大規模災害に備えるためにも、災害対策の拠点となる市役所新庁舎は防災公園に隣接して④街区に整備し、枚方消防署新庁舎を⑤街区内で整備する連鎖的な防災まちづくりを実現すべき。市駅周辺における防災対策の推進について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告④です。

2024/09/17

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「2.市駅周辺における防災対策の推進についての報告です。

枚方消防署庁舎の現禁野小学校位置への移転案が突如報告されましたが、なぜ、⑤街区において建て替える案を検討しなかったのかについて確認したところ、⑤街区では同消防署に必要な敷地面積の確保が難しいとのご答弁でした。⑤街区内にある市有地を活用すれば、老朽化し、耐震能力にも不安を抱える枚方消防署庁舎を建替え、③街区などで高度化される市街地に対応できる高度な消防力のための拠点施設が整備できる可能性があるのに、それを捨てて、他の整備候補地を検討するというのでしょうか。そんな選択をすると、中心市街地である枚方市駅周辺の救急機能・消防機能の低下が非常に懸念されます。

大規模災害に備えるためにも、枚方市駅周辺再整備基本計画を見直し、老朽化した危険公共建築物を一刻も早く解体・撤去したあと、枚方市役所新庁舎も枚方消防署新庁舎も、④⑤街区内で早期に整備し、④⑤街区における連鎖的な防災まちづくりを実現すべきだと私は考えます。災害対策の拠点となる市役所新庁舎は防災公園に隣接して④街区に整備し、枚方消防署新庁舎を⑤街区内で整備するために、まだ事業着手に至っていない④⑤街区に関する枚方市駅周辺再整備基本計画を一刻も早く見直さなければなりません。そのことこそが、⑤街区に市役所新庁舎を設置する条例案が議会において否決されたことに対する市の誠実な対応であると意見しました。

また、平時、災害時を問わず、多くの人が集まる「防災公園」にあっては、受動喫煙対策も重要な課題です。実効性のある屋外における受動喫煙防止対策を実現するためには、子どもの受動喫煙、そして枚方市駅に隣接する広大な空間における受動喫煙防止対策の具体化が極めて重要であると意見しました。

 


 

以下、9月17日の一般質問でのやりとりを掲載します。

2.市駅周辺における防災対策の推進について

Q.私の質問

8月8日、宮崎県沖の日向灘で発生したM7.1の地震で地震発生の確率が「相対的に高まった」として、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表された。その後、15日に特別な措置は終了したが、地震リスクはすぐそこにあるということを改めて確認することになった。大規模災害への備えは待ったなしである。
そこで、今回の臨時情報の発表を機に、防災・減災機能の確保を検討していくとされていた市駅周辺における防災対策において、具体的な検討が進んだのかを伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

地震や大規模な火災等の災害を見据えた強い都市の形成を目指し、現在、④⑤街区における防災・減災機能の確保をする考えであり、事業の進捗にあわせ具体化を図る。

O.私の意見

6月の議会では、ニッペパーク岡東中央を拡大して創出するみどりの大空間では、大規模災害時に一時避難場所などの役割も担えるよう、防災・減災機能の確保を検討するというご答弁があったが、8月の南海トラフ巨大地震臨時情報の発表を受けても、具体的な検討は進んでいないようである。
南海トラフ巨大地震の発災時に、本市が取り組むべき支援には、淀川下流域地区からの多くの避難者の受け入れや、帰宅困難者の受け入れもあると考える。大規模災害に備えるために、広域的な避難場所としても対応可能で、高度な機能を持つ屋外防災拠点がニッペパーク岡東中央を拡大して確保できるよう、早急に取り組みを進めるよう求めておく。また、④街区整備の大前提として、老朽化した公共建築物の解体・撤去は一刻を争うものであること、災害対策の拠点となる新庁舎、そして、防災関連の諸機能をバックアップできる複合施設は「防災公園」に隣接して整備すべきであるということを改めて意見しておく。

Q.私の質問

そして、枚方消防署についても、中心的な役割を担わなければならない機関だと考える。先日の総務委員協議会において、枚方消防署庁舎の現禁野小学校位置、旧中宮北小学校跡地への移転案が、突如、報告された。現在位置から移転すると、現枚方消防署がカバーしている圏域はすっぽりと抜け落ち、移転後の圏域は現渚出張所の圏域と重複することになるようである。
そこで、まず、老朽化した枚方消防署の有する課題について、改めて伺う。そして、今回の提案による枚方消防署の移転はいつ頃を想定されているのか。また、移転により現枚方消防署の担当する圏域の防災力が著しく低下することはないのか、市の見解を伺う。

A.危機管理部長の答弁

枚方消防署の課題としては、現在の庁舎は、建築から50年以上が経過する中で老朽化の進行が顕著に現れており、外壁の一部に損傷が発生するなど様々な不具合が生じている。また、車庫と前面道路には高低差があるため、消防車や救急車の迅速な出動に支障をきたしており、立地する土地についても、他の消防署と比較しても敷地面積が狭いことから、十分な訓練スペースの確保や訓練施設の設置ができていない状況である。
次に、建替の時期については、現時点ではお示しすることはできないが、先ほど申し上げたように現庁舎の老朽化の進行が著しいことから、早急に取り組みを進めていきたいと考えている。
また、当該地域の防災力については、現在地から移転した場合においても、5分救急・5分消防体制を引き続き維持するとともに、移転後の市駅周辺地域における救急需要に対応するために、救急ステーションの⑤街区に設置することを枚方寝屋川消防組合とともに検討していることから、当該地域の防災力の低下を招くことはないと考えている。

Q.私の質問

市駅周辺では、③街区の「まちびらき」もあり、高層の施設も増えた。来街者も含め、滞留人口も大きく増えることが予測される中、緊急時のみならず、平時における対応も懸念される。防災力のさらなる強化が求められるのではないかと思うが、5分救急について、⑤街区での救急ステーションなる案は示されたものの、5分消防の体制が引き続き維持されるのかという懸念は残る。「当該地域の防災力の低下を招くことはない」と述べられる根拠が全く理解できない。
私はかねてから枚方消防署庁舎の老朽化及び建て替えの必要性を指摘し、枚方市駅周辺再整備基本計画における位置づけを求めてきた。しかし、枚方消防署の更新については、「消防組合において検討」と枚方市として検討する姿勢を示されなかった。
そこで改めて伺うが、救急・消防体制を合わせ持つ枚方消防署を⑤街区において建替える案を検討しなかったのはなぜなのか、伺う。

A.危機管理部長の答弁

⑤街区での枚方消防署の建設については、現在、市駅周辺再整備に係る取り組みが進められており、枚方消防署新庁舎に必要な敷地面積3,500㎡の確保が難しいことから、移転候補地とすることは適当でないと考えている。

Q.私の質問

そもそも、枚方市駅周辺再整備の大きな目的の1つは、老朽化した各種の公共施設の更新を進めることであった。にもかかわらず、⑤街区には市役所新庁舎を想定しているので、枚方消防署新庁舎に必要な敷地面積が⑤街区にはない。枚方消防署をどこに移転するかについては、「引き続き、消防組合において検討してね、他のところで考えて」という対応を進めておき、そして今に至って中宮地区への移転案を示されたわけである。
しかし、いま、具体的に枚方消防署の移転建替えを検討するのであれば、⑤街区へ市役所新庁舎を設置する条例案が議会において否決され、まだ事業着手に至っていないのであるから、改めて④⑤街区に関する枚方市駅周辺再整備基本計画を再考すべきではないか。市の見解を伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

④⑤街区においては、大規模な地震や火災などの災害に強い市街地の形成を図るため、既存の老朽化した建築物等の更新・立地を促進し、駅前にはニッペパーク岡東中央を拡大するみどりの大空間において、防災・減災機能の導入を図りつつ、⑤街区に災害対策の拠点となる新庁舎を整備し、防災力の向上を図る考えである。
その中で、消防機能においては、この移転に伴い当該地域の防災力の低下を招くことはないものと考えている。
こうした考えのもと、④⑤街区の防災まちづくりを着実に進め、⑤街区における新庁舎整備の早期実現に向けて取り組んでいく考えである。

O.私の意見

消防と救急機能を分離するような枚方消防署の移転を検討するのではなく、③街区のまちびらきを受け、老朽化した危険公共建築物を一刻も早く解体・撤去したあと、枚方市役所新庁舎も枚方消防署新庁舎も、④⑤街区内で早期に整備し、④⑤街区における連鎖的な防災まちづくりを実現すべきなのである。そのために、まだ事業着手に至っていない④⑤街区に関する枚方市駅周辺再整備基本計画を一刻も早く見直す必要がある。そのことこそが、⑤街区に市役所新庁舎を設置する条例案が議会において否決されたことに対する市の誠実な対応であると申し上げておく。

Q.私の質問

次に、多くの人が集まることになる防災機能も備えた「みどりの大空間」という屋外公共施設における受動喫煙対策について、市はどのように取り組もうとしているのかについて、伺う。
平時、災害時を問わず、多くの人が集まる「防災公園」にあっては、受動喫煙対策も重要な課題であると思う。
屋内施設における受動喫煙防止対策は、ある程度は実効的な施策が展開されているかと思うが、屋外施設における受動喫煙防止対策はまだまだ十分ではない。大阪府では、自らの意思で受動喫煙を避けることが困難な子どもの健康を守るため、「子どもの受動喫煙防止条例」も制定しているので、子どもが利用する屋外施設においては、特に受動喫煙を生じさせない対策が必要であると考える。
そこで、屋外施設における受動喫煙対策の必要性や本市の考え方について、伺う。特に、駅前再整備における受動喫煙対策についての考え方、取り組みの方向性、関係部署間で何らかの協議を行っているのか等の状況についても伺う。

A.保健所長の答弁

本市においても、改正健康増進法大阪府受動喫煙防止条例等に基づき、屋内・屋外を問わず受動喫煙対策に取り組む必要があると認識している。
屋内は、これらの法令で原則禁煙とされているが、屋外は、禁煙とはされておらず、「喫煙をする際、周囲の状況に配慮すること」や、「二十歳未満の者や妊婦等に対して公共の場所において受動喫煙を生じさせることがないよう努めること」などが示されている。
そこで、市内10カ所のデジタルサイネージを活用し、受動喫煙を防ぐため周囲への配慮を促す動画を放映したり、子どもの近くで喫煙しないよう呼びかける啓発ポスターを自治会掲示板等に掲示するよう依頼したりと、市民や地域の皆様におかれましても屋外での受動喫煙対策にご協力いただけるよう、広く啓発の取り組みを行っている。
また、屋外であっても、受動喫煙に関する情報提供があった場合には、職員が現場に赴き、実際に状況を確認させていただいて、管理者に対して必要な対策をとるよう指導・助言を行うなどの対応を行っている。
枚方市駅周辺再整備にあたっても、受動喫煙防止に関する基本的な考えは変わっていないが、市駅周辺における分煙の推進については、関係部署と連携して継続した取り組みを行っていく。

O.私の意見

屋外における受動喫煙防止対策については、啓発だけで実効性のある対策が実現するものではない。
本市においては、「子どもを守る条例」が2021年3月に施行されている。制定過程時より、何から子どもを守るのかということが問われていたが、条例制定から3年を迎えても、具体化はあまり進んでいない。私は、子どもを受動喫煙被害から守ることについては、性被害から守ることとあわせて、特に重要な課題だと考えている。
実効性のある屋外における受動喫煙防止対策を実現するためには、子どもの受動喫煙、そして枚方市駅に隣接する広大な空間における受動喫煙防止対策の具体化が極めて重要である。
そして、市民レベルでの機運の醸成、子どもの受動喫煙被害に関する実態調査の実施、総合的・包括的な実効性のある施策の展開に結びつけていくことが必要であると考えているが、この点については、まだ別の機会に質疑させていただく。

 


【参考】

▶ 高度な機能を集積させた防災公園は市役所新庁舎に隣接して整備を。大規模災害に備えるということについて、質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告①です。

枚方市駅周辺再整備において拡張を検討されている公園・広場には、高度な機能を集積させた「防災公園」を確保し、その公園と連携する災害対策の拠点となる市役所新庁舎、防災関連の諸機能をバックアップできる複合施設を、「防災公園」に隣接させて整備することが、市にとっても、市民にとっても有効であると考えます。貴重な市の財産を売却して民間に開発を委ね、タワーマンションや商業施設などの複合施設を建てさせている場合ではありません。いまこそ、防災公園街区整備事業を活用して実施した中部拠点整備事業の経験を生かし、枚方市駅周辺再整備基本計画を適切に見直すべきであると強く求めました。

 

枚方消防署の建替候補地の検討について(202408)

8月の総務委員協議会では、枚方消防署庁舎の現禁野小学校位置、旧中宮北小学校跡地への移転案が、突如、報告されました。現在位置から移転すると、現枚方消防署がカバーしている圏域はすっぽりと抜け落ち、移転後の圏域は現渚出張所の圏域を全く重複することになるようです。

▶ 大規模災害に備えることが最優先課題。まずは暮らしの安全・安心。これまでの議会での主張等をコンパクトにまとめた「私の対案」を掲載しています。(2024年4月1日)

災害時に行政機能を最大限に発揮することのできる新庁舎は、④街区の防災拠点機能を持った広大な公園・広場と隣接して一体的に整備されることが最も合理的です。枚方市が所有する④街区の広大な土地を民間開発事業者に売却するのではなく、新庁舎や必要な公共施設の更新等、大規模災害への対応拠点の整備に活用し、平時においては、子どもを大切にし、子育てのしやすいまちであることが実感できる機能と施設の集積に役立てることこそが、市の実現したい施策の具体化にもつながるのではないでしょうか。
そして、⑤街区については、訓練施設や高度化された消防・救急機能などを備えた枚方消防署と、優れた機能を有した新しい枚方警察署が集積する地域づくりを連鎖的に進めるべきであると考えています。

 

▶ 枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について、2月21日、全員協議会が開催されました。老朽公共施設の更新は待ったなし。大規模災害に備えるということが本市の最優先課題であり、その対応拠点となる新庁舎は、防災拠点機能を持つ④街区の広大な公園・広場と隣接して整備されることが、最も合理的ではないかと訴えました。(2024年2月21日)

枚方警察署や枚方消防署の更新に関する検討の選択肢から⑤街区があらかじめ排除されるのは、「府民センター跡地を活用して新庁舎を整備し防災の拠点を形成する」と、「⑤街区に市庁舎の移転ありき」を前提としているからである。

 

▶ 民意を尊重した、透明かつ公正な説明責任の履行を。10月17日、所信表明に対する代表質問を行いました。(2023年10月17日)

枚方消防署の建替えについても同様です。⑤街区内にある市有地を活用すれば、老朽化し、耐震能力にも不安を抱える枚方消防署庁舎を建替え、③街区などで高度化される市街地に対応できる高度な消防力のための拠点施設が整備できるのに、それを捨てて、救急と消防機能を分離し、わざわざ他の整備候補地を探そうというのです。

▶ 市民から市政を預かる重い責任を持つ市長が、フェイクとも言える数字を持ち出して再整備事業の意義を語るのは市民に対する背信行為。6月12日の全員協議会。消したアリーナの効果も算入した経済効果額を持ち出す市長の姿勢を指摘しました。(2023年6月12日)

現枚方消防署は、2007(平成19)年に行った耐震補強も、実は消防庁舎として十分な機能を満たせるものではなく、近い将来に建替えをするのであればとの応急的な措置であったようである。
現2,000㎡の敷地では狭隘で訓練施設も不十分であり、建替えに際しては5,000㎡程度の敷地の確保と、訓練施設、特殊車両(化学車・梯子車)等の配備も要望しておられる。そのような施設を「⑤街区で確保することは困難である(市駅周辺では難しい)」との市からの回答を得ており、市の方でも、候補となる場所を探してくれているところではあるが、消防職員は、老朽施設の中で、普段より振動が激しい上に、それこそ、市役所本庁舎のような軒先からの崩落がないかと日々ひやひやしている状況であると聞いている。
枚方消防署や枚方警察署の建替えがアジェンダ(取り組むべき政策課題)となっていないのは、「政治」の責任ではないか。
伏見市長は、このことを政治課題にすると市役所の⑤街区移転計画の支障になるから隠しておられるのだろうか。市議会議員であった時の質疑を思い起こしていただければ、消防庁舎、そして市庁舎もであるが、それらの施設の問題点などは充分理解いただけると思う。現消防庁舎の危険性とその建替えが極めて緊急性の高いアジェンダであることをしっかりとご認識いただき、市庁舎の⑤街区移転だの、市有地の売却などと言って、その解決の道筋を放棄してしまうことは、やめていただきたい。

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