さらに老朽化し、どんどん危険になっていく市民会館大ホール棟が駅前に放置される? 基金を活用した解体撤去の先行実施を。新庁舎及び総合文化施設整備事業基金について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告⑤です。

2020/12/15

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「5.新庁舎及び総合文化施設整備事業基金について」の報告です。

今年度中に実施する法定点検に基づく検討により、市民会館大ホール棟が危険な状態については、さまざまな現状確認も進むと思われます。市有建築物保全計画の対象からも除外され、廃止施設となった後は解体撤去を待つばかりなので、建物維持のために予算を使うことも困難になり、さらに老朽化し、どんどん危険になっていく市民会館大ホール棟が駅前に放置されるということは絶対に避けていただきたい。この後、どうなるか不透明な土地区画整理事業から切り離していただき、基金を活用した市民会館大ホール棟の解体撤去を先行実施するという事業の進め方を検討すべきと意見しました。

 

 


 

以下、12月15日の一般質問のやりとりを掲載します。

5.新庁舎及び総合文化施設整備事業基金について

Q.私の質問
令和3年3月に竣工予定の総合文化芸術センター整備事業費の総額、及び、新庁舎及び総合文化施設整備事業基金の充当など、整備事業費の財源内訳について、伺う。

A.部長の答弁
総合文化芸術センターの整備費については、これまで整備計画でお示ししていた事業費約143億円に対して、今後の見込みも含めると、約129億円となっている。財源内訳としては、国庫補助金が約9億円、市債が約85億円、新庁舎及び総合文化施設整備事業基金繰入金が約16億円、一般財源が約19億円となっている。

Q.私の質問
廃止となる市民会館・市民会館大ホール棟の解体撤去の財源に当該基金を活用できないのか、また、減債基金への積替えを行うなど、起債の償還財源に当該基金を活用できないのか、伺う。

A.総合政策部長の答弁
市民会館と市民会館大ホールの解体にあたっては、④⑤街区で想定している都市再生区画整理事業において行うことにより、国庫補助金が財源として活用できるものと考えている。
また、「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」を市駅周辺再整備事業の市債償還に活用することについては、財政の健全性を維持しつつ本事業を着実に進めるためにも必要であり、今後、同基金の設置目的等の見直しを行っていく。

O.私の意見
魅力のあるまちづくりのために本当に大切なもの、それは枚方市駅前に存在する広大な市有地だと私は考えている。この広大な市有地は市民の大切な財産である。解体撤去費用にいくばくかの国庫補助金を獲得するため、市民の大切な財産を手放すことと引き換えに、ありきたりな事業枠組みを選択し、結局、長期にわたって廃止施設が放置されることになるなど、大きな機会損失であると指摘しておく。

Q.私の質問
市民会館大ホール棟は、平成30年の大阪北部地震の影響で、大ホールが使用できなくなり、現在、小ホールと大ホールロビーのみ、市民に貸し出しされている。しかし、開館してから約50年が経過し、ずいぶん老朽化も進行していると思われるが、建物や設備に対する点検を適切に実施されているのか、伺う。

A.観光にぎわい部長の答弁
市民会館大ホール棟については、3年毎に建築基準法に基づく特定建築物定期調査をはじめ、毎年、防災設備点検など各種点検を実施している。平成29年度に実施した特定建築物定期調査では、一部指摘を受けているが、必要に応じて修繕等の対応を行っている。
なお、今年度中、年明け1月から3月にかけて、特定建築物定期調査の調査結果に基づき、今後の対応を検討していく。

O.私の意見
不特定多数の人が利用する建築物は、構造の老朽化や避難設備の不備等が大きな事故や災害を招く恐れがあることから、建築基準法第12条に基づく定期的な調査・検査が義務化されている。市民会館大ホール棟を一部使用している現時点ですら、今年度必要だった法定点検に基づく検討をこれから段取りするという維持管理の形骸化がすでに始まっている。結果、間に合ってよかったが、このような状況では、総合文化芸術センターがオープンした後、いまだに確定していない新たな所管課が、完全に廃止施設となった大ホール棟の維持管理をまともにできるわけがないことは明らかではないか。
外壁のコンクリート面の亀裂・露筋は素人目にも気になる。前回調査以降、平成30年には大阪北部地震があった。外壁タイル等の劣化・損傷については、平成20年の建築基準法の改正により10年ごとの全面打診調査も義務化されている。今年度中に実施する法定点検に基づく検討により、さまざまな現状確認も進むと思う。
市有建築物保全計画の対象からも除外され、廃止施設となった後は解体撤去を待つばかりなので、建物維持のために予算を使うことも困難になり、さらに老朽化し、どんどん危険になっていく市民会館大ホール棟が駅前に放置されるということは避けていただきたい。廃止され、放置されていた市民会館を基金を使って解体し、その跡地を市民が育てる広場、「社会実験IBALAB(イバラボ)」として活用されている、実に魅力的な茨木市の取り組みについて、先の全員協議会で紹介させていただいた。
この後、どうなるか不透明な土地区画整理事業から切り離していただき、基金を活用することも視野に入れ、市民会館大ホール棟の解体撤去を先行実施するという事業の進め方を検討すべきだと意見しておく。

 


 

先の全員協議会でもだ市民会館大ホール棟の跡地活用について、質問しました。
まちづくりに先行した単独での解体は、財政状況等も踏まえると課題があるという答弁に対し、市民会館大ホール棟は、老朽化し危険なため、まず解体すべきではないか、基金を使って解体し、市民と対話や議論を重ね、跡地を活用している茨木市の例もある、危険建築物を放置することなく解体し、市民とともに跡地の有効活用を検討すべきであると意見しました。

 


 

公共施設の最適化・適正管理を推進するために活用できる国制度のうち、公共施設の除却に係る費用について、公共施設等適正管理推進事業債(充当率90%)も活用できるのではないかと問いかけたところ、交付税措置がないので、あまり有効な手法ではないとのお答えでした。
財源の確保は難しい課題ですが、総合文化芸術センターの新設により、市民会館大ホール棟が不要となるわけですから、「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」の活用による危険建築物となる市民会館大ホール棟の解体・撤去は市民にも納得のいく選択ではないでしょうか。

▶ 公共施設等の適正管理の推進について_平成31年4月25日

▶ 自治体施設・インフラの老朽化対策防災対策のための地方債活用のてびき_令和2年7月

 


 

建築基準法第12条第2項及び官公庁施設の建設等に関する法律第12条等により、建築物等の敷地及び構造について、定期点検が義務づけられています。対象建築物(官庁施設の場合)は、特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積が100㎡を超えるもの、事務所その他これに類する建築物で階数2以上又は200㎡以上の建築物で、点検内容は、鉄筋コンクリート亀裂、鉄骨の腐食、外装材の浮き等、「損傷、腐食その他の劣化状況」とされています。
市民会館大ホール棟は、平成20年からの要求項目である外壁タイル等の「全面打診検査」は実施していないと聞いています。廃止施設となることが確定していることが要因かもしれませんが、危険な状態が適切に把握されていないことを懸念します。

(※上記は、国土交通省のパンフレットより抜粋)

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