3月10日、枚方市平和の日記念事業「片山長三展~美術教員が残した絵日誌に見る戦中戦後」、枚方の郷土史家、教育者、画家であった片山長三さんの作品に初めて触れさせていただきました。
美術教員が残した絵日誌に見る戦中戦後~枚方市平和の日記念事業「片山長三展」~を枚方市民ギャラリーに見に行ってきました。「片山長三展」は、2月28日~3月11日、枚方市民ギャラリーで開催されていました。3月7日に予定されていた「ギャラリートーク~片山長三氏のご家族と、元・市立枚方宿鍵屋資料館館長・平尾賢二氏による対談」は、新型コロナウィルス感染対策のため中止となっていました。
枚方は戦前、旧陸軍の3つの軍需施設がある軍需のまちでした。1939年3月1日に、禁野火薬庫が大爆発を起こし、およそ700人もの方々が死傷する悲しい歴史を持っています。戦後は、「二度と軍需のまちにしない」という市民の強い思いにより平和都市への歩みを進め、1982年に大阪府内で初めて「非核平和都市宣言」を行いました。また、禁野火薬庫の大爆発から50年目にあたる1989年には、3月1日を「枚方市平和の日」と定め、さまざまな記念事業が行われてきています。
この「枚方市平和の日」記念事業の一環として、多くの人が現在の平和の尊さを感じ、考える契機となるよう、枚方市民ギャラリーでは、「平和」をテーマとする企画展に取り組んでこられていますが、今回は、本市長尾元町に在住されていた昭和期の郷土史家、教育者、画家であった片山長三氏(1894~1988)の絵日誌や水彩画・油彩画などを展示となる「片山長三展」の開催でした。
美術教員であった片山長三さんは、北河内の遺跡発掘や郷土史の執筆・編纂など考古学の分野での業績で知られているとのことですが、私は今回初めて片山さんの作品に触れさせていただきました。
会場でいただいた冊子には、展示されていた絵画や絵日記の説明が日本語と英語で記載されているなど、とても充実した企画となっていました。
「人生は楽しむべきであって、楽しくなければ楽しいように自分で創造してゆく」
そんな片山長三さんの人生観が貫かれた絵がたくさん飾られていました。大きな戦争にまちのなかの人々も巻き込まれていく時代にあって、変貌する学校生活や勤労奉仕、防空演習等の絵とともに、変わらぬ日常の営みが、実に淡々と描かれていました。
絵画作品には、「50/120」等が記載されていました。1950年に描いた120作品目という記録のようです。たくさんの絵日誌による日常の営みの記録など、次代に記録と記憶をつなげていきたいという思いが感じあられるようでした。記録することの意義と意味を改めて感じさせられました。
枚方市のホームページに掲載されていた片山長三さんの絵画を転載させていただきました。
【絵日誌】1941年12月8日 日米英開戦のニュースをきく
【襖絵】菅原村長尾遠景 1930年頃
枚方の郷土史家、教育者、画家であった片山長三さんの作品を一人でも多くの方に知ってほしいと思います。そして、それらの作品を通じて平和の尊さを改めて感じ、考えていくことができるよう、2021年度にオープンとなる総合文化芸術センターのギャラリーでの展示にもつなげていってもらえればと思います。