6月定例月議会 8050問題への対応について(一般質問②)
「ひきこもり」という言葉が社会に出始めるようになった1980~90年代では、不登校からひきこもり状態が長引く人が多くを占めており、ひきこもりは子ども・若者の問題として取り上げられていました。しかし、現在では、当時の若者のひきこもりが長期化しているケースや、いったん就労はしたものの、失業や退職をきっかけにひきこもる方が増えるなど、どの年齢層からでも、実に多様なきっかけでなりうるものであることが明らかになってきました。
私の前に質疑に立った、長友議員、田中議員、堤議員の質問に対して、40歳を超えるひきこもりの方に対する相談対応の現状や今後の取り組み、また、家族会への支援の現状などについて、それぞれの部署が連携を強めながら、この問題に対応されようとしておられる内容についてお答えいただきましたので、私からは行政として取り組む際の目標をお尋ねしました。そして、地域福祉や保健事業の展開の中で、あるいは親世代の介護などをきっかけにして、まずご家族・ご本人との関わりを持つことが最も重要で、ご家族が孤立してしまわないよう、SOSに気づき、つなぎ、息長く寄り添いながら支える、こうした地道で時間がかかるけれども、最も大切な取り組みを充実されるよう要望いたしました。
質問のやりとりは次のとおりです。
質問
80代の「親」が50代のひきこもりの「子ども」を支え、社会から孤立しているという「8050問題」は、もはや子ども・若者と呼べる年齢ではない「大人の子ども」と、後期高齢者となった親の問題が絡み合った、とても難しい課題で、これまで行政の支援の対象でなかったひきこもり状態である中高年の人たちに、どのような支援の光をあてていくのかという、社会問題であると思っている。
このような「8050問題」に対して、行政が関わる際、市は、どのような目標を持って支援をしていくのか、ゴールはどのようなものになると考えておられるのか。
回答 (子ども青少年部長)
ひきこもり等子ども・若者相談支援センターでは、社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者が人とのつながりの中で自分らしさを取り戻し、社会の中で自分の居場所を見つけ、自立に向かうための再チャレンジを支援しており、その過程で、ご本人が自分なりの目標やゴール見つけることを目指している。
そのために、関係機関のネットワークの充実を図り、一人ひとりに寄り添った支援を行っている。また、さまざまな支援の取り組みを紹介するシンポジウム等に取り組むことで、センターの更なる周知に努める。
これらの取り組みのひとつひとつの積み重ねが、ひきこもりの長期化を防ぎ、「8050問題」への対応に寄与するものであると考えている。
回答 (福祉部長)
自立相談支援センターでは、高齢の親御さんから、現在は自身の年金等の収入で生活は成り立っているが、将来において子どもが無就労状態のため生活困窮に陥る不安がある旨の相談がある。
当センターでは、就労自立に向けた支援を進めているが、ひきこもり等が理由で就労体験に乏しく、直ちに一般就労が難しい方については、ボランティア体験や職場体験を通じた日常生活自立、社会的自立の段階的な自立を目指した、就労準備支援事業を実施している。
課題解決にあたっては、関係機関との連携が重要なことから、今後も情報共有を図りながら、相談者に寄り添った支援を進めていきたいと考えている。
要望
中高年のひきこもりの場合、ご本人はさまざまな経過の中で深く傷つき、自己肯定ができずにおられると思われるし、ご家族は、家族の問題は家族で解決すべきだと思われていることが多いので、まず、相談窓口にお越しになること自体が難しい。そして、ご本人には、働いていないことを責められたり、働くことを求められたりするのではないかという強い不安があると思う。
ご相談につながりにくいこの2つの「壁」を超えるためには、地域福祉や保健事業の展開の中で、あるいは親世代の介護などをきっかけにして、さまざまな関係者が連携して、まずご家族・ご本人との関わりを持つことが最も重要だと思う。そして、その後も、関係部署がしっかりと連携して息長く寄り添いながら、抱えておられる課題を一つひとつ解決していくための取り組みを進めていくこと、孤立してしまわないようSOSに気づき、つなぎ、寄り添いながら支える、こうした地道で時間がかかるけれども、最も大切な取り組みを充実されることを強く要望する。
→(コメント)私は、これまでに確立されてきた行政の分担体制、つまり「縦割り」では対応が難しい、市民の皆さんの複雑になる一方の課題に対しては、行政施策が総合的・効果的に行われることをめざすことが必要であると訴え、また、「課題解決に向けた一歩前進をめざす」ということも、基本的な考え方として掲げてきました。市民の皆さんが直面している8050問題に対する支援を、半歩でも前に進めていただきたいと考えています。