2月19日、枚方寝屋川消防組合議会全員協議会が開催され、新型コロナウイルス感染症における対応等、7件の審議が行われました。その後、救急シミュレーション訓練を見せていただきました。

2020/02/19

2月19日、令和2年第1回の枚方寝屋川消防組合議会全員協議会が開催され、7件の案件について説明を受けました。各議員からの質問に対しては丁寧な回答が行われ、提案された情報の共有が図れたと思います。
全員協議会終了後には、救急シュミレーション訓練を披露いただきました。119番通報に対する情報指令職員の対応(口頭指導)の様子から、心肺停止の傷病者に対する心肺蘇生処置(気管挿管・薬剤投与)を含む救急隊員の実際の現場における救命活動、緊迫したなかでも家族等への思いやりの言葉かけを行いながらの対応を目の当たりにし、日々の救急救命活動に対しての敬意と感謝を改めて感じた次第です。

その後は、議会運営委員会が開催され、3月開催の議会で審議予定の議案(議決案件)の説明がありました。

全員協議会の案件及び概要、質問の内容は次のとおりです。

 

【案件】

1.新型コロナウイルス感染症における本消防組合の対応について

新型コロナウイルス感染症は、検疫法上の「検疫感染症」、感染症法上の「指定感染症」に指定する政令が令和2年1月28日に公布され、1月31日の世界保健機構(WHO)の緊急事態宣言を受け、施行日を2月1日に前倒し。本消防組合では、新型コロナウイルス対策本部会議を設置し、対応にあたっているとのことです。
新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合の対応は両市保健所と調整済。新型コロナウイルス感染症の疑いがある傷病者の搬送を担当した消防職員の健康管理(標準予防策)、搬送後の車両管理等についての説明がありました。

(質問)新型コロナウイルス感染症確定の入院の受入れについて。感染症対応の病院は市立ひらかた病院(8床)以外にどの程度あるのか。→感染症確定の入院は、市立ひらかた病院をはじめ、府下6病院。
(質問)標準予防策について。→すべての傷病者は何らかの感染症の疑いありと想定し、防護服・手袋等着用。
(要望)通常の搬送とは異なるという観点から、救急隊員の命を守る対策を。

 

2.平成31年/令和元年の消防概況について(速報値)

受信件数66,262件のうち、災害による通報(火災・救急・救助・その他)の件数は42,505件(64.1%)、災害以外の通報(問い合わせ・間違い・いたずら等)が23,757件(35.9%)とのこと。受信件数は平成30年より減少し、その多くは災害以外の件数であったとのことです。枚方・寝屋川では、年に10人に1人が通報している状況です。

火災については、火災件数167件で各10年間で最少。火災種別は、「建物火災56.9%」「車両火災9.0%」「その他火災34.1%」で、出火原因は、21年連続「放火(放火の疑い含む)」が最も多く、今回28.1%で、「こんろ16.8%」「たばこ12.6%」と続いているとのことでした。

救急については、出動件数37,927件、搬送件数34,207件で過去最多。事故種別では「急病」が最も多い23,280件(68.1%)、年齢区分別では「高齢者」が最も多い20,157件(58.9%)。ドクターカーの出動は342件。
一日あたり出動件数は約104件、一隊あたり約6.1件という状況です。

(質問)火災種別の「その他火災」とは何か。→建物・林野・車両・船舶及び航空機の各火災種別に該当しない火災。路上看板や公園の芝生等。

 

3.令和2年度の主要事業(案)について

車両の整備は、救急自動車3台・ミニタンク車3台・査察車の更新に概算費用221,600千円、はしご車オーバーホール整備1台に概算費用45,332千円。
高圧ガス充填施設更新及び移動式呼吸器用高圧コンプレッサーの新設に概算費用13,181千円。
警防活動中及び訓練中の事故防止対策にかかる資器材の整備(墜落制止用器具の整備に概算費用7,966千円、救助マット・落下防止安全ネットの更新に概算費用1,133千円)、風水害及び震災対策資機材の強化整備(ホース・水槽に概算費用3,769千円)。

(質問)国の緊急消防援助隊設備整備費補助金の対象について。→市により定められている登録数分に充当。
(質問)はしご車のオーバーホールの期間内の対応について。→管内に全3台あるので、カバーする。

 

4.第4次将来構想計画の進捗状況について

第4次将来構想計画は平成28年度から令和2年度までの5年間の計画で、本消防組合の最上位の計画です。令和2年度は、令和3年度以降の第5次計画の策定作業となりますが、今回は、令和元年度までの進捗状況と今後の取り組み予定についての報告がありました。

報告があった内容のうち、今度の取り組み予定について、特に説明があった内容を下記に掲載します。

「1.消防防災体制の充実整備」のうち、
「(1)消防防災拠点の整備」では、消防庁舎の長寿命化や統廃合等についての方針を定める「枚方寝屋川消防組合公共施設等総合管理計画」を策定したので、今後、個別施設系っか宇の検討・策定を行うこと、枚方消防署の整備についての具体的な検討を進めること、訓練施設の整備については、「枚方寝屋川消防組合総合訓練施設整備検討会」で行ってきた中間とりまとめを踏まえ、検討を完了すること、寝屋川消防署の訓練施設の老朽化に対する考え方を整理すること、
「(2)警防体制の充実」では、無人航空機(ドローン)が令和2年1月より運行開始となっており、実災害での運行や今後の活用方法について検証を行うこと、
「(3)地域の防災力・災害予防の充実強化」では、広域消防体制の強化事業として、令和元年度には「枚方市、寝屋川市及び交野市における消防の広域化検討委員会」を設置していおり、消防広域化の検討に取り組むこと、
その他、「消防通信体制の整備」として、指令管制業務の充実強化(指令管制マニュアルの整備、ネット119緊急通報システムのバージョンアップなど)を継続すること、また、消防団との災害現場における通信連絡体制の確保や119番多言語対応(5か国語の三者間同時通訳等の運用等)の報告がありました。

「2.救急体制の充実強化」のうち、
「(1)救急医療体制の充実強化」では、既設のAED情報を取りまとめ、枚方寝屋川AEDマップを作成し、市民配布方法を検討すること、
「(2)予防救急体制の充実強化」では、認知症サポート体制の推進として、全職員が認知症サポーター養成講座の受講終了したことの報告(オレンジリングですね)、家庭内事故防止強化事業として、高齢者対象の講習会や乳児・小児の親対象の救命講習を継続実施すること等の説明がありました。

「3.火災予防・保安体制の推進」では、
「(2)防火安全対策の推進」として、総合的な住宅防火安全対策推進のため、「枚寝カンチ君」によるPRをはじめ住宅用火災警報器の普及、啓発活動の推進を継続すること等の説明がありました。

「4.効率的な消防行政運営の推進」では、
「(1)組織機構・体制の再構築」として、定数を整理し、再任用職員の定年2期制を導入したところであるが、定年延長を見据えた新たな再任用制度の検討を行うこと、女性消防吏員の比率拡大に向けた取り組みも行っているところで、今後、次期将来構想計画における職員数定員適正化計画(採用計画)の検討、策定を行うこと、人事・給与制度のあり方についての検討を継続すること等の説明がありました。

第5次計画は令和2年度中に策定されますので、第4次計画期間中の進捗状況を踏まえた課題整理や第5次計画に盛り込む内容について、今後さらに検討が進められると思います。

 

5.心肺蘇生を望まない傷病者への対応について

平成31年/令和元年の救急出動件数37,927件、搬送件数34,207件はいずれも過去最多で、年齢区分別では「高齢者」20,157件で全体の約6割を占めており、その割合は年々増加。そのなかで、心肺蘇生を望まない傷病者にかかる事案が41件。
救急現場で心肺蘇生を望まない意思を伝えられた場合に、本消防組合では、十分な説明をした上で救命処置をして救急搬送することを原則としているとのこと。
総務省消防庁の「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する研究会」での検討内容、大阪市消防局や東京消防庁におけるそれぞれの取り組み等の説明の後、本消防組合として、北河内メディカルコントロール協議会をはじめ、医師会、関係部局と協議する必要性を認識し、現在、それに先駆けて活動検証会議において事案の検証を行っていること、あわせて、予防救急の観点からの広報啓発に取り組んでいることの報告がありました。
昨年12月の議会で「高齢者の救急搬送について~心肺蘇生を望まない傷病者への対応、地域包括ケアシステムの構築に向けた消防機関としての関わり」について質問させていただいた内容なので、その後、前向きの対応を検討していただいていることについて、嬉しく思っています。高齢者の救急搬送が急増する中、救急隊員がDNARへの対応で困惑しないためにも、限られた社会資源の有効活用のためにも、本消防組合としての検証を行っていただきたいこと、また、望まない救急要請をなくすための啓発を構成両市においても効果的に行えるよう、是非、本消防組合の現状を発信していただきたい旨、重ねて要望させていただきました。

(質問)DNAR事案41件のうち、心肺蘇生を行った件数は何件か。→6件。その他は、医師が現場に到着した後に中止。

6.住宅用火災警報器の購入あっせん事業について

住宅用火災警報器の設置促進に向けた取り組みは行っているものの、管内の設置率は72.4%と大阪府平均83.8%を下回っている状況。
ついては、住宅用火災警報器の設置・維持管理を促す住宅防火対策として大阪消防設備協同組合(大阪府知事認可団体)と購入あっせん事業に関する協定を締結するもの。なお、協定締結上の懸念については顧問弁護士に確認済とのこと。

(質問)住宅用火災警報器はネットでも購入できるが、提示の価格は高いのではないか。→各家庭で簡単に設置できるとはいえ、設置が困難な方もいる。提示の機器は最新のもので、設置費用まで含む価格の設定である。選択肢の一つとして検討いただければとの認識である。

 

7.新潟県糸魚川市大規模火災を踏まえた消火器の設置誘導について

新潟県糸魚川市大規模火災は大型コンロの消し忘れが原因。令和元年10月1日施行となった政省令に基づき、延床面積に関わらず、原則として消火器設置を義務付け、小規模飲食店における初期消火対策の強化をめざしている。本消防組合では、平成30年4月以降、小規模飲食店に対する現地調査を実施し、令和元年9月末までに合計1,965件の現地調査を実施。令和元年9月末現在の消火器の設置状況は、消火器義務事業所348件のうち、設置済が111件、未設置が237件、設置率は32%。令和元年10月1日以降、未設置の237件に対し、今年度末までに立入検査を実施予定。

(質問)約3割の設置率は低い。→法令義務化前の状況であるが、立入検査により指導する。

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