8月28日、教育子育て委員協議会が開催され、5案件の協議が行われました。場所及び人材の確保等、児童相談所の設置に向けての覚悟があるのか。まずは「児童相談所設置に向けた取り組み状況について」から。(教育子育て委員協議会報告①)
枚方市議会議員の奥野みかです。
8月28日は教育子育て委員協議会が開催され、5件の案件の審議が行われました。理事者側は清水副市長の挨拶でした。
非常に強い台風第10号の列島縦断が見込まれる中、情報収集に努め、迅速かつ適切な対応に尽力するとの挨拶のの後、小学校給食の無償化が、2学期以降(8月27日~)、始まっていること、教職員の処分についての報告等がありました。
さて、今回、提出された案件は次のとおり。
【案件名】
(1)児童相談所設置に向けた取り組み状況について
(2)枚方市教育振興基本計画の見直しについて
(3)市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について
(4)中学校全員給食について
(5)GIGAスクール構想の推進における1人1台端末の更新について
各案件の詳細について、順次報告していきます。
なお、それぞれの案件のタイトル部分をクリックすると、枚方市HP「枚方市議会/議会資料室」にアップされた資料にリンクします。
今回の委員協議会で、9月に市駅前行政スペースに移転開設する「まるっとこどもセンタ―」の詳細、10月の開設に向けての作業が進められている児童育成支援拠点(ラポールひらかたに設置予定)の詳細、2022.4.27通知以降、迷走しながらも市としての方向性を見出そうと取り組んでいる支援教育の現状、29日の建設環境委員協議会の案件となっている「枚方市学校整備計画(第2期実施計画)」の案件について等、現時点での報告があってもよかったのではないかと感じているところです。
(1)児童相談所設置に向けた取り組み状況について[まるっとこどもセンター]
2004年の児童福祉法改正により、中核市についても2006年4月から児童相談所を設置することができるようになり、2006年4月に金沢市、横須賀市が児童相談所を設置。
2016年の児童福祉法改正では、法の附則において国の中核市等に対する財政支援等が明記されたことから、近畿圏においても、2019年4月に明石市が設置、2022年4月に奈良市が児童相談所を設置。
[以降予定]
2025年4月:豊中市、2025年度中:高崎市、2026年4月:尼崎市、船橋市
2026年度中:柏市、2028年度:鹿児島市、2029年度:東大阪市、宮崎市
設置時期未定:宇都宮市、西宮市、枚方市
枚方市→一時保護や措置権限により、さらに速やかな安全確保や支援を行い、予防から早期対応、自立支援に至るまでを一貫して市が担うため、昨年9月に「児童相談所について準備を進める」こととし、本年2月には「児童相談所設置に向けたロードマップを作成する」としている。
そのため、児童相談所の基本事項や中核市への調査結果概要とあわせ、ロードマップ作成に向けた検討事項等、現在の取り組み状況を報告するもの。
◇児童相談所の基本事項
【効果】
児童相談所を設置することで、一時保護や措置権限により、速やかな安全確保や支援が可能となることから、虐待の予防から早期発見・早期対応、自立支援に至るまでを一貫して市が担うことができる。
【まるっとこどもセンターとの関係】
◇中核市への調査結果概要
2024年4月に中核市61市に対し、児童相談所にかかる設置状況調査を実施。
→設置済が4市、設置に向け準備中が8市、設置予定が2市(本市を除く)、検討中が24市、設置しないが21市
◇ロードマップ作成に向けた検討事項
・人員の採用計画/児童相談所運営指針
・児童相談所職員配置基準の「47人」には事務員を含んでいない。一時保護施設の職員は別途必要。人数のみならず、どのように人材を養成するのかが課題。
・一時保護施設は児童相談所に原則合築(豊中市は別)
・児童養護施設の誘致
◇その他検討を要する課題
◇検討体制
現在、庁内の関係部長会議・課長会議において、児童相談所の基本機能や設置の意義等を確認し、中核市への調査結果(2024年4月)等も踏まえ、必要な職員数、財源、児童相談所設置場所選定に係る考え方等の検討を進めている。今後、庁内委員会である児童相談所設置検討委員会を立ち上げ、ロードマップ作成に向け、必要な検討を行い、2025年2月に教育子育て委員協議会で(案)の報告、3月にロードマップを作成。
奥野の意見
児童相談所の開設に関して、スケジュールを定めるのでも、検討するのでもなく、「開設に向けたスケジュール感について検討します」との記載について、事前に問題提起はしましたが、そのまま資料として提出されていました。当日、委員からの指摘もありましたが、本当に覚悟を持って進める考えなのかとの懸念が残ります。
他の委員の質問
・設置場所の確保については地域理解が必要(ハード)。専門的人材の確保について(ソフト)。
→場所が決まれば丁寧に説明していく。先行している東大阪、豊中、また、寝屋川は子育て部門でも熱心に集めている。専門職の取り合いで、人材確保は逼迫している状況。戦略が必要で、重い課題であると覚悟している(副市長)。さまざまな課題への対応があり、専門職員のマンパワーの確保が重要で、ベテラン・中堅等、バランスよく職員を確保したい。いかに人材を確保してスキルアップを図るかが課題。
・一時保護施設の場所、併設について。
→原則設置。併設が多い。
・子育て支援施設の併殺など、多機能のメリットもある。深刻になる前に気軽に来てもらえるよう、誰もが気軽に訪れることができる児童相談所になるよう、子どもたちにとって望ましい施設のあり方を検討したい。
・「(本市で作成の)選定ポイント」について。そのうち、「周辺環境」の項目では何を評価しているのか。[①先行市の児童相談所の位置や設置場所の考え方等について]
→顔の見える関係の構築など「利便性」、初期対応の迅速化など「即時対応性」、「他機関連携」、「多機能」、「一時保護施設の合築、」「駐車場」、「周辺環境」で評価。「周辺環境」は、プライバシーの保護、グランドの有無、公園への隣接、日照など。
・枚方に児童相談所を設置するメリットは何か。
→一時保護中に在籍している学校に通える。
・一時保護施設の設置について。
→児童福祉法で「原則設置」とある。児童福祉施設への委託も可能。大阪府の3か所はいずれもいっぱいである。児童相談所を設置するのであれば、一時保護施設の設置は必須であると、大阪府から言われている。
・職員をどう確保するのかが課題。今回お示しの47人には、事務員・一時保護施設職員は含まないとのことである。一時保護施設にかかる他市の例について。
→横須賀市は、定員25人の一時保護施設に常勤15人、会計年度任用職員14人、再任用職員1人の計30人。金沢市は、定員12人の一時保護施設に常勤7人、会計年度任用職員15人の計22人。奈良市は、定員14人の一時保護施設に常勤11人、会計年度任用職員27人、再任用職員1人の計39人。
・豊中市は30人定員に50人程度の職員と聞く。枚方では、47人の他に一時保護施設の職員が必要となる。相当な数の確保と育成が必要であるとの覚悟が必要である。
・2月にロードマップを示すとのことであるが、児童相談所の基本構想について。
→ロードマップは道すじ、骨子。ロードマップの後、整備計画を策定する。職員の確保(育成)に係る計画も示す。
・児童相談所設置については、より慎重な検討が必要ではないか。誰のために進めようとしているのか。ハコとヒトでできるものでもないが、。職員数が不足している中、本当にできると考えているのか。
・東大阪市は3,700㎡程度を確保していると聞く。子どもたちが生活できる環境として、どこを検討しているのか。官公庁に近いところか。市有地の中での検討はしたのか。
・「開設の目標時期や開設に向けたスケジュール感について検討します」とあるが、スケジュール感とは何か。
・児童相談所の設置を決めたからには人材確保に真摯に取り組んでいただきたい。
・児童相談所の業務で、「療育手帳の判定」がある。事務概要によると毎年1,000件程度とある。
→現在は、18歳未満の児童の判定は、市で取り次ぎ、寝屋川市の中央子ども家庭センターで実施している。枚方に児童相談所ができると、一連の手続きが可能となり、時間的にも短縮される。
・「高崎の子どもは高崎で守る」と来年度中に開設を予定している高崎市はアピールしている。枚方の子どもは枚方で守る」ということか。
・明石市の例もあるが、これまで、となとなにおいては、措置は異なる相談支援を寄り添って行いたいので、児童相談所の設置に慎重であった。まるっとこどもセンターが児童相談所の機能を担うわけではない。子どものことなので、ロードマップも、基本計画も、丁寧に確実に取り組んでいただきたい。この後、どこが責任を持って児童相談所の設置を推進するのか。
→いま、専任の組織はないが、これまでの業務の関係性を考えると「こども未来部」である。土地の確保や人材の採用は総務部など、全庁あげて取り組むべき課題であると認識している(副市長)。
→まるっとこどもセンターを中心にまとめているところ(部長)。
【参考】
▶民意を尊重した、透明かつ公正な説明責任の履行を。10月17日、所信表明に対する代表質問を行いました。(2023年10月17日)
「子どもやその保護者への緊急かつ専門的な対応を本市で一貫して行えるよう、児童相談所を設置するための準備を進めていく」ことに異論はありませんが、「児童相談所」設置の準備を進めていくのであれば、覚悟を持って進めていただくよう要望。
▶子どもや家庭をめぐる問題が複雑・多様化するなか、子どもの最善の利益を尊重し、誰一人取り残さないための体制整備が求められている。「子どもを守る」ために重要なことについて質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告⑦です。 (2020年9月20日)