長期財政の見通し、行財政改革プラン2024、第2次情報化基本計画(第3期)の策定。次年度の機構改革の考え方について。2月13日、4案件の協議を行いました。(総務委員協議会の報告④)
枚方市議会議員の奥野みかです。
2月13日に開催された総務委員協議会の報告④です。
【案件名】
(9)長期財政の見通しについて
(10)行財政改革プラン2024の策定について
(11)第2次情報化基本計画(第3期)の策定について
(12)令和6年度機構改革等の実施について
上記、総合政策部7件のうち、ここでは3件について、また、総務部の1件についても報告します。
(9)長期財政の見通しについて[財政課]
今回の収支見通しでは、京阪本線連続立体交差事業や枚方市駅周辺再整備事業といった投資的事業が集中することや、新たに実施を予定している小学校給食の無償化などに要する経費を反映しているが、実質収支については期間の前半では20億円台の黒字を維持し、後半では10億円台の黒字を維持することができると見込んでいる。また、市債残高については、2027(令和9)年度をピークに、その後は減少していくと見込んでいるとの説明。
【内容】
・投資的経費 (学校施設整備や道路整備、公共施設の保全・改良経費など) 並びにこれに類似する経費として枚方京田辺環境施設組合負担金のうち建係及び中宮浄水場更新事業に係る水道事業会計への出資金を含め、各年度概ね70億円程度を見込んでいる。京阪本線連続立体交差事業 や枚方市駅周辺再整備事業に係る事業費は70億円に含まれていない、別計。新庁舎整備費用は含んでいるとのこと(どんな庁舎かもわからないのに…)
・新たに実施を予定している小学校給食の無償化の反映→無償化分と物価高騰分を分けて計上する。食材料費の公費支出(給食会への食材料費の支出)の増。2024年度は2学期からなので5億円。年間になると7億円。
・小中学校であれば、学校施設改修が先ではないか。【参考】「枚方市市有建築物保全計画 第Ⅲ期実施計画」
・第2子以降保育料無償化分→ランニングとして約2.5億円の支出増となっている。・18歳までの子ども医療費助成の拡充→これまでの0~15歳で15億円、拡充分の16~18歳で3億円の合計18億円。これに対して府補助金は1.3億円と新子育て支援交付金0.7億円で府から約2億の助成→ランニングとして16億円は必要。※19~22歳の通院医療費は月約100万(15人程度)
・固定資産税見合いの奨励金は含まれているのか(駅前にバンケット付きホテルの建設?)
・経常経費比率を99.8%(2032年度)まで見込んでいる。危機的ではないのか。
・は200%を越えると財政運営が厳しくなるとされる地方債残高比率は、2023(令和6)年度は139で、2027(令和9)年度までは上昇するが、その後は下降する見込み。
奥野の意見
長期財政の見通しは、現在の見通しということで毎年更新されるが、前年度以前の見通しをどう評価しているのかといった記載がない。もちろん、毎年度の予算・決算の段階で一定の検証・評価はあると思うが、(「収支見通しの概要」に主な内容は触れているというが、)適切に検証・評価を行い、更新を行う長期財政の見通しの中で適切に記載すべきではないか。
投資的経費 (学校施設整備や 道路整備、公共 施設の保全・改良経費など) 並びにこれに類似する経費として枚方京田辺環境施設組合負担金のうち建係及び中宮浄水場更新事業に係る水道事業会計への出資金を含め、各年度概ね70億円 程度を見込んでいるほか、京阪本線連続立体交差事業や枚方市駅周辺再整備事業に係る事業費を見込んでいるとの説明である。
まず、70億円で妥当なのかどうかについて。投資的事業の集中に対する一つの財政規律であることは理解するが、能登半島地震が発災、次の被災地であるかもしれないというリスクへの対応として、いま、あらゆる知見を総動員して、大規模災害に備えることが必要ではないか。特にインフラ整備。ここを打ち出さなくていいのか。
※財政課によると、長期財政の見通しに係る投資的経費の基本額70億円については、2018(平成30)年2月作成分から変更しているとのこと。委員協議会資料からの抜粋は次のとおり。
→「投資的経費の基本的な考え方 投資的経費については、新病院整備事業に係る繰出金と枚方京田辺環境施設組合負担金を合わせ、各年度概ね50億円程度を基本としていましたが、今後、公共施設マネジメント推進計画に基づく取り組みにより、施設の保全・改良経費の増加が見込まれることから、各年度概ね70億円程度を基本としました。なお、従前どおり、事業規模が大きい(仮称)枚方市総合文化芸術センター整備や京阪本線連続立体交差事業については基本の70億円とは別枠とし、財政運営に与える影響を踏まえ実施していくこととしています。」
他の委員の意見
・子育て施策とともに高齢者施策も進めていただきたい。公共施設の老朽化は待ったなし。全国平均よりも悪い。学校施設の長寿命化も必須の課題。長期財政の見通しにお入れていくべき。
・全体に基金残高は減少を見込んでいるが、減債基金も減少している。
・災害はいつ起こるかわからない。災害への備えが反映されているのか
・経常収支比率99.8%はかなりの危険域ではないか。
→人口減少が続き、税収が減少すると、経常収支比率の改善は困難。支出が膨らむのを減少したい。
・市駅周辺再整備事業における市有地の売却も見込んでいるのか。定借も検討しているという話も聞くが。
→現時点での見込みで見通しを作成している。
(10)行財政改革プラン2024の策定について[行革推進課]
現行の行財政改革プラン2020が2023(令和5)年度をもって計画期間を満了することから、次期行財政改革プランとして2024(令和6)年度から2027(令和9)年度までを計画期間とする「行財政改革プラン2024」を取りまとめた。3月策定をめざし報告するもの。
他の委員の意見
・ふるさと納税等の新たな収入確保の取り組み、職員の人数を減らすことでのコスト削減の取り組みがありが、収入確保のために人材を確保することも必要ではないか。
奥野の意見(参考)
※意見(11月委員協議会)
行財政改革プランの実効性を高めるためには、個別改革課題それぞれについて目標を明確化したうえで的確に取り組みを進める必要があると。しかし、「目標の明確化」といっても、「目標効果額の設定」、お金だけではないと。経費節減や人を減らす、人件費の抑制だけではないとの説明である。ただ、加えて「その他指標」で設定するという「市民の負担軽減の指標」や「職員の業務効率化を測る指標」についても、あくまで、経費節減や人件費の抑制同様、効率性を向上させるための手段というか、ツールの一部であると思う。
行財政改革の目標は、次代を見据えた「行政」の再構築と「市民自治」の推進を図るものであるべき。
行うべき行政課題に対して、目標設定を行い、どのような取り組みをするのか、実際、どれだけの事務事業を行っているのかという「全体把握」、「可視化」が必要となる。行政サービスの質を向上させ、事務事業の効率性と効果を高め、公共の利益を最大化(市民福祉の最大化)するために、行財政改革に求められていることは、行っている事務事業の全体把握や可視化を徹底し、財政活動の透明性を高め、説明責任を果たす、果たせることであると考える。
大きな財政負担を伴う重要な政策課題が山積する現在、最も重要なことは、政策の優先順位を明確にし、税を「市民を支えるために賢く使う」ことができるようにするための仕組みづくりであると考えるが、今回、財政運営に対する基本的な考え方を所信表明で示さず、毎年度の予算編成で決めるなどといわれたのは、まったくもって論外、行財政改革というものを軽視していると指摘しておく。
(11)第2次情報化基本計画(第3期)の策定について[DX推進課]
市の ICT 施策を効果的・効率的に進めるため、2016(平成28)年3月に、基本的な方針や考え方を示した「情報化基本計画」と、個々の情報化施策についてその内容を表した「情報化実施計画」で構成される「第2次枚方市情報化計画」を策定している。
「情報化基本計画」は、情報環境の変化等に対応するため、4年ごと3期に分けて、総括と次期取組への反映を行うものとしているが、2023(令和5)年度末で計画策定から8年が経過することから、「第2次情報化基本計画(第3期取組版)(案)」として取りまとめたので報告を行うもの。
◆第2次情報化基本計画(第3期)(案)
奥野の意見
【奥野の質問】
「情報化基本計画の第3期取組版においてもデジタルツールの活用方法をはじめ、既存の業務のプロセスを見直すためのスキルや、情報セキュリティ意識の向上などと多岐にわたる取組みを推進するためには人材育成とスキルの継承が必要な取り組みである」との答弁があったが、デジタル人材の育成については、国からも通知が届いていると聞く。
そこで、今後、国の通知も踏まえたデジタル人材を確保・育成に関する考えについて、職員の採用と育成を担当している人事課に伺う。
【答弁(人事課)】
2023(令和5)年12月に総務省から発出された「人材育成基本方針策定指針の改正について」において、デジタル人材の育成・確保に関する留意点が示されており、各市で策定している人材育成基本方針においても、デジタル人材の育成・確保に係る内容を盛り込むこととなっている。
引き続き、デジタル人材の確保に努めるとともに、本市の人材育成基本方針は、2024(令和6)年度に中間見直しを行う予定としていることから、その中でしっかりと考え方をお示しするとともに、毎年作成している職員研修計画の中にも位置付け、職員全体のDXの意識醸成や能力開発を行ってまいりたいと考えている。
他の委員の意見
・庁舎移転の検討とDX推進の関係について。
→デジタルの活用について、新庁舎の窓口機能も検討するワーキングチームの中でも検討する。
奥野の意見(参考)
※意見(11月委員協議会)
業務システム標準化については、国の定める標準準拠システムや国が整備するガバメントクラウドへの移行を行うための必要な検討を進めており、各システムにおいて国の定める標準仕様と現行の業務システムとの仕様の比較分析を行っているとのことである。
「標準準拠システムの利用にあわせて、現行業務フローを見直すことや、これまでカスタマイズにより現行システムで運用してきた市独自施策が標準準拠システムでは運用できない可能性があるが、そのような場合でも、必要な施策については、運用の見直しや別システムでの対応を行っていく。」と、昨年12月の一般質問で答弁いただいている。標準仕様のシステムで対応できないため、本市の優れた独自施策の運用を見直すということがあっては、本末転倒である。「標準仕様との差異があるものについての対応を具体化する」とお答えいただいているが、本市の独自施策が後退することのなきよう、計画の中でも具体化しておいていただきたい。
業務システムのあり方は、新庁舎の建築・電気設備・通信設備の設計に大きな影響を与えるし、逆に、新庁舎整備を含む市域全域における自治体DXのあり方(スマートシティ)を決めなければ、業務システムのあり方の詳細を描くことも難しいのではないかと考える。どうぞ、スケジュールに遅れることなく行政内において的確で詳細な検討を進めるとともに、検討結果を、議会にも市民にも公開、説明し、きちんとした議論ができるようにしていただくことを要望しておく。
(12)令和6年度機構改革等の実施について[人事課]
(1)機動力のある組織体制の整備
機動力のある組織体制の確立を図る観点から、原則「室」を廃止することとし、課を置く室組織を廃止するとともに、課を置かない室については、課組織に改編。
(2)市民サービス・利便性の向上を図るための体制の整備
来庁者の利便性向上に資するよう、これまで各種保険や年金等、制度ごとの所管としている体制を、来庁者が行う手続きに対応した体制とするため、市民生活部の国民健康保険課、後期高齢者医療課、年金児童手当課(年金業務)、健康福祉部の長寿・介護保険課(介護保険料業務)の各業務を再編し、市民生活部に「保険年金課」及び「保険納付課」を設置。なお、この再編にあわせ、臨時組織である債権回収課で所管している強制徴収公債権の滞納整理業務を「保険納付課」に移管し、新たに私債権・非強制徴収公債権を、債権回収課で一元的に管理・回収することにより、市民負担の公平性・公正性の確保と、更なる未収金の縮減を図る。また、年金児童手当課(児童手当等の業務)と医療助成課を統合し、「医療助成・児童手当課」に改編。
(3)重層的支援等、健康福祉施策の推進を図るための体制の整備
福祉や生活困窮に関する相談と、複合する健康問題へも適時適切に対応し、よりスムーズに支援に繋げるため、健康福祉部福祉事務所の健康福祉総合相談課を健康福祉部に移管。また、健康福祉部内複数課が所管する地域包括支援センターや認知症施策等の業務を一体的に推進するため、健康づくり・介護予防課に地域包括支援センターに関する業務を集約し、「健康づくり課」として改編するとともに、認知症高齢者に関する業務を健康福祉政策課に集約。
(4)妊産婦や子ども、子育て世帯への切れ目ない相談支援体制の整備
妊産婦や子ども、子育て世帯へ一体的に相談支援等を行う機能を有する「まるっとこどもセンター(こども家庭センター)」を設置することで、子どもと家庭が抱える課題やニーズを把握し、地域・関係機関とも連携しながら、子どもと家庭を中心にまるごと支援する体制の充実・強化を図る。
(5)財源確保の推進に向けた体制の整備
企業版ふるさと納税に関する業務を、総合政策部の政策推進課から、個人のふるさと納税を所管している市長公室の広報プロモーション課へ移管し、寄附金獲得のためのPR強化を図るとともに、本市の魅力発信に繋げる。
(6)その他行政課題への対応の強化、より効果的で機能的な執行体制の整備等
・ 市民の安全・安心な生活に向けて、消費者被害防止や防犯対策について、総合的・効果的に取り組みを推進するため、危機管理部の公の施設である消費生活センターの所属を危機管理政策課に改編。
・ 本市が発注する工事について、契約から完了検査までを一体的に実施し、更なる適正な履行確保を図るため、総務部の契約課と工事検査課を統合し、「契約検査課」に改編。
・ 新型コロナウイルスワクチン接種の定期接種化に伴い、臨時組織である健康福祉部の新型コロナワクチン接種対策室を廃止し、他の予防接種業務を含め、健康福祉部保健所の保健予防課に移管。
・ 主に健康福祉総合相談課で実施している住民税非課税世帯への給付金など各種給付金に関する業務を迅速かつ円滑に実施するため、健康福祉部に臨時組織として「臨時給付金課」を設置。
・ 循環型社会の推進とごみ減量施策の一体的実施のため、環境部のごみ減量推進課を循環型社会推進課に統合するとともに、ごみ収集に係る直営体制の整理状況を踏まえ、家庭ごみ業務第1課と家庭ごみ業務第2課を統合し「環境事業課」に改編。
・ 市有建築物の新設、改良、補修工事の設計及び施行について、一体的な体制でより円滑に行うことができるよう、都市整備部の建築課と設備課を統合し、「施設整備課」に改編。
・ 土木部の道路公園管理課、維持補修課、工事委託課のそれぞれの課で所管する道路河川、公園に関する業務を、道路河川に関する許認可などの管理業務と維持補修業務、公園に関する業務に分け、効率的に執行できる体制とするため、上記3課を「道路河川管理課」、「道路河川補修課」、「公園みどり課」に改編。
(7)事務執行体制の見直し
庁内各課の事務執行体制について、現行、課長代理(5級)が統括を担っているグループ制から、係長(4級)が業務マネジメントを行いつつ事務執行を行う係制に移行するとともに、下位の職制である主任(3級)が4級に昇格となった場合の名称については「主査」とし、各職階において今後のキャリア形成、ステップアップにつながる人材育成に取り組む。
奥野の意見
【奥野の質問】
現在、国際化施策は、観光にぎわい部 観光交流課が担当しているが、「観光」のセクションが多文化共生、外国人市民の生活支援も担当ということに抵抗を感じる、「国際」という言葉も見られないなど、国際化施策の推進や多文化共生のまちを目指していくといった姿勢が見えない。さらに、文化・芸術振興政策、産業振興政策(商業・工業・農業)、そして国際化施策も担当するセクションに、部の名称として、「観光」「にぎわい」という文言を使用するということについて、議論はなかったのか、伺う。
【答弁(人事課)】
国際化施策につきまして、今回の機構改革でお示ししている部名や課名への反映はしていないが、来年度からの係制導入に併せて担当が明確になるよう取り組んでいく。
また、多文化共生のまちにつきましては、外国人市民等の言葉の壁によるものや外国人観光客への対応、また、あってはならないですが、外国人市民に対する差別や偏見などへの対応について、庁内関係部署が一体となって進めていく考えである。
「観光にぎわい部」の名称については、2020(令和2)年度機構改革において、観光、にぎわいという視点のもと、それにつながる各部署が強みを生かし、連携を密接に図りながら、総合的、一体的に、まち全体の活性化やにぎわいの創出を図っていくという視点で設定されたものである。引き続き、設定当時の考え方のもと、さまざまな地域資源の活用や関係団体との連携強化を図りながら、まちの魅力の向上に努めたいと考えている。
他の委員の意見
・課をつなげる役割の「室」の廃止は人件費の削減が目的か。頑張っている職員を評価する制度構築を。
→機動的なものとするため「室」を廃止。スリム化し、結果的に人件費削減効果も期待できる。
・市民目線で考えると、慣れた名称が変更することは、困難に通じるのではないか。