枚方市役所庁舎と枚方消防署庁舎のダブル移転案のどこが問題であるのか。「結論の押し付け」は許されません。枚方消防署の移転建替えについての質問です。12月定例月議会、一般質問の報告②です。

2024/12/13

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「2.枚方消防署の移転建替えについて」の報告です。

老朽化し、耐震性能も確保されていないことから、中2階及び5階が使用禁止等となっている、1971(昭和46)年築の枚方消防署本署庁舎の更新、並びに訓練施設の整備は、必要かつ緊急の課題です。そのような中、今年8月の総務委員協議会において、旧中宮北小学校跡地を移転候補地とする枚方消防署(本署)の移転建て替え案が提案され、近隣住民の意見を聴取しながらさらなる検討を進めるとの報告がありました。

本来なら隣接地域(⑤街区内)で具体化されるべき枚方消防署(本署)の建て替えが、「旧中宮北小学校跡地への移転」という形で、ただでさえ、廃校後の小学校跡地の活用について地域住民が複雑な想いを持っておられる地域に、大きな課題を「飛び火」させてしまっています。廃校後の小学校跡地の活用について複雑な想いを持っておられる地域住民にとって枚方消防署(本署)の移転などという話は「寝耳に水」であり、24時間365日、緊急車両の出動がある消防署本署を住宅街に設置するとなれば、隣接住民の環境負担は非常に重いのではないかと懸念されます。地域還元性の乏しい跡地活用は地域住民に二重、三重の負担の押しつけにもなりかねません。

ふってわいたように、廃校跡地への枚方消防署の移転計画を打ち出してきて、地元や市議会の理解が速やかに得られるとは思えませんし、16,000㎡となる旧中宮北小学校跡地全体としての活用案については、来年2月の委員協議会に示すことができればと考えていると、公共施設マネジメント担当部署のご答弁でした。市有地の有効活用にかかる庁内調整についても、まだまだこれからのようです。

枚方消防署が旧中宮北小学校跡地に移転した(なくなった)としても、現枚方消防署が所管する5分消防・5分救急に問題はないと消防組合から聞いているとヒアリング時に伺いましたが、実際の道路状況等も踏まえると、枚方市駅周辺も含む枚方消防署本署の担うべき消防・救急の体制が維持できなくなるのではないかと懸念します。

適時適切に、説明責任を果たしていただけるよう、改めてお願いをし、これまでのような「結論の押し付け」は許されないと意見しました。

 

 


 

以下、12月13日の一般質問でのやりとりを掲載します。

2.枚方消防署の移転建替えについて

Q.私の質問

今年に入って、枚方消防署庁舎の老朽化が深刻であるとして、訓練施設を含む枚方消防署(本署)の建て替えを政策課題とし、現在地では面積が不足するので移転先の検討を進めるとされた。枚方寝屋川消防組合の消防本部機能を併せ持っていた枚方消防署庁舎の老朽化は長年の懸案課題であった。そこで、消防本部を枚方消防署から分離し、消防指令センターを併設した新しい消防本部庁舎の新町への移転建て替えが進められ、2016(平成28)年2月に全面運用が開始されたという経過がある。
もちろん、残された枚方消防署庁舎の問題が解決したわけではなかった。しかし、④・⑤街区の枚方市駅周辺再整備基本計画の検討においては、何ら具体的に検討されることはなかった。
そして、今になって、現枚方消防署に隣接した⑤街区ではなく、約2㎞、直線距離では約1.4㎞離れた旧中宮北小学校跡地への移転検討が言い出されたのである。

2024年8月_総務委員協議会資料


そこで改めて伺うが、なぜ④・⑤街区の再整備計画検討の段階において、枚方消防署庁舎の建て替えを課題としなかったのか、④・⑤街区内の公有地の活用を計画に取り込まなかったのか、お答えいただきたい。

A.新内危機管理部長の答弁

枚方消防署の更新にあたっては、庁舎の建て替えに併せて訓練施設の充実が必要で あると考えており、枚方寝屋川消防組合では、訓練施設を含めた施設全体の必要面積 を3,500㎡程度と見込まれている。
当初は④・⑤街区の再整備計画の中で、⑤街区における消防庁舎の建て替えについても、その検討対象としていたが当該地区では十分な面積の確保が難しいことから、枚方寝屋川消防組合より、他の候補地選定の依頼を受け、旧中宮北小学校跡地などを候補地案として選定したところである。

O.私の意見・要望

現枚方消防署の隣接地である「⑤街区における消防庁舎の建て替えについて」検討はしたけれども、「当該地区では十分な面積の確保が難しかった」とのご答弁であったが、それは、本市の消防・救急体制、あるいは、枚方寝屋川消防本部や枚方警察、枚方市、大阪府土木事務所などの関係機関との連携上の必要性を踏まえ、立地に関する協議や検討を十分に行うことなく、⑤街区市庁舎案などという土地利用計画を決めてしまったからではないか。まともな協議・検討手続きをすっ飛ばして、何か大きなプランを持ち出して混乱を招き、結果、不信が残るというパターンには「アリーナ建設」の話を思い起こさせる。行政として、あたりまえに協議しながら、早急に検討すればよかっただけではないのか。

Q.私の質問

消防所署には、それぞれ所管地域が割り当てられている。枚方消防署本署の所管地域は南にも結構広くなっている。その本署を、渚出張所の所管エリアと同一となる位置に移転させるというのは、市の消防体制を歪めるものになるのではないだろうか。
2008(平成20)年12月議会において当時の担当部長は、同年10月の伊加賀出張所の枚方消防署及び中振出張所への統合、再編後について、引き続き5分消防体制を維持する、と答弁している。
枚方消防署が旧中宮北小学校跡地に移転したとしても、現枚方消防署が所管する5分消防・5分救急に問題はないと消防組合から聞いているとヒアリング時に伺ったが、実際の道路状況等も踏まえると、枚方市駅周辺も含む枚方消防署本署の担うべき消防・救急の体制が維持できなくなるのではないかと懸念する。市の見解を伺う。

A.新内危機管理部長の答弁

移転候補地選定にあたっては、現行の5分消防体制を維持できることを第一義的な条件として、精査をしており、枚方寝屋川消防組合が実施したシミュレーションにて、 候補地案としている旧中宮北小学校跡地に移転した場合においても、その体制が維持できることを確認している。
また、枚方消防署移転後の市駅周辺地域における救急需要に対してより迅速に対応 するために、⑤街区での救急ステーション設置を枚方寝屋川消防組合とともに検討していく。

O.私の意見・要望

「5分消防体制」が維持できるかどうかは地図の上で距離を測って判断できるものではなく、実際の道路事情を踏まえて本当に可能であるかどうかを検証することも必要である。火災等が発生した際の現場到着時間の一分一秒が極めて大事なことは言うまでもない。特に、地震などの大規模災害時における火災発生への対応は重要である。

発災時に現場に到着できるかどうか。枚方市駅周辺という滞留人口や大規模建築物の密集地域、たくさん集まった場所への「現着」、現場到着時間の速さは絶対的に必要である。
想像してみていただきたい。
中宮から枚方市駅周辺の最短道路は下り坂道のバス路線で、通行量の多い二車線道路である。大規模地震等発生時に、車両事故でも起これば、緊急車両であっても通行できなくなることは容易に予想できる。
現場へのアクセス道路が、道路の損傷、沿道建築物の倒壊、道路上の車両事故などにより通行不能になって、消防車などが「現着」できないなんてことはあってはならないことである。降雪、雪であってもマヒする道路である、あの坂道は。
また、現枚方消防署の所管地域のカバー策として、消防業務と救急業務の分離も検討されているようであるが、それは本当に効果的・効率的な体制であるのか、非常に懸念される。
いずれにしても、本市の消防・救急体制のあり方を積み重ねての方針ではないところが問題であると指摘しておく。

Q.私の質問

一方、廃校後の小学校跡地の活用について複雑な想いを持っておられる地域住民にとって枚方消防署本署の移転などという話は「寝耳に水」ではないか。新町に消防本部庁舎を移転する際にも、地域の皆さんの同意を得るのは大変だったと聞いている。24時間365日、緊急車両の出動がある消防署本署を住宅街に設置するとなれば、隣接住民の環境負担が重いのではないかと考える。
そこで確認であるが、旧中宮北小学校跡地を消防署本署の移転先としようする際に、そうしたことをはじめとした住民感情を考慮したのか、伺う。

A.新内危機管理部長の答弁

消防署の移転にあたっては、地域住民の理解が不可欠であると認識しており、本年 9月には、候補地案としている旧中宮北小学校跡地が所在する禁野校区コミュニティ協議会の役員の皆様に対して、枚方消防署の移転について検討状況を説明させていただいたところである。
引き続き、住民の方々のご意見をしっかりとお聞きしながら丁寧に、取り組みを進 めていく考えである。

O.私の意見・要望

枚方消防署本署の移転も「はじめに結論ありき」で、地元地域に押し付けるパターンのように感じられる。

Q.私の質問

市は、基本計画の具体化の中で、枚方消防署及び訓練施設整備の課題を焦点化せず、⑤街区整備の内容を定めた。しかし、現時点では課題の重要性・緊急性が大きく変わっているのであるから、枚方消防署及び訓練施設を現在位置に隣接している⑤街区内に移転建て替えできるように再検討すべきではないのか、見解を伺う。
もし、できないとすれば、それはなぜなのか、理由をお答えいただきたい。

A.新内危機管理部長の答弁

⑤街区での枚方消防署の建設については、現在、市駅周辺再整備に係る取り組みが進められており、枚方消防署新庁舎に必要な敷地面積の確保が難しいことから、移転候補地とすることは適当でないと考えている。
また、現在、浸水想定区域内に所在する枚方消防署を浸水想定区域外である旧中宮北小学校跡地に移転する場合は、国の緊急防災・減債事業債の対象となる可能性もあることから、浸水想定区域内である⑤街区への移転と比較して、財政的な面でのメリットも大きいと考えている。

O.私の意見・要望

「⑤街区内では枚方消防署新庁舎に必要な3,500㎡の敷地面積の確保が難しい」と繰り返されるが、それが理由になるであろうか。必要な敷地面積が確保できるよう、⑤街区の活用計画を見直せばよいだけではないか。
それをせず、ふってわいたような旧中宮北小学校跡地への枚方消防署の移転計画を打ち出して、地元や議会の理解が速やかに得られるとは到底思えない。
枚方市駅周辺再整備基本計画には、「防災機能の強化に向けて、老朽化が進行している枚方消防署の⑤街区への移転を検討します。(27ページ)」とか、「枚方消防署の⑤街区での建て替えについて検討を進めます。(29ページ)」との記載があるので、実は見直しを行うまでもなく、再検討すればよいだけの話である。
いずれにしても、「移転の必要のない市役所を⑤街区に移転するから、枚方消防署の移転候補地にならない」というのは、枚方市域内の消防体制・災害対応体制をどう強化するかという議論の積み重ねの結果ではない。
現にある市有地に加えて、現枚方消防署用地の売却収入を活用して新たな必要用地を⑤街区の大阪府用地などの中に確保することも可能なのではないか。⑤街区内での市有地・公有地等を移転候補地として、現枚方消防署庁舎の移転建て替えを早急に再検討するよう意見しておく。

O.(全体のまとめ)私の意見・要望

本来なら隣接地域で具体化されるべき枚方消防署の建て替えが、「旧中宮北小学校跡地への移転」という形で、ただでさえ、廃校後の小学校跡地の活用について地域住民が複雑な想いを持っておられる地域に、大きな課題を「飛び火」させてしまっているわけである。
大局的な観点で見ると、異なった領域の政策課題については、それぞれしっかりとした議論や方向性の確立が必要なのに、それをしない。そして、地域還元性の乏しい跡地活用を地域住民に押し付けるというのは、二重、三重の負担の押しつけでしかない。

公共施設マネジメントの担当部署にヒアリングで確認したところ、「旧中宮北小学校跡地全体としての活用案は、2月の委員協議会に示せるよう庁内調整を進めている。」とのことであった。
適時適切に、説明責任を果たしていただけるよう改めてお願いしておくが、それができるだろうか?
これまでのような「結論の押し付け」は許されない。

現在の社会・経済状況の中で、枚方市政が抱えている様々な課題を、どのようにして連関させて効果的に取り組むのかという点において、現市政は「思いつき・場当たり」の繰り返しである。そして、次から次へと新しい問題を生み出しているのではないだろうか。
誰の利害に配慮して、かたくなに1つの方針案にこだわるのか。
市議会からの意見、市民からの意見、異なる考えを持つ職員からの意見等々を素直に受け止め、計画を修正しさえすれば、事業を前へ進めることができるのに、それをしない。
そういった姿勢を、是非、改めていただくよう伏見市長に求めておく。

 

◇枚方寝屋川消防組合全員協議会資料より抜粋

◇枚方市駅周辺再整備関係資料より抜粋

※上記の内訳を担当部署に確認

(単位:㎡) 全体面積 ④街区 ⑤街区
一般地権者 4,000 3,300 700
4,000 0 4,000
7,700 0 7,700
24,000 20,000 4,000
合 計 53,100 23,300 16,400

 

 

◇枚方市議会 2024(令和6)年12月定例月議会(第2日)(3:51:26くらいから)

 

 


【これまでの議会での質問】

▶ 大規模災害に備えるためにも、災害対策の拠点となる市役所新庁舎は防災公園に隣接して④街区に整備し、枚方消防署新庁舎を⑤街区内で整備する連鎖的な防災まちづくりを実現すべき。市駅周辺における防災対策の推進について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告④です。(2024/09/17)

▶ 大規模災害に備えることが最優先課題。まずは暮らしの安全・安心。これまでの議会での主張等をコンパクトにまとめた「私の対案」を掲載しています。(2024/04/01)

 

▶ 枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について、2月21日、全員協議会が開催されました。老朽公共施設の更新は待ったなし。大規模災害に備えるということが本市の最優先課題であり、その対応拠点となる新庁舎は、防災拠点機能を持つ④街区の広大な公園・広場と隣接して整備されることが、最も合理的ではないかと訴えました。(2024/02/21)

 

▶ 廃止され老朽化した公共施設をすみやかに解体・撤去するとともに、市民の暮らしと活動を支え、災害時には様々な対応活動の拠点となる市庁舎を、広大な市有地に早急に建設するという選択が最も現実的で迅速な進め方ではないか。新庁舎整備についての質問です。12月定例月議会、一般質問の報告②です。(2023/12/18)

 

▶ 市庁舎の⑤街区移転を前提とした④街区の再整備は根本的に見直すべき。9割以上が市の土地である④街区において「必要となる上水道・下水道施設の整備」等について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告③です。(2023/06/26)

 

▶ 市民から市政を預かる重い責任を持つ市長が、フェイクとも言える数字を持ち出して再整備事業の意義を語るのは市民に対する背信行為。6月12日の全員協議会。消したアリーナの効果も算入した経済効果額を持ち出す市長の姿勢を指摘しました。(2023/06/12)

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