容や行政改革の「見える化」等について検討を進め、令和2年度以降、今後4年間に取り組む行政改革の方向性を示す「(仮称)行財政改革プラン2020~新たな改革ステージへ~」(案)、別冊「具体的な取り組み 目標と実績」について報告するというもの。
今後は、「(仮称)行財政改革プラン2020」(案)及び別冊について、令和元年12月~パブリックコメントを実施し、最終案を令和2年2月に総務委員協議会に報告、3月に「(仮称)行財政改革プラン2020」(別冊含む)の策定を予定。

・(仮称)行財政改革プラン2020(案)~新たなステージへ~

枚方市新行財政改革大綱(平成25年度~令和元年度)に掲げてきた「枚方市の『魅力』の向上をめざし、次代を見据えた行政の再構築と『市民自治』の推進を図る」を継承し、これまでの課題の再設定を含め、80の改革課題を設定。迫る2040年問題への対応やSciety5.0における行政の役割を踏まえ、これまでの事務の効率化や、民間活力などの取り組みに加え、ICTの積極的な利活用や、そのための人材育成、また職員の働き方改革など、新しい領域に踏み込んだテーマ・課題を設定し、行政改革による効果額については、新たに創設する「(仮称)この街に住みたい基金」に積み立てることで留保するとともに、基金を充当する事業・充当額の「見える化」を図る。
改革の方向性を示す基本方針は以下の5つで、毎年度末にアップデートしたプランを公表する等、スピード感のある進行管理を行うとのこと。
1.行財政経営システムを構築する ~エビデンスに基づく施策決定と行革効果の見える化~
2.行政サービス・行政資源を最適化する ~事務事業等の見直し・検証とストック活用~
3.スマート自治体への転換をめざす ~職員力の向上とICTの積極的な活用~
4.職員の働き方と職場を変える ~さらなるワークプレイス改革の推進~
5.民間活力の活用や協働を推進する ~市民・事業者など様々な主体との連携・協力の推進~

 


【この案件についての私の意見】

「使用料・手数料に関する設定基準」にかかるパブリックコメントに対する市の考え方として、「受益者負担」については「ひとりひとりの生活環境や趣味・嗜好、ライフスタイル等によって利用を選択されることとなるため、受益と負担の公平性の観点からも施設利用者に一定の基準に基づく適正な対価として使用料を負担いただく」と、「原価」については「人件費は施設の維持管理に係るものに限り、減価償却費は将来施設を利用する利用者にも広く公平に負担いただくために算入」とそれぞれ説明し、「個別の施設使用料や減免制度については、今後この基準に基づいた見直しを行う中で検討する」と説明をしています。しかし、「性質別負担割合」、つまり、どれだけを公費負担とし、どれだけを受益者負担とするという「割合」については、パブリックコメントとして意見はありませんでした。
市場性・必需性の観点から調整を行うという各施設の「性質別負担割合」、つまり公費負担と受益者負担の割合について、設定基準の中にも具体的な内容は記されていません。また、今回、結果として示された改定を予定する使用料5件については「受益者負担率50%」とされていますが、50%の考え方・根拠について、また、他にどんな割合があるのかが示されていないため、委員協議会の中で質問をしました。

担当課からは、「性質別負担割合は当該施設の必需性や市場性を踏まえ設定するもので、考え方としては、例えば、必需性が低く、市場性が大きいものについては、公費負担はゼロとし、全額を受益者の負担とする。逆に、必需性が高く、市場性が小さいものとしては、全額を公費負担とし、受益者負担はゼロとするもので、その割合は、施設の性質別に応じて、0%、25%、50%、75%、100%の5段階の設定をしている。」との回答を得ました。
そして、今回の改定を予定する使用料5件の対象施設は、必需性も市場性も中程度と判断していることから、受益者負担の割合を50%としているとのことでした。

公共施設の使用料を、市民の皆さんにどの程度負担していただくのが適切なのか。
今回、示された設定基準の考え方では、施設使用料は、人件費や物件費などから算出される原価に、各施設の性質に応じて、0%、25%、50%、75%、100%の5段階のいずれかの「性質別負担割合」をかけて算出すると。そして、その割合は、「必需性」と「市場性」で決まると説明されました。
さも根拠がありそうな難しい言葉ですが、今回、使用料の改定を予定する施設の、「必需性」と「市場性」が、なぜ「中程度」で、50%になるのでしょうか。最も知りたいと思う、肝心なその理由が説明されているとは思えません。
また、100%、全額受益者負担となると、必需性がなく市場性が高い施設ということですから、そもそもそんな施設は公共施設ではないのかなと思いますし、逆に、0%となると、無償使用が必要な公共施設ですから、そもそも設定基準の対象外かと思います。

となると、結局、原価に25%か、50%か、75%をかけて、市民に負担を求める施設使用料を設定するのかと思うのですが、どの負担割合が適用されるのか、なぜその割合なのかについては、ブラックボックスと言いますか、極めて恣意的であるように感じられます。
今回、市民の皆さんに負担の増を求める使用料5件の改定の予定が示されていますが、負担水準のあり方についての説明責任が果たされているとは到底思えませんので、もっとしっかりとした検討をされるべきであると意見しました。

また、スポーツ施設を利用する高齢の方から、施設利用料に加えて駐車料金の負担が増え、利用に消極的になっている、というお話を伺っています。高齢者の元気づくりや介護予防の事業を市が行うのもいいけれども、元気づくりや介護予防につながる高齢者自身の活動を支援するという観点から、施設利用料に対する政策的な取り組みも検討してほしいとの意見をいただいています。
パブリックコメントに対する市の考え方の中で、「減免制度については、今後、この基準に基づいた見直しを行う中で検討する。」とのことですが、経済的な支援のみならず、政策的な取り組みについても、適切な検討をされるよう求めました。

続いて、「(仮称)行財政プラン2020(案)」については、このプランの案は、別冊とあわせて、この後、パブリックコメントを実施するとのことですし、あまりにも論点が多いので、別の機会で具体的な質問はさせていただくこととして、包括的な意見だけ述べさせていただきました。
このプランの特徴と言いますか、最大の問題は、そもそも「行財政改革」を何のために行うのかということに関する「理念」が感じられないということです。
「Society5.0を見据えた」とか「持続可能なまちづくり」とありますが、これからの時代に求められる、地域や時代のニーズに応じた質の高い枚方市行政を、どのような考え方やビジョンのもとで、どのように取り組むのかを具体化するというものではなく、「効果額」とやらを生み出すために、考えられるものを並べたてているという感じがしてなりません。
ですから、具体的な1つ1つの課題になると、さまざまな問題が山積しています。
象徴的な例は、「水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の見直し」です。25日開催の建設環境委員協議会において提案された水道料金・下水道料金の質疑の中でも取り上げられていた福祉減免制度に係る問題ですが、プランの取組目標では「福祉減免制度の廃止を含めた見直し」との表現になっていますが、「目標効果額」は全面的な廃止を想定したものです。
この福祉減免制度の中には、所得制限を設けたひとり親世帯や生活困窮の高齢者世帯に対する減免も含まれています。最も公助が必要な市民、最も公的支援が必要な市民に対する福祉施策を廃止して財源を生み出し、一体、それを何に使うというのでしょうか。市政運営の基本方針で掲げる「改革で人を支える」ことになるのでしょうか。
行財政改革を、単なる経費の削減、効果額の積み上げのための取り組みとするべきではないと、意見をしました。


(※以下、資料より抜粋)

【水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の見直し】
取組目標 「福祉減免制度の廃止を含めた見直し」
目標効果額 令和2年度:116,626千円、令和3年度:233,253千円、令和4年度:233,253千円、令和5年度:233,253千円、累積:816,385千円(基本料金の福祉減免を全廃した場合に見込まれる効果額のようです。)

【総人件費の削減(長時間労働の縮減)】
目標効果額 令和2年度:65,280千円、令和3年度:66,586千円、令和4年度:67,918千円、令和5年度:69,277千円、累積:269,061千円(時間外勤務の上限規制を行うとともに業務量の平準化、シャットダウンシステムの導入などによる効果を見込んだ効果額のようです。)

【ごみ収集業務体制の見直し】
目標効果額 令和2年度:▲14,451千円(57,125千円)、令和3年度:▲140,311千円(2,844千円)、令和4年度:▲231,407千円(46,948千円)、令和5年度:▲318,348千円(111,114千円)、累積:▲704,517千円(218,031千円)(前の▲数字が委託料等必要経費、後のプラス数字が人件費効果額を含めた効果額)(官と民の最適な業務負担割合や妥当な委託割合等の課題、セーフティネットの考え方等の整理を行い、平成31年1月に策定した「ごみ収集業務体制見直し実施計画」に基づき、順次委託化を進めるもの)

安全で安定的なごみ収集・処理体制の構築について、6月の定例月議会で一般質問を行い、非常時や災害時の対応など、市が直接に果たすべき役割、そして、それを可能にする体制について、法が求める手続きを踏まえてしっかりと検討し、具体化されるよう要望しましたが、適切な検討が行われた結果の事務の執行なのか、疑問が残る課題でもあります。

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