よりよく生きるために、一緒に深く考える。相談はよりよい理解や解決策を見つけ出すためのプロセス。8月20日、「相談すること・相談されること」をテーマに「みか’s cafe」を開催しました。

2023/08/20

枚方市議会議員の奥野みかです。

8月20日、4回目の「みか’s cafe」を開催しました。雨の中の開催が続いていましたが…、今日は快晴。38度を超え、とても暑かったです。相談の現場で長く仕事をしている方にも加わっていただき、もっとよい枚方をつくるための対話が、とても充実した盛り上がりました。集まってくださった皆さん、ありがとうございました。

今回のテーマは「相談すること・相談されること」でした。

「孤立・孤独で悩む人を誰一人取り残さない社会。相互に助け合い、人と人とのつながりが生まれる社会をめざす」という、孤独・孤立の問題を考えていくとき、「相談」の仕組みの充実がまずは喫緊の課題です。

しかし、行政の相談事業には課題も多くあります。

相談窓口を開設しました、相談しに来てください、総合的に何でもやりますよと言っても、まず、相談に行くことができないから大変なのであって、相談窓口に行っても、いわゆる「たらいまわし」の懸念もあります。相談することができた時点で、課題解決に向けての大きな一歩を踏み出せているのではないかと思うので、思い切って相談した時にどう受け止めてもらうのかというのはとても重要です。相談を受ける側にはどのような構えが求められているのか。相談窓口の専門性の確保も大きな問題です。

相談すること、相談を受けるということ(相談されること)、それは仕事か、プライベートか、そんな場面を区切りながら、地域や現場のさまざまな状況やそれぞれが思うこと、考えること、それぞれが行っている対応等について、語り合いました。今回も、幅広く、皆さんから本当にたくさんの意見をいただきました。

ひとりで悩まないで、まずは相談してみてください。~そんな呼びかけがありますが、よりよく生きるために、一緒に深く考えること。何を、どう選択するのか。「相談」という営みは、相談者自身がよりよい理解や解決策を見つけ出すためのプロセスであると思います。困りごとを抱えた相談者が発した「相談」という営みを支えるためも、さまざまな相談窓口がつながること、そして、そこから導き出された支援がつながることが大切で、そういった相談や支援のコーディネートやモニタリングの仕組みが行政に求められているのではないかと思います。また、その際、地域にあるさまざまな社会資源、例えば、子ども食堂やオレンジcafeなど、地域の居場所(拠点)などとの連携の可能性も探っていけるのではないでしょうか。

次回の「みか’s cafe」は、「支援ついて」をテーマに話し合うことができればと思っています。日時は、9月18日(月・祝)9時30分~を予定しています。「みか’s cafe」、引き続き、よろしくお願いいたします(⁠◠⁠‿⁠・⁠)⁠—⁠☆

 

 


(※以下のような「対話」を重ねました。)

【相談するということ、相談を受けるということ】

・相談をする、相談を受けるということに、なぜ、これだけ抵抗があるのか不思議である。一歩踏み出すのが非常に難しいのだろうか。
・困難を抱えている人がうつ状態であるため、相談に行く気力もなく、相談する内容を言葉にできない。民生委員等、特技(スキル・知識・資格・ネットワーク)のある人が、出しゃばってかかわることで、初めて相談につながったという例。
・相談が始まると、サポートすべきことが背後に延々とある。背景に多くの処理項目がある。
・悩みのある場所に商売が生まれる。ニーズがあるから動ける。
・何がわからないのかわからない。どうしたらいいのかわからない。わからないことがわかっていない子もいる。自分の現在地の認識不足。→相談が何を求めているのか、わからないことを明確にしていく。

・相談に来られた方に何を返すか。相談というのは、何を与える、情報を提供することなのか。具体的な手助けをすることなのか、受け止めることなのか。
・経済的な問題には何らかの答えが必要(プロとしての仕事)。どこまで踏み込むか、迷いがある。
・行政には、現在、テーマごとの相談事業が激増している。縦割り相談。何でもかんでも相談窓口で、「相談のインフレ」状態であるが、本当にこれでよいのか。やってる感を出そうと思うと相談事業。窓口を増やしているものの、どこに相談したらよいのかわからず、実は機能していない。「総合相談窓口」という何でも相談もある。重層的支援、何だかよくわからない。
・相談によって返される言葉に傷つく人もいる。「相談に行ってよかった」と思ってもらえるように心がけている。「〇〇さんがいてよかった。〇〇さんに出会えてよかった」と思ってもらえるように受け止めたい。
・たとえ待ってでも、続きの相談をしたいと思われるようにするためにはどうしたらよいか。自分が言いたいと思っていることをわかってくれた、受け止めてくれたということ、プラス、自分では見つけられなかった、深いところで感じていたものを顕在化してくれた、言葉にしてくれたという感じ。お土産として持って帰ってもらえればと思って相談に対応している。
・寄り添い支援、同行支援→一緒にいくと安心感が違う。通訳的な存在があるだけで違う。
・聞き上手に徹し、結論は言わないようにこころがけている。
・相談者が話そうかな、と思える雰囲気に。誰かが気にかけているというだけで心強い。安心感につながる。子どもたちや親族に迷惑をかけてはいけないと、一人で抱え込んでいる高齢者が多い。孤立し、どうしたらいいかわからなくなってから相談される。早い段階で整理できたらいいが、どんどん、悩みがわいてきて、悩みごとを常に探しているかのようだ。寄り添ってもらっているという安心感。寄り添うのが一番。
・相談受ける側のスキルが必要であると痛感している。但し、身近な民生委員が話を聴くときは、要領を得ない話でも、そこから整理できればよい。
・昔は電話機器の横に、何かの時にかけようと思って、民生委員等の電話番号が書いてあった。警察の方にこの番号何かと聞かれる等。
・情報を収集し、相談につなげても、行政側からの情報提供、フィードバックがない(個人情報であるため提供できない等)。行政には民間との情報共有がないのが問題。こちらがさんざん相談しているのに、返しがない。めちゃくちゃ失礼な話であるということが行政側に自覚がない。
・信頼関係が構築できない。精神の病気を発病→退院して落ち着いて、これから生活をどう立て直そうかという人の相談が多い。

・相談を受けることで相談者側が疲弊することもある。
・ただ、ただいろんな相談を受けているのではなく、市から委託を受けて相談を仕事として受けている。社会福祉士、精神保健福祉士という資格を持っている。
・切羽詰まった相談とそうではない相談がある。急がない相談、待っていても来ないケースが多い。ひきこもりの相談は、今日・明日の対応が求められるわけではない。日常は流れている。待っててもいい人も多くいる。コロナの頃は相談件数が激減した。相談したくても、時間が経って解決されることもある。
・市役所の相談窓口に必要なのは、察知する能力。なんでわかってあげれないのか。最初の第一歩である。
・医療的モデルはダメ(指示的なモデルはいけない)と言われるが、指示的なことがいい人もいる。医療モデル的に言うと、早期発見、早期対応。生活を元に戻せた。
・孤独孤立問題。相互のつながりのなかで、相談したり、相談されたりということがあればいい。対応できる力。
・雇用している人の話は一人ひとりの時間を作って順番に聞く。怒ることを止めた。アドバイスを1つではなく、2つ以上出す。選択肢の中で、選んでくれればいい。すると、向こうから相談が来る。
・相談する窓口を地域ごとに作る。
・会社にとって働いている人は資源。枚方市にとって、市職員は資源。市職員は市民の資源、職員を上手に育てよう、よりよく使おう、よりよい人材にしようという気持ちがトップに見えない。市職員はあんたの資源ではない。上手く育てば、市がよくなる。
・介護に関する相談を受けるだけではケアマネは報酬をもらえない。プランを作って、サービスを受けて初めて報酬につながる。サービスを受けてくれないと。一番大事なところなのに、経済的に評価されない仕組み。地域包括支援センターは相談だけで事業が成り立つが、要支援のみで、要介護になると、包括から離れる。相談の営みをどう評価されるかの現れ。悪化させない最後の砦が評価されないのは辛い。
・相談し、話を聞いてもらうだけで、6~7割解決。口に出して言うだけで一歩、聞いてもらえたことでさらに一歩。人から相談を受けて悩んでいても、相手はケロリ。悩んでいたのは何なのと思うことがある。口に出すことで、自分なりに整理ができている。
・さまざま選択肢がある。話をする中で、言えた、口に出せたところで、ずいぶん進んでいる。発言を促すことで、自己決定につながる。
・学校に上がる前に対応ができればいい。学校はそれ以上できないというところで卒業させてしまう。発達に問題があるということは見えているのに、わかっているのに、手つかずのまま。

バイスティックの7原則】(ケースワークの原則)

個別化の原則
意図的な感情表出の原則
統制された情緒的関与の原則
受容の原則
非審判的態度の原則
自己決定の原則
秘密保持の原則

【相談を受ける側を支えるものって?】

・相談を受ける仕事。受ける側のしんどさを支えてもらうことは必要ではないか。相談される側を支える仕組みが要るのではないか。
・相談員同士での共有が大事。普遍化する、スーパーバイズしてもらうのが大事。
・生活保護のスーパーバイザーは生活保護の制度の指導で、しんどさまで共有してくれているかどうかはわからない。スーパービジョンはワーカーの持つしんどさを共有したり、別のしんどさを共有し、別の立場から指導するというもの。
・福祉職採用の市職員。福祉の現場に専門職をということで、20年以上を行っている。しかし、市役所の職員を減員しようとする中で、あまりにも優秀なので、違うところに飛ばされてしまっている例も。
・毎日、電話をしてくる人もいる。例えば、今日は何分ね等、ルールを決めて話を聞くなどの工夫。
・感情がないと人は動かない。ただ、相談者によっては、巻き込む人もいる。攻撃してくる相談者もいる。相談を受ける側のそんなリスクを誰がカバーしてくれるのか。精神科の医師に相談できる仕組みとかはないのか。
・市にも相談した、社協にも相談したが解決につながらない事例。朝の早くから夜まで、相手になるなと言われても、地域では相手にならざるを得ない。
・あまりにも厳しい事例、重たい事例について、民間であれば、もたない。それは、関係を切るしかないということもある。仕事にならないことはできない。プライベートならやらない。
・相談を受ける側は、その人の長い人生の中のある一点で関わるということ。連続している日常の中で何が言えるか。一期一会のいい機会になるかもしれないけれども、それ以上でも、それ以下でもない。すごくいいきっかけになることもあるけど、そのことに縛られ過ぎることもない。
・ワンストップの総合相談窓口をなぜ設置したのか。まずそこへ行って、聞いてもらう。あちこちふるのではなくて、寄り添ってもらって、一緒に考える。それができるのが市役所の職員。どこにでもお願いできるのだから。市役所の職員は、民間のざまざまな相談機関等がそれぞれ対応する、ベースのところで一番支えにならないといけない。
・市役所の職員が現場に踏み込まない。現場は民間委託。相談窓口は非正規職員。連携とか、協働とか言いながら地域に振る、というケースが増えている。

【自己責任という魔法のことば】

・本人が悪い。家族が悪い。社会の側の問題を免罪する(軽くする)、見えなくする魔法の言葉が「自己責任」である。
・今だけ、自分だけ、ヒトのことはどうでもいい。そして、大事なことは金だけ、という考え方。将来、地域の中で、誰が犯罪者になろうが知らない。それはそいつの自己責任だ等、行政が、政治が、それを自己責任だと言ってしまったらどうなのか。
・経営者目線で言うと、9割、自己責任かなと思う。何でも他人のせいにする人を「他責さんだよね」と見ている。すべて、他人のせいにしている人に比べたら、自己責任と思う方がまし⁉
・後々の社会負担を考えたら、早い段階での対応はコスト的にも合うはず。ひきこもり、ニート対策等、社会の経済的負担を減らすという説明もある。
・犯罪者を出すことは校区にとって不利益(いやだな)、被害者を出すことは不利益(いやだな)ということで、十分、地域のために動くことができる(動機づけ)。
・外国人児童生徒に対する日本語教育の保障も同じ。犯罪者を出さないということで取り組みを強めた、教育保障という観点から取り組みを推進している自治体もある。

【深く考えるということ】

・相談の始まりも、その言葉のまま受け止めていては、一番言いたいことにたどり着かないこともある。何でもないこと、全然関係のないこと、どうでもいいことから話に入ることもある。
・承認欲求もある。こう思われたい、こう思われたくないというノイズもあるから、すべてが真実ではない。こう思われたい、こう思われたくないから、こういう相談をしているのかもしれないとか思いながら聞く。相談者の発する言葉がすべて真実とは限らない。
・ヒアリング力の向上につながるのは「疑い」だと思う。すべて疑う。しっかり深く考える。「共感」と「疑い」。
・相談者は寄り添いの姿勢が大事であるとか、思いやりが大事であるとか言われるが、本当にそうなのか。「疑い」という言葉を使われたが、実は「深く考える」ということではないか。thoughtfulnessという言葉があるが、しっかり考える、表面的なことで捉えないで、深く考えるということが大切なこと。
・相談する側の「相談」と、相談される側の「相談」は違う。
・相談をした側が自分のナラティブを全部否定されたように受け止められると、落ちてしまう。そうではなくて、認める。
・あなたの正解は、正しい。皆の正解でないかもしれないし、あなたの不正解かもしれないけど、会社の正解はここやねん。経営的には、就労している時間だけ、会社の「正解」に合わせてほしいと伝えている。「経営者=リスクと責任を背負った奴隷」という認識。怒るという選択肢はない。

【行政が行う相談】

・相談業務の成果は見えにくい。効果は大事だが、効率を求められると、「処理する」「さばく」ということがメインになってくる。コスパを求められ、効率化に注力してしまうのが現状。
・相談業務をアウトソーシング、民間委託することによって、市役所の職員も減ることによって、「リアルな現実」が行政から見えなくなる危険性。例えば、高齢者、障がい者のリアルな現実が遠ざかることは、行政にとって結果的に大きなマイナスである。果があるかどうかさえわからなくなる。
・行政サービスがあっても集客できてない状態。何かあったときに行政に相談という思考がない。行政の相談は、怖くていけない人も多い。役所に行くと何を言われるのではないか、怒られるのではないかと、むしろ行政は敵だと思っている。相談という仕組みのハードルが高い。
・外国人市民のための相談窓口を作っても、誰も来ない。行政、おかみが関わっているような相談になんて怖くて行けない。国によって、母子相談。公的機関に呼び出されるのは、育て方が悪いと怒られるのではないか、何をされるのかと、怖くて近づけない。
・住民税や保険料等の滞納。ほったらかしになっていたから深刻な状況に。もっと早くに相談につながっていればというケースもある。
・滞納者への督促は、実は、何か解決できない複雑な「困りごと」があるのではないか、問題があるのではないかという思考で対応すべき。滞納というシグナルから、支援が必要な人を見つけられるのではないか。滞納という黄色信号でつながり、困りごとへの相談支援ができればいい。
・コロナの際の貸付の返却が始まる。貸しはがしのよう。・メディア等の影響もあり、税金で貸したのに返さないのはけしからん、という一般市民もいる。真面目な市職員が早期の確実な回収に努めるのは正しいと思っていたが、対象者に何らかの悩みがある、困りごとがあるのではないかという思いを持って対応することも必要。
・相談のハードルは、対価あれば下がるかも。食料を提供するということであると、とてもスムーズ。フードバンクなどを活用して、つながりを作る。
・分断、非寛容な社会では、相談窓口も効率を求めざるを得ないのか。
・市職員は比較的恵まれた環境で育った人で、困窮家庭の背景がわからないのではないか。市民の役に立つための市役所にするためには、「自己責任」という発想を捨てるべき。
・支援や相談事業を始める際は、終結のデザインを描いておかないといけない。相談の必要な人はパワーがある人ばかりではないので、あれをしてほしい、これをしてほしい、してくれないと困るという依存関係が重なると、より終結が遠のいてしまう。
・子ども若者ひきこもり等相談では年齢(39歳)が目安。一定の目標を提示して、終結を図ることもある。精神障害の場合、作業所に行く、就労に行く、という中で自然終結。
・強制的に相談を受けることも必要ではないか。
・相談する人は相談するだけの力がある。弱い立場の人には、相談が義務化されているということも有用かもしれない。

 

 


◇これまでの「みか’s cafe」

 

 

 

 

 

 

 

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