枚方市駅周辺再整備における④⑤街区再整備計画について、市の計画が抱える問題点を解決できるもう一つの選択肢、「おるたなプラン」を意見しました。
枚方市議会議員の奥野みかです。
いま、枚方市政において、とても重要な課題の1つは、枚方市役所や枚方消防署の建替え問題です。伏見市長は、その2つをそれぞれ「移転」して建替える計画を進めようとしていますが、納得のいく説明ができないため、議会の賛成も得られず、具体化できない状況が長く続いています。
そこで私は、枚方市駅周辺再整備における④⑤街区再整備計画について、市の計画が抱える問題点を解決できるもう一つの選択肢・代替案、いわゆる「対案」を専門家の皆さんの協力を得てまとめ、「おるたなプラン」と名付けました。枚方市役所や枚方消防署のダブル移転ではなく、ダブル整備のプランとなっています。この「おるたなプラン」を市に意見することで、より具体的で建設的な議論と検討が進むことをめざしています。
どうぞ、この「おるたなプラン」をご覧いただき、皆さまのご意見・ご感想等についても、お届けいただければ嬉しく思います。
それでは、「おるたなプラン」の説明を始めます。
私は、自治体行政が果たすべき役割は、住民が安全・安心に暮らせるようにすることだと考えています。
枚方市駅周辺再整備における④⑤街区の再整備は、「公益」に資することを目指し、一刻も「速く」、「安く」、実現可能性の高い方策で確実に推進しなければなりません。
「現在の社会・経済状況の下で④街区にまで民間開発を誘導してもリスクが大きいだけ」と説明しましたが、④街区への民間開発誘導が不適切な理由について、少し深堀りします。
市の計画は「防災性の観点で⑤街区用地が有利」としていますが、天野川から税務署前までの府道枚方茨木線の高低差は6mもあります。そして、その府道に車が出ようと思っても、反対側の車両出入口から狭い道を通らなければなりません。また、駅からのペデストリアンデッキ構想もなくなっていますので、府道を超える歩行者のバリアフリーの動線の確保も非常に困難です。
「おるたなプラン」では、「洪水への対応は設計の工夫で可能」と説明しています。④街区新庁舎においても、諸室の階数配置の工夫と防水シャッターを設置することで、浸水5mまで対応できる庁舎の建設は十分に可能です。
庁舎移転での大阪府用地の取得をやめれば、④街区の市有地の売却は不要です。④街区の市有地にタワマン建設をさせる公益性はない上、将来、不良資産化するリスクが高くなることが懸念されます。
市の説明の中にある「ウォーカブルなまち」について、少し掘り下げてみましょう。
本来の「ウォーカブルなまちづくり」とは、歩いて行こうという気持ちにさせる「仕掛け」と動線を整備することであって、決して、歩かされる、歩かなければならない「仕掛け」ということではありません。
枚方消防署の現在地と、現消防署付近となる⑤街区消防署候補地、さらに、消防署候補地(旧中宮北小学校跡地)の位置図をご覧ください。「枚方消防署の中宮北小跡地移転は極めて不適切である」と説明しましたが、少し深堀りします。
この図は、2025年2月の全員協議会資料「参考資料1_災害時の防災性について_(3)地震・火災」に示されたものですが、赤で網掛けされたエリアは、「長屋など建蔽率が高く、小規模な木造等を含む家屋等が練炭する高密度な既成市街地であり、大規模災害時の耐震性の確保や道路幅員が狭い」地区であるため、④街区庁舎は、「主にRC造、鉄筋増などの建物で掲載される青で網掛けされたエリアに設置を想定する⑤街区庁舎に比べて課題が多いという説明でした。
市はこのエリアの状況を新庁舎立地のデメリットとしか見ていませんが、「大規模災害時の耐震性の確保や道路幅員が狭い」との課題について、新庁舎建設によって少しでも改善する方策を考えるのが本来の市政のあるべき姿ではないでしょうか。
この図は、枚方寝屋川消防組合から提供いただいたものですが、時速30㎞で走行したとの想定で、消防署所の現在地を中心点として、地図上に「5分消防・5分救急」の到達圏とする半径2.5㎞の円を描いた圏域図です。
直線距離で2.5km以内が「5分消防・5分救急」のシミュレーションということですが、到達圏の確認には、曜日や時間帯を変え、「想定出動」を繰り返して蓄積された現着時間の実証データからの判断が必要なのではないか、さらに、高層化・複雑化した枚方市駅周辺の建築物への消防対応シミュレーションも求められるのではないかと指摘したところ、消防組合からは、「シミュレーションの結果は、一つの客観的な指標であると認識している」との答弁もありました。
「おるたなプラン」の事業手法について、市の計画との相違点について、大きく2点、説明します。
まず1点目、大がかりな土地区画整理事業手法を採用する必要はありませんので、個別事業の組み合わせで早期に事業着手し、将来ビジョンにもとづいて段階的に具体化してきます。
次に、将来世代にも享受いただける公益事業であるため、起債も必要であると考えますが、将来財政負担を軽減するため、これまで、市駅周辺再整備を目的に積み増してきた基金を有効に活用するとともに、負担の平準化のための制度活用を検討しています。
「おるたなプラン」の骨格(ポイント)を5点にまとめてみました。
これまでの説明を踏まえて作成した、「おるたなプラン」のイメージ図をご覧ください。
「おるたなプラン」、④街区の平面計画図です。
◇防災公園整備エリア
みどりの大空間は、平時はイベントにも利用できる憩いと交流の場、災害時には防災公園となる「フェーズフリー」の公園となります。さらに、新庁舎と防災公園を一体整備することで、高度なインフラを新庁舎がバックアップして供給することが可能となります。新庁舎の備蓄倉庫も共用できます。
雨・暑さ対策のための大屋根を備えた公園、大屋根ひろばは、歩行者専用道路で安全を確保するとともに、平時も、災害時も、一体利用が可能となります。
◇市役所新庁舎整備エリア
駅からぺデストリアンデッキでつながる新庁舎、各種支援拠点となる別館、駐車場棟を記しています。各種支援拠点を別館とするのは、災害時の対応も含め、多様な市民への対応が可能となるよう、施設の有効活用を意図するものです。大型駐車場と駐輪場を整備することで、集約して効率化を図ります。
エリア隣接では、保健所跡地を⑤街区内の国有地の交換取得提案用地と想定し、サンプラザ1号館の事業対象ビル再築用・代替事業用地も想定して記しています。
また、速さを優先するため、私有地を避け、現況道路を利用しており、府道枚方茨木線(広域緊急交通路)への接続は将来課題としています。
「おるたなプラン」、④街区の道路計画図です。
◇防災公園整備エリア
「歩行者専用道路」は、車両の通行が制限できる道路です。歩行者の安全な通行を確保するため、普段は車両の通行を禁止し、歩行者のみが通行できる道路にします。緊急時には緊急車両が、イベント開催時には許可された搬入車両等のみ通行可能とします。
◇市役所新庁舎整備エリア
「自転車専用レーン付き道路」は、一方通行で、通過交通の流入を抑制します。自転車専用レーンを設置することで、歩行者と車両の動線を分離し、歩行者の安全を確保します。
「おるたなプラン」、④街区の動線計画図です。
◇市役所新庁舎整備エリア
行きたくなる市役所、対話や交流もでき、学びの場となる市役所であるためには、高齢者・障がい者・子ども連れの人など、移動が困難な市民のために、市役所はできる限り駅から近い便利な場所に置き、安全に、スムーズにアクセスできるようにすべきであると考えます。
枚方市駅から新庁舎や別館(各種支援拠点)への歩行者のバリアフリー・アクセスはペデストリアンデッキで可能となります。駐車場棟(立体駐車場)からのバリアフリー・アクセスも確保します。
なお、府道枚方茨木線からの車両アクセスは既存道路を活用して駐車場棟に進みますが、一般来庁者の車両と公用車の車両の動線は区別します。自転車は自転車専用レーンで、新庁舎や別館(各種支援拠点)の1階に設置する駐輪場に進みます。将来的には、府道枚方茨木線(広域緊急交通路)からの新たな道路を確保できればと考えています。
「おるたなプラン」、④街区のボリューム・イメージ図です。
◇防災公園整備エリア
駅前から広がる「みどりの大空間」(公園)は、平時はイベントにも利用できる憩いと交流の場、災害時は防災公園となる「フェーズフリー」の公園になります。そのために大屋根を備えた「ひろば」を作ります。公園には、災害時にも機能する電気・水道・トイレ・情報等のインフラを新庁舎がバックアップして供給します。
◇市役所新庁舎整備エリア
駅からつながるペデストリアンデッキからのアクセスも確認してください。
これは、「おるたなプラン」の骨格で示したポイント②「市役所新庁舎に伴う道路整備で周辺地域の防災力向上に寄与する」の具体化の事例です。
公園に避難できない、消防車が近づけないという現状から、避難経路を確保するとともに、いざというときには緊急車両が通行可能な歩行者専用道路を新設するというものです。新防災拠点からのアクセスもご確認ください。
「おるたなプラン」、⑤街区の平面図です。
◇新防災拠点整備エリア
枚方消防署と訓練施設の早期建替えが第一優先です。これは、枚方寝屋川消防組合の事業になります。
そして、国有地取得し、税務署移転が完了した後、市の事業として、防災拠点(兼)スポーツ施設を整備します。いずれも、浸水5mに耐える堅牢な設計で、災害時の地域の安全を守ります。
多額の借地料を支払っている中部別館、すなわち、土木部の現業部門の移転も検討しますが、北河内府民センター跡地活用については、枚方警察署の建替えに活用することを大阪府に要望していきます。
「おるたなプラン」、⑤街区のボリューム・イメージ図です。
「おるたなプラン」、⑤街区のボリューム・イメージについて、現消防署位置からの鳥瞰図を示しています。
洪水時に車両を一時避難させる屋上駐車場をご確認ください。
「おるたなプラン」、⑤街区の枚方消防署と、防災拠点兼スポーツ施設の建物断面図です。
◇新防災拠点整備エリア
⑤街区においては、枚方消防署の早期建替えの実現を最優先とし、併せて訓練施設等を一体整備します。その際、消防署の屋上には、洪水時の緊急車両の一時退避駐車場を配置します。地上からはスロープでつなげます。
そして、国有地取得し、税務署移転が完了した後、市の事業として、防災拠点(兼)スポーツ施設を整備します。災害時に、支援物資のロジスティックス、荷捌き場、受援等の拠点として機能する防災拠点、市の防災バックアップ拠点は、平時には、市民のスポーツ利用にも開放していきます。
「おるたなプラン」、⑤街区の枚方消防署と、防災拠点兼スポーツ施設の平面図と建物断面図です。
ここでは、枚方消防署について、市の計画である旧中宮北小跡地への遠隔地移転と、「おるたなプラン」における⑤街区での整備案を比較しています。
杉田口禁野線から住宅地に約300m入ったところに位置する旧中宮北小跡地の約1/4の約4,000㎡を想定する市の計画について、性質の違う施設を集約しても意味がないのではないか、スペースの共有はできないのではないか、音と安全に問題があるのではないか、さまざま懸念されます。
市の計画に対して、⑤街区に約3,800㎡を想定する「おるたなプラン」では、防災関連施設を集約し、スペースを共有して有効利用が可能であること、音を気にせず訓練や出動ができるというメリットがあります。
「おるたなプラン」、④⑤街区のボリューム・イメージ図をまとめてみました。
◇市役所新庁舎整備エリア
自治の拠点であり、災害対策の拠点となる市役所新庁舎の整備、そして、災害時には、防災公園と一体の支援拠点となる別館の整備を行います。
◇防災公園整備エリア
大屋根ひろばもある、駅前から広がる「みどりの大空間」(公園)は、平時はイベントにも利用できる憩いと交流の場、災害時は防災公園となるフェーズフリーの公園で、災害時には、インフラを新庁舎がバックアップして供給します。歩行者専用道路で安全を確保するとともに、一体利用も可能となります。
◇新防災拠点整備エリア
枚方消防署の早期建替えの実現を最優先にし、併せて訓練施設等を一体整備します。洪水時の一時退避駐車場は屋上に配置します。税務署移転後、市の防災バックアップ拠点を整備し、平時には市民のスポーツ利用に開放していきます。
⑤街区の国有地2件、4,000㎡と保健所跡地との土地交換が成立し、また、サンプラザ1号館については、枚方市駅南口駅前ロータリー広場の拡張整備を含む再整備事業で再築できればと考えています。
「おるたなプラン」、枚方市駅からの眺望(ボリューム・イメージ)です。
駅に隣接する③④街区に枚方市役所や国・府の公共機関、そして日々の憩いとイベント等の交流の場で、かつ大規模災害発生時には防災拠点となる広々とした公園が広がります。そして、その先の⑤街区には消防や警察などの拠点機関が配置されています。
~こうした駅前空間の創出により、枚方市は、「安全・安心なまち」という魅力をアピールすることができるのではないでしょうか。
④⑤街区内において枚方市が整備すべき施設の用地の大半は市・国の用地であるため、そもそも、大がかりな土地区画整理事業手法を採用する必要はない、と説明をしてきています。ここで、改めて「おるたなプラン」の事業手法の実現可能性を確認するため、④⑤街区における土地の所有状況を確認します。
図のように、市の計画とする④街区23,300㎡のうち20,000㎡は市有地です。一般地権者分は8件、3,300㎡です。図の中央部分になりますが、府道枚方茨木線に接する5件分、約1,900㎡は、「おるたなプラン」の対象に含んでいませんので、協議する一般地権者は3件、約1,400㎡のみとなります。
また、府有地を除く⑤街区8,700㎡のうち4,000㎡は市有地です。一般地権者分は2件、700㎡です。国有地約4,000㎡(2件)は市有地との交換による取得を想定しています。
「私有地の買収は必要最小限に抑えること」によって事業費を抑制することができるとともに、事業の具体化を早くすることができると考えます。
④⑤街区における土地の所有状況に、「おるたなプラン」を重ねてみます。
④⑤街区においては、市有地が24,000㎡(約80%)、協議の必要な一般地権者は5件、2,100㎡(約7%)、国有地が2件、4,000㎡(約13%)となります。「おるたなプラン」により売却・交換等の協議を整え、事業の具体化を早くすることができると考えます。
④⑤街区の計画案、「おるたなプランのまとめです。
早期着工のために、市有地を避けて計画しています。大風呂敷を広げる土地区画整理事業ではなく、個々の事業の組み合わせ、可能であれば、④街区における防災公園機能整備、道路整備、新庁舎敷地の整備等については、防災公園街区整備事業を活用して、道路とインフラの整備を行います。
まずは、防災公園整備エリアです。
みどりの大空間(防災公園)は、「平時はイベントにも利用できる憩いと交流の場、災害時には防災公園となる『フェーズフリー』の公園」となり、「雨・暑さ対策のための大屋根を備えた公園」、大屋根ひろばは、「歩行者専用道路」で安全を確保するとともに、平時も災害時も一体利用が可能」となります。さらに、インフラ供給拠点を設置し、災害時には、「電気、水道、トイレ、情報等のインフラを新庁舎がバックアップして供給」します。なお、「歩行者専用道路」はいざという緊急車両の通行は可能とするため、災害リスク地域により早く到達できる経路が確保されます。
次に、市役所新庁舎整備エリアです。
駅からぺデストリアンデッキでつながる新庁舎、各種支援拠点となる別館、駐車場棟を記しています。
エリア隣接では、保健所跡地を「⑤街区内の国有地の交換取得提案用地」と想定し、サンプラザ1号館の事業対象ビル再築用・代替事業用地を歩行者専用道路に面した場所に想定しています。
代替建物を含む必要台数が収納可能な大型駐車場と駐輪場を設置し、そこに駐車・駐輪を集約することで、地域の安全と効率化を図ります。
なお、速い整備を優先するため、私有地を避け、現況道路を利用していますが、府道枚方茨木線(広域緊急交通路)への接続は将来課題としています。
次に、新防災拠点整備エリアです。
屋上に一時退避用屋上駐車場を整備した枚方消防署と、併せて訓練施設の早期建替えが最優先課題です。枚方寝屋川消防組合の事業になりますが、市所有地と、もと医師会館用地で必要面積の約3,500㎡を確保します。
そして、税務署跡地には、市の防災バックアップ施設、防災拠点を整備し、平時にはスポーツ利用に開放します。
「おるたなプラン」、いかがでしょうか。
ここまで聞いていただいた皆さんの忌憚のないご意見、ご指摘等々、お寄せいただければ嬉しく思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。