9月26日、特別多数議決を要する市役所の位置に関する条例の否決を受け、今後の枚方市としての対応、さらに、今後、枚方市が進める枚方市駅周辺再整備事業の進め方について、留意していただくべきことについて。

2022/09/28

枚方市議会議員の奥野みかです。

9月26日、「市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」は、賛成18、反対12で否決されました。議決結果が枚方市のHPに掲載されています。議長も含む出席議員の2/3、つまり賛成には20票が必要な議案でしたが、記名投票により、白票(賛成)を投じたのは18議員、青票(反対)を投じたのは12議員で、「否決」という結果でした。
特別多数議決が必要な条例案が「否決」されるのは前代未聞の事態だと思います。「行政」の感覚では、確実に「可決」されるメドが立つまで、こういった条例案は提案しないものでしょうから。

▶ 議決結果はこちらから。

付議事件議決結果一覧(9月26日)

市庁舎移転への固執は、枚方市長として、今と未来における枚方市の利益よりも、大阪府との協議経過への気遣いだけを大切にしただけものでしかないと感じていますが、特別多数議決を要する市役所の位置に関する条例が地方議会に提案されたこと、そして「否決」されたということは非常に珍しいことです。この状況について、「否決」の意味するところについて、市民にわかりやすく伝えてほしい、というご要望も届いていますので、特別多数議決の「否決」を受け、今後、市が進める枚方市駅周辺再整備事業の進め方において留意していただくべきことについて、まずは記してみます。
(※でも、あんまりわかりやすい説明にはなっていませんので…、全容の解説も含め、再度検討してみます。)

 

 

☆市民の利益にならない市庁舎移転☆

 

9月26日、特別多数議決を要する「市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」の「否決」を受け、今後の枚方市としての対応、さらに、今後、枚方市が進める枚方市駅周辺再整備事業の進め方について、留意していただくべきことは、次のとおりだと考えます。

① 特別多数議決の「否決」の重みや「一事不再議」の考え方を尊重するならば、市役所の移転条例を再び課題化させることは、決して許してはならないことです。

枚方市は、枚方市議会会議規則第15条で「一事不再議」について「議会で議決された事件については、同一議会期間中は、再び提出することができない」と定めています。「通年議会」である枚方市議会の会期は、5月の開会議会において、2022年5月13日から2023年4月28日までの351日間と定めています。ちなみに、滋賀県議会は通年議会制を導入するにあたり、「ただし、事情の変更があつたと議会が認めるときは、この限りでない」というただし書を新たに加えたようですが、枚方市議会はそのような改正はしていません。「再チャレンジするから、具体的な事業は今までどおりで」と言われても納得できません。

「一事不再議」原則もありますが、「条例の話を再び持ち出すのは、少なくとも来年の市長選挙で市長公約にして勝たれてから」にしていただかなくてはならないと考えます。

② 市役所の位置を⑤街区にすることを議会に「否決」されたのですから、市長による答弁の内容を踏まえれば、市役所の位置を⑤街区にすることを前提にする事業を進めることはできません。ということは、⑤街区の大阪府の土地と④街区の枚方市の土地の換地を目指す土地区画整理事業には着手できないということです。

行政的には、2021年3月策定の「枚方市駅周辺等再整備基本計画」「枚方市新庁舎整備基本構想」に基づき、市民理解を得られるよう、丁寧に、新庁舎整備基本計画→基本設計→実施設計の策定等々を進めていけばよかったのではないかと思いますが、結論を急ぐあまり、特別多数議決によって市役所位置を改正しようとしたけれども、結果として「否決」された、というわけです。

長尾駅周辺での土地区画整理事業について、「一気にすべてのエリアでの事業化を行うのではなく、同意形成ができたエリアから事業化を進める」と都市整備部長が答弁されていましたが、土地区画整理事業が必要だと考えるなら、④街区と⑤街区を分離し、④街区だけの事業化に絞るべきでしょう。

(1)④街区の土地区画整理事業により整理された区画に新庁舎を建てるのか、
(2)④街区の市有地を売却して、その財源で⑤街区の北河内府民センター跡地となる府有地を購入して市庁舎を移転するのか、
いずれか、もしくはそれ以外の方法を選択するかについては、これからの議論の結果次第、と考えることもできるわけです。

連鎖型まちづくりのため⑤街区の整備も一体に進めなければならないのというのであれば、少なくとも、④⑤街区の土地区画整理事業による府有地の「換地」取得という方針は修正し、④街区の整理によって整備された区画を民間に売却し、その財源で大阪府の用地を購入するということしかないのではないでしょうか。
どういう区画をどう整備するかについては、整備後の区画にどのような施設利用が想定されるかによって、区画形成の内容が変わります。従って、④街区については、「新庁舎等を整備する案」と、「市有地の売却案→府有地を購入して庁舎を移転する案」の少なくとも2つの案を用意していただき、市民にも参画していただいて、比較検討する必要があります。土地区画整理事業という事業手法の必要性や優位性自体も再検討すればいいと考えます。

⑤街区移転に賛成だったり、必ずしも反対ではないという議員もおられたと思いますし、市民に至っては全くスタートラインにも立たせていただいていないわけですから、ここはしっかりと議論を重ねればよいのではないでしょうか。

私としては、何度も何度も繰り返していますが、「大規模災害に備える」という観点から、④⑤街区の公共用地を活用して再整備しなければならない公共課題は何かを改めて考えることが必要であると考えます。

大きな壁面3面に落下物防護ネットを張られたまま残されている旧市民会館大ホール棟等をさっさと解体・撤去することで広い空間を確保して大規模災害に「備える」ことも、安全・安心な都市機能を確保するため、老朽化や狭隘化に伴う建て替えが極めて重要な政策課題である市役所の庁舎を早急に整備していくことも、枚方消防署の庁舎、枚方警察署の庁舎等を整備していくことも、すべてが「大規模災害に備える」ことにつながると考えています。

④街区に市庁舎を建設するとなれば、⑤街区の市有地を枚方消防署用地として活用することもできます。大阪府の北河内府民センター跡地をどうするのかについては、改めて大阪府に方針を確認する必要がありますが、売却(手放す)意向であれば、既存施設を活用した更新(道向かいの枚方警察署)に活用して、その跡地を売却されるという案もあるのではないかと考えるものです。

 

 

少なくとも、「市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」の「否決」を受け、2021年3月策定の「枚方市駅周辺再整備基本計画」以降に提出され、この後、基本計画案の改定も想定されていた「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」は「(案)」以上のものになることはあり得ないと考えます。

9月の一般質問の冒頭に、「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」は、現時点では「(案)」であるが、この後、どのような手続きが予定されているのか質問した際、「『同まちづくりの考え方(案)』の取り扱いについては、9月2日の全員協議会や9月定例月議会でのご意見などを踏まえ、必要に応じて修正を行い、同議会終了後、速やかに、決裁処理を行い、確定するものである。」と部長は答弁されましたが、「市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」の「否決」となった今は、そんな想定はされていないでしょう。

 

▶ 9月定例月議会の一般質問 「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」について

 

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