総額445億3,300万円、そのうち市負担額は29億800万円となる、新型コロナウイルス感染症対策に係る財源について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告⑤です。
ここでは、「6.新型コロナウイルス感染症対策に係る財源について」の報告です。
これまで総額445億3,300万円、そのうち市負担額は29億800万円となる新型コロナウイルス感染症対策に係る財源には、新たに設置した「新型コロナウイルス感染症対策応援基金」の運用も想定されているとのことですが、市負担額の財源となる財政調整基金は27億8,800万円の繰入れを見込み、その結果、現時点での財政調整基金の残高見込みは75億7,400万円で、国の地方創生臨時交付金を加味すると約86億円となる財政調整基金について、市の評価を確認したところ、新型コロナウイルス感染症への対応を想定し、令和元年度における特定目的基金約10億円への積み替え等の見送りにより、本市として目安とする70億円の残高は確保している状況であるとのお答えでした。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波の到来や自然災害への対応に加え、市税収入の減少など歳入面の影響が現時点で不透明であるとのことです。
そうした厳しい財政状況の中、「この街に住みたい基金」については、行革効果額として令和元年度3月補正予算に計上した5億円の積立てを執行し、令和2年度は、「この街に住みたい基金」への4億1,000万円の積立てと6億4,500万円の取崩しが予算化されています。
社会経済情勢が激変し、市税収入の見通しも不透明、新型コロナウイルス対策で予期せぬ費用も増大するという状況が想定される中、「この街に住みたい基金」への行革効果額の積立てやそれを財源とした新規事業の実施については、いったん立ち止まって見直すべきであること、行政改革による効果額の算定にあたっては、決算を経て、効果が確実なものに限って行うべきで、効果が出る前から、歳出予算に基づいて基金積み立てを執行すると財源に穴が開き、結果的に「財政調整基金」を減らすことになることを指摘し、「この街に住みたい基金」の「運用」には慎重であるべきこと、そして、社会経済情勢の激変に対応しながら市民のくらしの安心を守るためには、「財政調整基金」を重視した財政運営を行うべきであることを意見しました。
➣なお、上記の指摘は令和2年度当初予算を審議する「予算特別委員会」でも行っていますので、ご覧ください。
O.私の意見 (予算特別委員会)
「この街に住みたい基金」への令和2年度積立金4億1,000万円の内訳は、下水道事業会計への基準外繰入金等の削減、病院事業会計への繰入金の抑制、経常経費の配分見直し等とのことであるが、こうした通常の適切な財政運営による歳出経費の削減も積み立ての対象となっている。財政運営上の創意工夫の成果を特定目的基金に積み立て、使い道を限定してしまえば、総合的で効果的な財政運営の手足を縛るだけであると、これは指摘だけしておく。
社会経済情勢が激変し、市税収入の見通しも不透明、新型コロナウイルス対策で予期せぬ費用も増大するという状況が想定される中、「この街に住みたい基金」への積み立ては、行政改革による効果が確実となった額に限ることが必要ではないか。
効果が出る前から、歳出予算に基づいて基金積み立てを執行すると財源に穴が開き、結果的に「財政調整基金」を減らすことになる。また、「この街に住みたい基金」は、令和2年度を始期とする「行財政改革プラン2020」における行政改革で生み出した額を基金に積み立てた上で、行政改革を推進する経費等に充当するということなので、本来であれば、決算を経て、確実に積み立てられた基金残高の範囲内で取り崩しを行うべきであると考える。
「適切な予算編成に努めていく」との答弁であったが、予算編成上の都合で、結局、市長が特別視する一部の事業の財源に、一般財源的に使える仕組みを支える基金財源とするべきではない。
従って、「この街に住みたい基金」の「運用」には慎重であるべきこと、そして、財政運営においては「財政調整基金」を重視すべきであること、この2つを意見とさせていただく。
以下、6月22日の一般質問のやりとりを掲載します。
6.新型コロナウイルス感染症対策に係る財源について
Q.私の質問
本市は「新型コロナウイルス感染症対策応援基金」を設置したが、基金の設置目的や運用について、伺う。
A.健康福祉部長の回答
新型コロナウイルス感染症対策応援基金については、本市が実施する新型コロナウイルス感染症対策の取り組みを応援していただける市民や事業者の皆様の寄附を受け入れるため設置したものである。また、基金の当面の運用については、市民や事業者などへの経済的支援や感染症拡大防止対策、文化芸術・スポーツ活動への支援などを想定している。
Q.私の質問
新たに設置した「新型コロナウイルス感染症対策応援基金」の運用も想定されているとの答弁であるが、新型コロナウイルス感染症対策として、これまでの事業費の総額と、そのうちの市負担額について、伺う。また、市負担の財源となる財政調整基金について、4月補正予算以降の取崩し総額とそれによる財政調整基金の残高はいくらになると見込まれているのか、伺う。
さらに、自治体が取り組む施策に対して配分される国の地方創生臨時交付金について、現時点でどの程度見込めるのか、また、それを加味した場合、財政調整基金の残高はいくらになると見込まれているのか、伺う。
A.総合政策部長の回答
新型コロナウイルス感染症に関する本市の支援策については、3月定例月議会における第1弾から今回の6月定例月議会の第4弾までの支援策を合わせ総額445億3,300万円で、そのうち市負担額は29億800万円となっている。次に、財源面であるが、市負担額に対しては財政調整基金繰入金を27億8,800万円見込んでおり、この繰入額を加味した現時点での財政調整基金の残高見込みは75億7,400万円となっている。また、国の地方創生臨時交付金については、国の第一次補正で交付限度額として約10億円が本市に示されていることから、これを加味した場合の財政調整基金の残高見込みは約86億となっている。
Q.私の質問
ただいまのご答弁にあった財政調整基金86億円の残高について、市としてどのように評価しているのか、伺う。
A.総合政策部長の回答
財政調整基金については、新型コロナウイルス感染症への対応を想定し、令和元年度におきまして特定目的基金への積み替えを見送ることにより基金残高を最大限確保することとしたため、本市ととして目安とする70億円の残高は確保している状況となっている。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波の到来や自然災害への対応に加え、市税収入の減少など歳入面の影響が現時点で不透明であり、状況によってはさらなる財政調整基金の取り崩しも想定されることから、今後の財政運営に支障を来たすことがないよう、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う本市財政への影響に注視していく必要があると考えている。
O.私の意見
新型コロナウイルス感染症への対応を想定し、令和元年度予算において、財政調整基金から減債基金に2億円、新庁舎及び総合文化施設整備基金に5億円、安心安全基金に3億円、合計では10億円となる特定目的基金への積み替え予算等を執行しない中で財政調整基金残高を確保して、令和2年度に臨み、現時点では財政調整基金86億円の残高とのことである。
新型コロナウイルス感染症対策には国の交付金が一定見込めるとはいうものの、第2波、第3波の到来も見据えなければいけないし、地震や風水害などの自然災害もいつ起こるかわからない。市税収入の落ち込みなども大きな懸念材料であるとのことである。
そうした財政的な余裕のない状況の中で、「この街に住みたい基金」については、行革効果額として令和元年度3月補正予算に計上した5億円の積立てを執行している。そして、令和2年度は、「この街に住みたい基金」への4億1,000万円の積立てと6億4,500万円の取崩しが予算化されている。令和2年度の積立てに予定している行革効果額の中には「病院事業会計に対する繰出金の抑制」も含まれているが、新型コロナウイルス感染症の対応の最前線にたち、厳しい経営状況であることが報告されている市立ひらかた病院に対する繰出金の抑制は行うべきではないと考える。
社会経済情勢が激変し、市税収入の見通しも不透明、新型コロナウイルス対策で予期せぬ費用も増大するという状況が想定される中、「この街に住みたい基金」への行革効果額の積立てやそれを財源とした新規事業の実施については、いったん立ち止まって見直すべきである。
予算特別委員会でも指摘したが、行政改革による効果額の算定にあたっては、決算を経て、効果が確実なものに限って行うべきで、効果が出る前から、歳出予算に基づいて基金積み立てを執行すると財源に穴が開き、結果的に「財政調整基金」を減らすことになる。繰り返しになるが、今年3月に新規設置した「この街に住みたい基金」の「運用」には慎重であるべきこと、そして、社会経済情勢の激変に対応しながら市民のくらしの安心を守るためには、「財政調整基金」を重視した財政運営を行うべきであることを意見しておく。