大規模災害に備えることが最優先課題。まずは暮らしの安全・安心。これまでの議会での主張等をコンパクトにまとめた「私の対案」を掲載しています。

2024/04/01

枚方市議会議員の奥野みかです。

能登半島地震という大規模な災害が発生しました。次の「被災地、被災者」は自分たちかもしれないという危機感をもち、近い将来、確実に発生すると予測されている南海・東南海地震への備え等、防災力のさらなる向上が求められています。そのような中、市が計画している新庁舎建設や④⑤街区の再整備事業が、真に必要な合理的なものであるのか、100年先の未来を見据えた「投資」に値する適切なものであるのか、適切なリスク評価は行われているのかを改めて確認しましたが、その答えはすべてが「ちぐはぐ」でした。それは、新庁舎の⑤街区移転など、理由や根拠もあいまいな「はじめにあった結論」に固執してしまっていることが原因であると考えます。

老朽化した公共機関庁舎の建替えは待ったなし

大規模災害に備えることが最優先課題

過ちを改めようとしないことが本当の過ちである。子曰、過而不改、是謂過矣【論語】

災害時に行政機能を最大限に発揮することのできる新庁舎は、④街区の防災拠点機能を持った広大な公園・広場と隣接して一体的に整備されることが最も合理的です。枚方市が所有する④街区の広大な土地を民間開発事業者に売却するのではなく、新庁舎や必要な公共施設の更新等、大規模災害への対応拠点の整備に活用し、平時においては、子どもを大切にし、子育てのしやすいまちであることが実感できる機能と施設の集積に役立てることこそが、市の実現したい施策の具体化にもつながるのではないでしょうか。
そして、⑤街区については、訓練施設や高度化された消防・救急機能などを備えた枚方消防署と、優れた機能を有した新しい枚方警察署が集積する地域づくりを連鎖的に進めるべきであると考えています。

移転条例の否決など全くなかったかのような姿勢で、市役所庁舎の⑤街区移転を前提とする「枚方市駅周辺再整備基本計画(改訂版)」を進めようとする市の問題点等を明らかにするとともに、2月21日の全員協議会で訴えた上記の内容や、私のこれまでの議会での主張等をもとに「私の対案」をまとめています。

皆さんのご意見をいただけると嬉しいです。

 

また、全員協議会では、これだけ公的機関の土地所有が多い地域を再整備するのだから、大規模災害に備えるための拠点整備という公共性の高い事業目的を確立して事業を行うことが最も現状に適合しているのではないかとも意見しました。UR都市機構を施行者とする「土地区画整理事業」を市は提案していますが、高槻市の安満遺跡公園、茨木市の岩倉公園(立命館大学大阪いばらきキャンパスに隣接する防災公園)、枚方市でも車塚公園、うめきたで整備が進んでいる公園等々、UR都市機構が手がけた防災公園の事例がありますが、UR都市機構による「防災公園街区整備事業」を検討していただきたいとの思いも記しています。

 

▶ 防災公園街区整備事業

 

 

[枚方市駅から続く陸橋の上から。正面緑道の奥が市役所庁舎で、右側本館は外壁改修中。左側別館はこれから外壁の調査を行う予定。緑道の左側は壁面3面を落下物防護ネット(約2,000万円のコスト!?)で覆われた旧市民会館大ホール棟(第3分館)/2024年3月撮影(以下の写真も同様)]

[市役所庁舎本館は、現在、外壁改修中]

[(Is値は0.75を確保したものの0.9には至っていない)枚方消防署庁舎]

[枚方警察署も、現在、外壁改修中(石綿除去作業含む)]

 


 

【3月定例月議会(予算特別委員会)】

今年1月1日に発生したM7.6の能登半島地震を受け、近い将来にM9.1規模での発生が想定される南海トラフ巨大地震のリスクへの対応も含め、本市の最優先課題である「大規模災害に備える」ということに対して、市はどのように取り組んでいく考えか、市長のリーダーシップの危機感をもってどのように具体化する考えか(状況変化に応じた対応)ということと、新型コロナウイルス感染症対応等で膨張した緊急時の財政運営からの脱却(財政規律の回復)等、予算編成についての考え方を質すということから始めました。個別課題では、万博入場料の公費負担、公共施設の適正管理の諸課題、第1優先で取り組む課題が小学校給食の無償化であるのか等を順に質問していきました。

 

異次元の子育て支援対策の重要性が語られる中、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援として重要な柱となる、地域における産後ケア事業、地域に根差した産後ケア事業は、最も充実させなければならない機能です。新年度に向け、市は委託料の増額に踏み切りましたが、他市と比較してもまだまだ水準は低く、受け入れた分だけ赤字になってしまう…との悲鳴を聞くような状況です。
まずは産後ケア事業の重要性を認識いただき、妊産婦を支えていただく助産所などとしっかりと協議を行い、市が適切なコストを負担する事業執行となるよう強く求めました。

また、今年9月頃には、ステーションヒル枚方の6階に、こども家庭センターとなる「まるっとこどもセンター」が設置され、保健センターから母子保健機能が移行することは説明されてきましたが、乳幼児健診後の事後指導となる「親子教室」は保健センター別館に残るようです。「健康づくり・介護予防課」で担っていた成人保健(健康増進法)や介護予防(介護保険)等の機能は、さて、どこにどう移行するのかと思っていると、4月以降、市役所本館3階に「健康づくり課」が移動してくるという配置図が、突然、示されました。市庁舎の空き場所にはめられたような感がぬぐい切れません。市役所本館3階で、関係機関との連携がうまくいくのでしょうか。また、現保健センターの建物は、母子保健機能が移行する9月以降、全面改修が行われ、保健所の機能が移行するとのことでした。

戦略的な検討・整理が行われたのか、非常に疑問です。再開発事業の都合上、確保せざるを得なくなった③街区の床に、聞こえのよい子育て支援機能を位置付けてしまったから混乱が生じているのではないでしょうか。場当たり的に枚方市駅周辺再整備事業を進めた「歪み」がここにも現れているのではないかと指摘しました。

 

病院事業会計では、厳しい労働条件の中でキャリア継続できる看護師人材を確保するために行っておられる取り組み・環境整備について確認し、医療現場における過酷な人材獲得競争を突破し、閉棟を選択せざるを得ない今の緊急事態を乗り越えるためには、それこそ異次元の経済的な支援、異次元の処遇改善とも言えるような経済的メリットの提供や体制整備など、思い切った特色ある対策が必要であることから、市としても危機感を共有し、基準を超える一般会計からの財政的支援を行うことを強く要望しました。

水道事業会計では、浄水施設更新及び完了後20年もの長期間の運転維持管理業務の委託料を定める契約について、物価高騰・人件費上昇の中、行われるスライド条項の適用等により明らかになってくる公共契約としての公正さに関わる課題について、改めて問題提起を行い、議会が関与することがないからと言って、不適切な契約対応や委託料支払に係る予算修正が行われることがないよう、改めて強く求めました。
水道管路の耐震化については、能登半島地震を受け、首長においては、次の被災者になるかもしれないという危機管理意識を持ち、あらゆる知力を尽くして、本市特性を踏まえた大規模災害に備えるための対応を実施するというトップマネジメントをどれだけ発揮できるかが求められていると訴えました。重要インフラである水道施設の耐震化や老朽化対策が国土交通省に移管されて加速されること、適切な財源確保はもとより、それを活かす市政運営や、一般会計(税)からの財政的支援を要望しました。

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