老朽化し、危険な公共建築物をいつまで放置するのか。そもそも、なぜ、枚方市駅周辺の再整備を進めなければならないのか。現在、そして将来の枚方市にとって、大切なことは何かという観点から、枚方市駅周辺の④・⑤街区の再整備について、質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告①です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
現在、そして将来の枚方市にとって、大切なことは何か。そもそも、なぜ、枚方市駅周辺の再整備を進めなければならないのか。
今回、12月定例月議会の一般質問では、老朽化した危険建築物である枚方市役所庁舎や枚方消防署庁舎等の更新整備について、改めて、どのような意見の違いがあるのかがわかりやすくなるように、また、他の重要な政策との関連にも目も向けながら、質問をしました。
質問項目は、以下の3項目です。(「介護人材の確保、育成、定着に向けた取組について」は、通告していましたが、都合により取り下げました。また別の機会に質問をさせていただきます。)
1.枚方市駅周辺の④・⑤街区の再整備について
2.枚方消防署の移転建て替えについて
3.小学校水泳授業の今後の方向性について
ここでは、「1.枚方市駅周辺の④・⑤街区の再整備について」の報告です。
なぜ、枚方市駅周辺の再整備を進めなければならないのか。いま、何よりも優先しなければならないのは、東南海・南海トラフ巨大地震等の大規模災害に備えることです。そのためには、まず、廃止され老朽化した公共施設をすみやかに解体・撤去するとともに、新庁舎を建設することが必要であると考えます。そしてその新庁舎は、まさに市民の暮らしと様々な活動を支える拠点、そして、災害時には様々な対応活動の拠点とならなくてはならないわけです。繰り返し、訴えてきていることです。
現在、そして将来の枚方市にとって、大切なことは何かという観点から、私は、これまで何度も議会で意見を述べてきました。新庁舎の整備は、単なる事務所ビルの建設ではなく、まちづくりや自治のあり方に関わる歴史的な建築物を想定したものでなければならないと考えます。市役所こそ、市民が平時でも災害時でも立ち寄り、集まり、活動する拠点となることが求められているのです。
そのためには、④街区において、駅前に広がる大きな公園・広場に隣接して市庁舎が設置されているという、他のまちには滅多にみられない魅力的な条件を大切に引き継ぎ、防災公園の機能強化と、さまざまな工夫もしながら、真に必要とされる新庁舎と付加的な機能を整備するという選択が、最も現実的で、かつ迅速な進め方ではないでしょうか。
「民間活力導入エリア」について、「どのような施設が立地するのかなどについて、決まったものはない」、「今後、(さらに)時間をかけながら有効活用方法の調査・検討を進めていく」等とこの期に及んでも答弁されるわけです。土地区画整理事業まで行って、市有地にインフラ整備を行い、民間デベロッパーの提案するタワマンを建てさせる必要性はどこにもありません。そんな土地区画整理事業に多額の公費を使うのは「無駄」以外の何ものでもないと指摘しました。
以下、12月13日の一般質問でのやりとりを掲載します。
今年9月、枚方市駅に直結する複合施設・ステーションヒル枚方の中の商業施設や、枚方市の行政サービスフロアがオープンした。③街区と呼ばれるこのエリアで進められている市街地再開発事業で残るのは、北口駅前広場の完成だけとなった。
一方、もと枚方市市民会館や枚方市役所などが建つ④街区と呼ばれるエリア、そして、枚方市の庁舎分館や大阪府、そして国の施設などが立ち並ぶ⑤街区と呼ばれるエリアをどのように再整備するのかについては、市の計画に対して市議会・市民からの疑問や反対の声が多くあったことから合意を得ることができず、具体化が進んでいないのが実情かと思う。
これまでも繰り返しお尋ねし、さまざまな提案も行ってきたが、今回は改めて、どのような意見や判断の違いがあるのかがわかりやすくなるように、また、他の重要な政策との関連にも目を向けながら質問させていただくので、端的でわかりやすいご答弁をお願いする。
(通告していた介護人材の確保、育成、定着に向けた取り組みについては、今回は取り下げさせていただく。)
1.枚方市駅周辺の④・⑤街区の再整備について
Q.私の質問
はじめに、「そもそも」の話である。つまり、なぜ、枚方市駅周辺の再整備を進めなければならないのかということである。
それは、「枚方市駅周辺では、建設されてから長い年月が経ち、老朽化が進んでいる建築物が数多くあるので、建て替え・更新を進めなければならない。そして、耐震性能も高めなければならない。
特に、④街区、⑤街区と呼ばれるエリアに建てられている数多くの公共施設の建て替え・更新が必要である。」~これが最も重要なポイントではなかったか。
枚方市は長年にわたって「庁舎等周辺整備」に取り組んできた。市民会館大ホールに代わる総合文化施設のクラボウ跡地への建設もその一環であったし、その流れを受けて策定された「枚方市駅周辺再整備基本計画」においても、最も重要なポイントだったと思う。
しかしながら、3期目に入った伏見市政における取り組みの経過と現状を見ると、この目的を最も早く実現するというアプローチで臨んできた、また、臨んでいるとはとても思えない。
そこで改めて伺うが、④街区、⑤街区における再整備課題において実現すべき最も重要なことは何であると考えてこられたのか、市民にもわかるよう、一言でお答えいただきたい。
A.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁
④⑤街区においては、枚方市駅周辺再整備基本計画に基づき、人が中心の居心地よく、歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりを進め、みどりの大空間の形成や、まちの魅力を高めるような都市機能の誘導、まちなか居住の推進、周辺地域の活性化や波及効果を創出しつつ、賑わいと魅力あふれる空間づくりを進めるものである。
加えて既存の老朽化した建築物の更新並びに、防災拠点機能を有した新庁舎を整備するとともに、地域の防災力の向上を図ることなど、これらを一体的に再整備することにより、まちを総合的に向上させることが重要と考えている。
現在、⑤街区へ庁舎位置を確定させるとともに、まちづくりの具体化に向けて検討を行っているところである。
O.私の意見・要望
長い一言であった。何が実現すべき最も重要な課題であるか、市民にもわかるように一言でお答えいただきたいとお願いしたが、「歩いて楽しいウォーカブルなまちづくり」だの、「まちなか居住の推進」だのとおっしゃる。
しかし、「ウォーカブルなまちづくり」の実際は、市役所庁舎が駅から遠くなって、「たくさん歩かなければならず、不便になる」ということ以上を意味しない。また、「まちなか居住の推進」とはタワマンを建てさせますよ、という意味であろう。
このようなことを重要なことと考えて多額の公費を使い、枚方市の災害対応体制を脆弱なものにしておくのか。
Q.私の質問
現状をみると、旧枚方市市民会館本館・大ホール棟(第3分館)、職員会館、市役所本館・別館といった老朽建築物の状態は、どんどん悪くなる一方である。建て替え更新の時期はどんどん後送りになり、当面の対策に多額の費用が使われているのが実情である。もし、今、大規模地震が発生すれば、崩壊する老朽施設を抱えつつ、災害対応しなければならない。そうなれば、市が役割を十分に果たせないのは、火を見るよりも明らかである。
そこで、なぜ、こうした状況を招いてしまっているのか、また、その責任についてどのように捉えているのか、伺う。
A.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁
2022(令和4)年9月定例月議会で、庁舎位置条例が否決された際の意見に、④街区の新たな道路や、市民への周知不足などの指摘があったことから、シンポジウムの開催や市内9か所における市民説明会など市民への周知を図るとともに、市議会との意見交換を重ねているなどに時間を要しているものである。
災害時の対応が基礎自治体の重要な役割の一つであることから、市庁舎の老朽化などの対応と併せて、建築物の更新のみならず、インフラも含めたエリアの防災性の向上を早期に実現することが行政としての責任と役割を果たすことにつながると考えており、継続して⑤街区の庁舎整備の必要性を、市議会や市民などにご理解が得られるよう取り組む考えである。
O.私の意見・要望
市議会や市民の理解を得られないのは、⑤街区への庁舎移転や、市有地を手放して行おうとしている④街区の整備内容が不明瞭なことが原因で、計画内容に賛同を得れないからであって、「新しい道路」とか、市民への周知不足のためではない。
政治は結果責任である。基本計画の策定(2021年3月)前の全員協議会(2020年12月)では、新庁舎の完成は「最短で令和13年」と説明されていた。ちなみに④街区庁舎案では「最短で令和11年」とされていた。しかし、防災体制の中で、市が責任と役割を果たすための拠点となる新庁舎の完成時期は、いまだに不透明なままである。
もし、今日・明日に大規模地震が発生し、その際、公共機関が公的役割を果たせないとなれば、その責任は非常に重いものになる。そうした危機感、責任感が全く感じ取れない。
Q.私の質問
その上、今の計画では、公園以外は民間提案によるとされているので、④街区の市有地がどのように活用されるかが不確かである。しかしながら市は、民間開発事業者の意向がタワマンを中心としたものであることを前提に、それを実現するための都市インフラ整備を土地区画整理事業という公費を投入した事業で支えようとしている。
また、公有地売却に批判が強いとみるや、定期借地なども検討しはじめている。
ここで伏見市長に確認するが、市長は「維新プレス号外_2024年9月1日号」で「市が高層マンションを誘致している事実はありません。」と記されている。高層マンションの提案がしやすいように条件を整えようとしているのに「誘致していない」と言えるのか、見解を伺う。
A.伏見市長の答弁
④・⑤街区は土地の高度利用を図るとしている都市計画マスタープランの考えに基づき、土地区画整理事業により、防災性の向上や、商業地域で建築できる幅広い施設の立地に対応した道路などの都市基盤を整備するものである。
また、民間活力導入エリアについては、市民からのご意見などを受けつつ、コンペ等により民間事業者からの魅力ある提案を受けることを想定している。
土地利用の可能性を把握するために実施した、サウンディング型市場調査などを通じ、高層マンションのニーズが高いことを確認しているが、現時点で、特定の建物を誘致している事実はない。
O.私の意見・要望
「高層マンション(タワマン)」のニーズが高い」と言われるが、高いのは、民間開発事業者、すなわち民間デベロッパーのニーズに他ならない。④街区が市域に1%しかない「商業地域」「高度利用地区」で、ここを高度利用しないともったいないかの如く言い、「まちなか居住の推進」などと言われているわけであるから、民間事業者の提案を受けやすいように条件整備をしていることは「誘致」に他ならない「事実」ではないか。
Q.私の質問
いずれにせよ、④街区に、高層マンションや、どのような店舗構成になるのかもわからず、その魅力も持続性もわからない民間商業ビル(複合施設)に多額の公費を投入する価値があると考えておられるのか、見解を伺う。
A.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁
④・⑤街区の土地区画整理事業は、大規模な地震や火災などの災害に強い市街地の形成を図るため、道路や公園などの都市基盤を整えるものであり、本市の中心市街地における都市再生に資する事業となることから、その費用について国の支援制度を活用しつつ、本市が適正に負担するもので、その価値があると考えている。
また、民間活力導入エリアでは、土地区画整理事業により区画や都市基盤等を整えた後、市有地の有効活用を図る考えであるが、今後、時間をかけながら有効活用方法の調査・検討を進めていく考えであり、現時点では、民間商業ビルの複合施設など、どのような施設が立地するのかなどについて、決まったものはない。
O.私の意見・要望
日本の社会・経済状況の大きな変化、本市の財政状況を踏まえるならば、賑わい・活性化のシナリオには全く「現実味」がない。駅に直結するエリアでも、商業集客施設の経営は困難であることが明らかになってきている時代である。
「大規模な地震や火災などの災害に強い市街地の形成を図るため、道路や公園などの都市基盤を整える」ことが主目的の土地区画整理事業とのご答弁であるが、④街区にある市庁舎を⑤街区に移転させることで生み出される④街区の市有地を手放して「民間活力導入エリア」として有効活用すると言われるものの、「どのような施設が立地するのかなどについて、決まったものはない」、「今後、(さらに)時間をかけながら有効活用方法の調査・検討を進めていく」という悠長なご答弁である。
土地区画整理事業まで行って、市有地にインフラ整備を行い、タワマンを建てさせる必要性はどこにもないわけである。そんな土地区画整理事業に多額の公費を使うのは「無駄」以外の何ものでもない。
なすべきことは、まず危険建築物を一刻も早く解体・撤去する。
そして、④・⑤街区の広大な市有地を目一杯活用し、④街区においては防災公園と新庁舎及び付帯する施設等の整備に即時取り組むべきである。
優先順位を明確にして、必要性の高い公共施設の建て替えを、迅速かつ段階的に実施していくべきであると意見しておく。
◇枚方市議会 2024(令和6)年12月定例月議会(第2日)(3:51:26くらいから)
【参考】
▶ 【独自】乱立するタワマンに公費1兆円 再開発118地区、住民恩恵薄く/共同通信(2024/11/17)
▶ 「タワマンは、巨大廃墟になる可能性」神戸市長がタワマン規制に注力する本当の理由が分かった/週刊現代(2024/11/21)
【これまでの議会での質問】
▶ 大規模災害に備えるためにも、災害対策の拠点となる市役所新庁舎は防災公園に隣接して④街区に整備し、枚方消防署新庁舎を⑤街区内で整備する連鎖的な防災まちづくりを実現すべき。市駅周辺における防災対策の推進について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告④です。(2024/09/17)
▶ 高度な機能を集積させた防災公園は市役所新庁舎に隣接して整備を。大規模災害に備えるということについて、質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告①です。(2024/06/24)
◇参考 「【概要版】枚方市駅周辺再整備基本計画(2023年(令和5年)6月一部改訂)」より抜粋
→スケジュール、事業手法と総概算事業費など
▶ 大規模災害に備えることが最優先課題。まずは暮らしの安全・安心。これまでの議会での主張等をコンパクトにまとめた「私の対案」を掲載しています。(2024/04/01)
▶ 枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について、2月21日、全員協議会が開催されました。老朽公共施設の更新は待ったなし。大規模災害に備えるということが本市の最優先課題であり、その対応拠点となる新庁舎は、防災拠点機能を持つ④街区の広大な公園・広場と隣接して整備されることが、最も合理的ではないかと訴えました。(2024/02/21)
▶ 廃止され老朽化した公共施設をすみやかに解体・撤去するとともに、市民の暮らしと活動を支え、災害時には様々な対応活動の拠点となる市庁舎を、広大な市有地に早急に建設するという選択が最も現実的で迅速な進め方ではないか。新庁舎整備についての質問です。12月定例月議会、一般質問の報告②です。(2023/12/18)
▶ 市庁舎の⑤街区移転を前提とした④街区の再整備は根本的に見直すべき。9割以上が市の土地である④街区において「必要となる上水道・下水道施設の整備」等について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告③です。(2023/06/26)
▶ 市民から市政を預かる重い責任を持つ市長が、フェイクとも言える数字を持ち出して再整備事業の意義を語るのは市民に対する背信行為。6月12日の全員協議会。消したアリーナの効果も算入した経済効果額を持ち出す市長の姿勢を指摘しました。(2023/06/12)
▶ 5月25日、枚方市駅周辺再整備~未来に向けたまちづくりを考える~をテーマに、さまざまな立場の皆さんが登壇されました。「現在市民の合意より、将来市民の希望を」「たゆたえども沈まず」~武田重昭先生の講演には、学ぶことが多かったです。(2023/05/25)
▶ 「はじめに結論ありき」の不合理な検討プロセスで策定された「枚方市駅周辺再整備基本計画」の問題点について、私なりに整理してみました。(2023/05/15)
▶ 3月31日、年度末の市民説明会の開催。枚方市駅周辺再整備基本計画の改訂素案に対するパブリックコメントも実施されています。市民の皆さんに本当のことを伝えようとしているのでしょうか。(2023/03/31)
▶ 市民の利益にならない市庁舎移転。9月26日、特別多数議決を要する市役所の位置を定める条例の「否決」が意味することについて、説明を書いてみました。(2022/10/01)
移転▶ 9月26日、特別多数議決を要する市役所の位置に関する条例の否決を受け、今後の枚方市としての対応、さらに、今後、枚方市が進める枚方市駅周辺再整備事業の進め方について、留意していただくべきことについて。(2022/09/28)
▶ 市民の利益にならない市庁舎移転。9月26日、18対12で特別多数議決である市役所の位置を定める条例の改正は否決されました。(2022/09/26)
▶ 大切なのは、大規模災害に「備える」ということ。タワマンへの公共用地売却や市庁舎・アリーナ合築整備などを考える前に、大規模災害対策等の公共課題を最も早く解決できる道を考えるべきではないか。枚方市駅周辺再整備事業について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告⑤です。(2022/06/17)
▶ 2月24日、枚方市駅周辺再整備の具体化について審議する全員協議会。昨年12月に引き続いての審議です。私は、民主的な合意形成が行われているのか、しっかりと市民に向き合っているのかという観点から質疑を行いました。(2022/02/24)