2020年度(令和2年度)決算特別委員会において、決算の審査が行われています。
枚方市議会議員の奥野みかです。
2020年度(令和2年度)の決算について、現在、決算特別委員会(野村いくよ委員長)において審査が行われています。この決算特別委員会には、連合市民の会から、野村議員と八尾議員が選出されています。(決算特別委員会は、10月1日、4日、6日、7日、11日の5日間)
私の方からは、2019年度(令和元年度)決算を審査する決算特別委員会や2020年度(令和2年度)予算を審査する予算特別委員会において取り上げた基金の運用や現在の状況等について(今議会で廃止となった「この街に住みたい基金」を含む)の確認について、八尾議員に質問してもらうようお願いしました。
※以下に、基金の運用や状況等、該当部分のやりとりを引用します。
◇基金の運用について
Q.質問【八尾議員】
2,094億円とこれまでにない規模となった令和2年度の一般会計予算について、歳入決算額は 1,931億円となり、予算に対する執行率は 92.2%、歳出決算額は 1,896億円、予算に対する執行率は 90.5%、そして、歳入歳出ともに対前年度増減率は 39.8%となっている。歳入歳出差引額は 35億円で、翌年度へ繰越すべき財源 18億円を差し引いて、17億円の実質収支の黒字というのが令和2年度決算であるとのご報告である。
前年度に比べて約 4割増となった令和2年度のこの大きな決算を支えた歳入の内訳をみると、特別定額給付金給付事業費補助金 402億円や新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 39億円等の「国庫支出金」の決算額が 749億円と対前年度比 170%、471億円の増収、枚方市総合文化芸術センター整備事業の起債 38億円等で「市債」の決算額が 149億円と対前年度比37.1%、40億円の増収、新庁舎及び総合文化施設整備事業基金繰入金 16億円や財政調整基金繰入金 10億円等で「繰入金」の決算額が 37億円と対前年度比 380%、29億円の増収となっているが、「自主財源」の根幹をなす「市税」の決算額は 562億円、対前年度比△1.4%、8億円の減収となっている。
令和2年度一般会計歳入決算において、「自主財源」比率は前年度から 12.7ポイント減の 34.5%となっている。概ね 1,000億円程度を目標とすると言われている市債残高は、令和2年度決算では 1,110億円となっている。
まず、この歳入の状況をどのように評価され、今後の見通しをどのように考えておられるのか、伺う。
A.財政課長の答弁
自主財源比率が大きく減少したことについては、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、国や大阪府よりコロナ対策に要する財源として多くの補助金が交付されたことが大きな要因である。市税収入が減収となる中で、コロナ対策にあたるとともに、基金や市債等の活用を図りながら必要な事業を実施してきたが、令和2年度決算では収支に大きな影響を与えることなく健全性を維持できたものと認識している。
今後の見通しであるが、特に市税収入については、感染症の影響により不透明な状況にあり、まずは、ワクチン接種による経済の回復状況を見極めていく必要があると考えている。
Q.質問
次に、歳入のうち繰入金について、伺う。
令和2年度決算概要説明書の3、4ページに、一般会計歳入決算額の推移が掲載されている。繰入金 36億 7,400万円は、前年度比 380%、29億 800万円の増収となるなど、決算額が大幅に増額となっているが、予算現額は 59億 771万 3千円で、予算執行率は 62.2%にとどまっている。
積み立てた基金を取り崩して歳入予算繰り入れる「繰入金」が、このような運用となった理由について、伺う。
A.財政課長の答弁
前年度決算と比較した繰入金増加の理由について、他の特定目的基金への積替えを行うため「財政調整基金」で 10億円、総合文化芸術センター整備事業に充当するため「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」で 16億 2千万円、本市の魅力の向上及び行財政改革の推進に係る事業費に充てるため「この街に住みたい基金」で 4億 4,900万円繰入れたことにより増加したものである。
次に、予算額と決算額の差については、予算編成時には、財源として見込んでいたが、収支状況を踏まえるとともに将来の財政需要に備えておく観点から基金取り崩しを抑制したもので、「財政調整基金」の 13億円及び「減債基金」の 3億円について繰入れを行わなかったことによるものである。
意見・要望
繰入金のうち、「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」繰入金 16億 2,040万円は 100%の予算執行率である。「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」については、令和2年度、「財政調整基金」からの積み替えとなる 8億円の積立も予算通り執行されており、令和2年度末の基金残高は 51億 2,817万円となっている。
総合文化芸術センター整備事業としては、当該基金の運用に加えて、枚方市総合文化芸術センター整備事業債として令和2年度に 38億円を借り入れておられる。構想から 20年以上を経て、市民が待ち望んできた総合文化芸術センターが開館したわけであるから、本市の文化芸術の拠点施設としてふさわしい、それ相応の費用が、この後、長期的に必要となってくると思う。さらに、令和2年度までに 72億円と積みあがった莫大な額の起債の償還もある。総合文化芸術センターが竣工した後、当該基金は設置目的等の見直しも行っていきたいと答弁されているが、開館した総合文化芸術センターは、市駅周辺の活性化にもつながる重要な施設となるわけであるから、ソフト面での運用も含め、長期的な視点をもって、安定した運営が可能となるよう、財源の確保もしっかりと検討されるようお願いしておく。
次に、「この街に住みたい基金」繰入金は 4億 4,900万円で、予算執行率は 93.7%となっている。また、決算を経て確実な効果額のみを積み立てるようにと、繰り返し指摘されてきた基金積立金の令和2年度決算額は 4億 5,007万 6千円で、予算執行率は 87.2%となっている。令和元年度末の基金残高は 5億円であったが、令和2年度の予算執行を経て、令和2年度末の基金残高は 5億 98万 1千円となっている。令和元年度から 98万 1千円の増額である。
「財政調整基金」との差別化ができないことが顕著になってきたこと等を理由として、9月定例月議会に基金廃止条例が提出され、「この街に住みたい基金」は廃止されたが、基金廃止に伴う市民への説明責任や行財政運営上の整理等について、よろしくお願いしておく。
Q.質問
次に、令和2年度において、繰入金の予算執行率が低く、さらにその金額も大きいため、予算執行の判断の影響が懸念される3つの基金、「財政調整基金」、「施設保全基金」及び「減債基金」の各基金の繰入金及び積立金の予算・決算状況及び不用とされた主な要因、また、基金残高について、順に伺う。
最初に、「財政調整基金」について、伺う。
A.財政課長の答弁
まず、「財政調整基金」であるが、積立予算が30億1,672万3千円に対し決算では23億884万8千円となっており、主な内訳では、令和元年度決算の黒字の1/2、8億2,800万円の他、過払いに伴う国庫償還分8億円、及び今後の新型コロナウイルス対応に係る財源として積み立て4億円などを行ったことによるものである。
また、取り崩しについては、予算額が23億円に対し決算額は、10億円となっており、他の特定目的基金である、「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」への積み立て、8億円、及び「安心安全基金」への積み立て2億円の合計10億円のみ取り崩し、残りの13億円については予算編成上の財源調整のため取り崩しを行わなかったものである。
この結果、令和2年度末の基金残高は、対前年度比で、13億884万8千円増加し、126億6,602万6千円となっている。
意見・要望
突発的な財政需要や災害に対応する財源としての「財政調整基金」の確保は重要である。あるべき水準を念頭に、必要な財政出動にはしっかりと対応していただくよう、説明責任を果たしながら、適正な管理・運営に努めていただくことを要望しておく。
Q.質問
次に、「施設保全基金」について、伺う。
A.財政課長の答弁
「施設保全整備基金」であるが、積立予算が468万1千円に対し決算では51万円となっており、これは、基金利子が見込みより下がったことによるものである。また、繰入予算については、7億9千万円に対し、公共施設の老朽化への対応として、決算では、3億円のみ取り崩しを行ったものである。
この結果、令和2年度末の基金残高は、対前年度比で、2億9,949万円減少し、37億2,247万4千円となっている。
意見・要望
老朽化する公共施設の更新など計画的な公共施設整備の引当財源となる「施設保全整備基金」の基金残高が確保されるよう、今回の積立額の減額は、基金利子の見込みとの回答であるが、そもそも基金利子だけでは心もとないわけであるから、確実かつ効率的な運用を行っていただくよう要望しておく。
Q.質問
なお、穂谷川清掃工場の第3プラント定期補修工事や小中学校の施設改善事業などで7億9千万円の基金の取り崩し、すなわち、繰入金7億9千万円を予算化したけれども、繰入金の執行は3億円のみとの回答である。
そこで、繰入金執行額の減額の理由について、伺う。
A.財政課長の答弁
今後も増加する公共施設の保全に係る負担に備えるため、収支状況や基金残高の状況も踏まえ、昨年度と同額の3億円を取り崩したものである。
Q.質問
最後に、減債基金について、伺う。
A.財政課長の答弁
次に、減債基金であるが、積立予算が667万7千円に対し決算額では、285万6千円となっており、先ほどと同様に基金利子が見込みより低かったことによるものである。
また、繰入予算については、予算が3億713万3千円に対し決算額では、713万3千円となっており、借替時期が到来した市債について、借り替えをせず繰上償還を行った金額のみを取り崩したものである。
この結果、令和2年度末の基金残高は、対前年度比で427万7千 円減少し、43億9,677万8千円となっている。
意見・要望
令和元年度決算においては、「財政調整基金」から「減債基金」への2億円の積み替えが見送られている。令和2年度は積立ての予算化も行われていないが、令和2年度末の市債残高は1,110億円に大きく膨れ上がっている。
将来の市債残高を増大させる施策展開を行うのであれば、「財政調整基金」とともに、「減債基金」についても計画的な積み立てを行うべきであると指摘しておく。
Q.質問
次に、歳入のうち国庫支出金について伺う。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、概算払いの国庫支出金については次年度精算のため実績が下回った場合、償還金が発生すると伺った。そこで、令和2年度実績に基づく令和3年度の償還額はどの程度見込まれ、どのように対応されていたのか、伺う。
A.財政課長の答弁
令和2年度実績に基づく翌年度での償還額については、年度末の決算見込みにおいて、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や生活保護費負担金などで、約8億円を見込み、令和3年度の償還に備え財政調整基金への積み立てを行っている。
意見・要望
翌年度に償還が必要な財源が歳入決算額に含まれていることにより、見せかけの黒字になっているのではないかとの懸念から確認させていただいた。翌年度償還金の財源は「財政調整基金」に積立て、留保するといると仕組みは理解したが、「施設保全整備基金」や「減債基金」など、真に必要である、計画的な基金への積立てが本市においては執行されていないということは、そもそも予算化もされていないことから問題であるが、これは、財政運営上の課題であるということを指摘しておく。
◇この街に住みたい基金について
Q.質問
決算概要説明書80ページの「この街に住みたい基金積立金」について伺う。
すでに廃止となった基金であるが、この街に住みたい基金への積立てについては、決算が確定し、その額が確かになってから行うべきであると、繰り返し指摘されていた。
そこで、まず、本年度積立分として、4億4,950万1千円とあるが、この主な内訳について伺う。
併せて、令和2年度当初予算で積み立てを予定していたもののうち、決算で積み立てなかったものがあるのか、あるのであればその主な内容について伺う。
A.行革推進課長の答弁
「この街に住みたい基金」の令和2年度積立金の主な内訳としては、行財政改革の取り組みによる効果額として、「経常経費の配分見直し」で2億1千105万円、「総人件費の削減」で1億5,477万1千円、「市有財産の有効活用」で5,783万5千円などとなっている。
また、決算で積み立てなかったものについては、令和2年度当初予算で積み立てを予定していた「病院事業会計の繰入金の抑制」の5,000万円、補正予算で積み立てを予定していた「ごみ収集業務体制の見直し」の1千874万円などとなっている。なお、「病院事業会計繰入金の抑制」の5,000万円は、補正予算で減額している。
Q.質問
次に、「この街に住みたい基金」積立金には、行財政改革の取り組みによる効果額のほか、指定寄附金分として54万円が計上されているが、この指定寄附金の件数は何件だったのか伺う。
A.行革推進課長の答弁
令和2年度における指定寄附金の実績としては、21件であった。
Q.質問
「この街に住みたい基金」については、先日の本会議で基金を廃止する条例改正案が可決されたわけであるが、基金の設置目的である「本市の魅力の向上及び行財政改革の推進」に賛同し寄附をしていただいた方をはじめ、市民に対して、基金を廃止したことやその後の取扱いについて周知をされているか、伺う。
A.行革推進課長の答弁
「この街に住みたい基金」を廃止することに伴い、本市のホームページにおいて、「まちの魅力の向上や行財政改革の推進」に係る寄附については受付を終了させていただく旨を、また、本基金は廃止したが、既に納入済の寄附については、寄附者の意向に沿うよう本市の魅力向上のために活用する旨を、知らせている。
意見・要望
「この街に住みたい基金」の廃止については、ホームページでお知らせしているとのことである。寄附をいただいた市民の皆さんなど、寄附者に確実に届く工夫をよろしくお願いする。
Q.質問
次に、令和2年3月に策定された「行財政改革プラン2020」の本編において、「この街に住みたい基金」プランの骨子に位置付け、この基金を活用した行政改革効果の「見える化」を図るとされていたことについては、どのように対応されているのか、伺う。
A.行革推進課長の答弁
行政改革の取り組みによる効果額については、この街に住みたい基金廃止後も、「見える化」により市民の皆様にお知らせすることが重要と考えており、基金に代わる「見える化」手法として、毎年度3月に実績効果額の確定見込額を、9月に確定額を一覧形式で行財政改革プラン2020の別冊に掲載する旨を本編にも記載し、先般、改訂を行ったところである。
意見・要望
令和2年度、行財政改革の効果額として4億5,007万6千円を積立て、4億4,909万5千円を基金から取り崩して歳入に繰入れ、第2子以降保育料無償化事業や学校ICT機器等整備事業など令和2年度の新規・拡充事業の財源として充当する、と説明されていた。積み立て、取り崩しで、令和元年度末とほぼ同額の令和2年度末の基金残高となっているが、基金廃止に伴う市民への説明責任や行財政運営上の整理等、よろしくお願いする。
◇窓口関連業務等最適化検討について
Q.質問
決算概要説明書80ページの「窓口関連業務等最適化検討支援業務委託料」について、1,731万8千400円とあるが、この委託事業の主旨と内容について伺う。
A.行革推進課長の答弁
本業務委託については、人口減少や行政需要の多様化などの社会情勢の変化に適切に対応し、市民サービスの向上や魅力ある施策の展開を行うためには、限られた人的資源や財源を有効に活用することが必要になることから、より効率的・効果的な業務執行を目的として、多くの市民が利用する市民室や国民健康保険室、医療助成課、年金児童手当課、地域健康福祉室の窓口関連業務を対象に、「直営」、「委託化」、「ICT導入」の最適化の検討にあたり、業務調査を実施したものである。
Q.質問
窓口関連業務等について、アウトソーシングの視点だけではなく、ICT導入や様々な組み合わせの最適化などについて、さらに検討を進めるため、民間業者に委託して業務の調査を行ったということである。事業者を公募の上、そのために設置した「窓口関連業務等最適化検討支援事業者選定審査会」で事業者が選定され、その事業者が各対象部署の業務調査を行われたと聞いている。
では、この業務委託によってどのような成果が得られたのか。また、この成果はどのように活用されているのか伺う。
A.行革推進課長の答弁
窓口関連業務等最適化検討支援業務委託を通じ、業務一覧や業務フロー、現行業務における課題と改善策の一覧表などの成果品が得られており、これらは、窓口関連業務の最適化検討に留まらず、今後の業務マニュアルの作成や改訂作業、業務手順の見直し等においても、活用を図っていきたいと考えている。
意見・要望
窓口関連業務等最適化検討支援業務委託事業は、約1,700万円をかけた委託事業である。業務ごとに運営されているシステム連携は調査の対象外と聞いているが、今回の業務調査により得られた成果品である「現行業務における課題と改善策の一覧表」などについては、さらなる業務改善に活用されるよう、よろしくお願いしておく。
【参考:2019年度(令和元年度)決算を審査する決算特別委員会】
【一般会計 総務・教育子育て常任委員会分】2020年9月30日
(1)令和元年度の財政状況について
(2)後年度の財政負担となる地方債残高について
(3)各基金の目的、現状と令和元年度の積立て、取崩しの状況について
(4)この街に住みたい基金積立金について
(5)一般会計から企業会計に対する繰出金について
(6)長期財政の見通しに対する評価について
(7)行政財産使用料等の収入未済について
(8)プレミアム付商品券事業経費について
【一般会計 市民福祉・建設環境常任委員会分】2020年10月5日
(1)市駅周辺再整備事業について
(2)その他雑入(障害福祉室)の収入未済について
(3)生活保護返還金について
(4)「施設保全整備基金」について
【参考:2020年度(令和2年度)予算を審査する予算特別委員会】
【一般会計 総務・文教常任委員会分】2020年3月16日
(1)自主財源である市税各税目の増減理由について
(2)市の人口構造の変化を見通した財政運営について
(3)各基金の現状と令和2年度予算に計上した積み立てと取り崩しの内容について
(4)特定目的基金である「この街に住みたい基金」について
(5)総合文化芸術センター整備事業について
(6)留守家庭児童会室の施設管理について
(7)市史編さんに要する経費について
(8)枚方市駅周辺再整備ビジョン推進事業について
(9)改訂版枚方市防災マップの作成について市駅周辺再整備事業について