枚方市駅周辺再整備基本計画に定める各街区内の整備だけが、本市におけるまちづくりではありません。「旧京街道エリアの整備について」について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告②です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
ここでは、「2.枚方市駅周辺再整備に関連する事業について」「(1) 旧京街道エリアの整備について」の報告です。
本市のまちづくりを考えるにあたって、枚方市駅周辺再整備基本計画に定める各街区と、空間的にも、機能的にも連続している地域、各街区の「区域」内ではないけれども、日常生活、そして、社会経済活動においても密接に関連している隣接地域の公共課題の解決についても、あわせて検討することが大切です。当然、「区域」内の整備だけが、本市におけるまちづくりではありません。隣接地域の公共課題について、「区域」外ということで放置していただいてはいけません。
「旧京街道エリアの整備について」の質問では、幼児療育園跡地活用、公設市場サンパークの取り扱い、そして、機能の承継の観点から、枚方宿鍵屋資料館内に移転している枚方文化観光協会や、解散した枚方市文化国際財団で担っていた文化事業・国際化事業等に関する課題について、順次、確認しました。
以下、6月26日の一般質問でのやりとりを掲載します。
2.枚方市駅周辺再整備に関連する事業について
Q.私の質問
枚方市駅周辺再整備基本計画に定める各街区内の整備だけが、本市におけるまちづくりではない。当然である。市内のさまざまな地域におけるまちづくりも重要であるし、とりわけ、再整備基本計画に定める各街区と、空間的にも、機能的にも連続している地域、各街区の「区域」内ではないけれども、日常生活、そして、社会経済活動においても密接に関連している隣接地域の公共課題の解決についても、「区域」外ということで放置していただいてはいけないので、順次、質問する。
(1) 旧京街道エリアの整備について
Q.私の質問
まずは、「 旧京街道エリアの整備について」の確認である。
ここでは、幼児療育園跡地活用、公設市場サンパークの取り扱い、そして、機能の承継の観点から、枚方宿鍵屋資料館内に移転している枚方文化観光協会や、解散した枚方市文化国際財団で担っていた文化事業・国際化事業等に関する課題について、順次、質問する。
最初に、幼児療育園跡地活用のための整備に向けた現在の状況については、一般質問2日目に公明党の千葉議員から同じ課題への質問があったので、予定していた内容を省略して、質問する。
幼児療育園跡地活用について、サウンディング型市場調査を実施する「前提」を確立するために、「旧施設の取り壊し後、敷地活用」という事業スキームと、「旧施設のリノベーション」という事業スキームについて、技術的・経済的などの観点からの比較検討を、市としてしっかりと行っていたのか、極めて疑問である。「旧施設の取り壊し後、敷地活用」としてサウンディングに臨んだかと思えば、1つの民間事業者からリノベーションを提案されたからと言って、再検討を始め、いま、時間がかかっているわけである。
そこで、質問する。
「既存建物の耐震補強工事等は、2014(平成26)年に実施済みであるものの、築50年以上経過した老朽建築物であるため、仮にリノベーションを行う場合、建築基準法への適合性及び老朽化に伴う改修の必要性等の懸念があり、この間、そうした課題への対応を含め、実現性などを考慮しつつ、事業スキームの『検討』に時間を要している」というご答弁であったが、この「検討」作業は、「民設民営」を打ち出して実施したサウンディング型市場調査の「前段」で行わなかったのか、伺う。
関連して、旧幼児療育園跡地で検討している観光交流施設の整備のために、という寄附者の意向を踏まえて受領している2億円の寄附の取扱いについて、現在、どのような状況であるのかについても伺う。
A.富田観光にぎわい部長の答弁
幼児療育園跡地の活用に向けて、既存建物については老朽化やバリアフリーへの対応など課題があり、除却を前提としているところであるが、昨年実施したサウンディング型市場調査により、民間事業者からいただいた既存建物の活用についての提案を含めて様々な、課題解決とあわせて最適な事業手法の構築に向け検討を行っているところである。
次に、2020(令和2)年10月に本市に対して寄附された2億円については、当該寄附の趣旨を踏まえ、本市として、枚方宿地区の歴史文化を生かした活性化や、賑わい創出のために活用したいと考えており、現在、幼児療育園跡地で検討を進めている、枚方宿地域におけるにぎわい創出の拠点整備に要する財源として活用できるよう、適宜、寄附者との協議を進めているところである。
O.私の意見・要望
次に、幼児療育園の跡地活用については意見である。
「民設民営」を打ち出して実施したサウンディング型市場調査の「前段」で検討をしたのかどうか、つまり、「事前」に検討したのかという私の質問への明確なお答えはなかったが、民間事業者からいただいた既存建物の活用についての提案を含めて、さまざまな課題解決とあわせて「最適な事業手法の構築に向け検討を行っている」とのご答弁であった。この間、空き家となった元幼児療育園の建物は放置され続けて、もう4年を過ぎた。
「スピード感」どころか、「超スローモーション感」の施策展開である。地元の皆さんは、「開いた口がふさがらない」とおっしゃっている。さっさと解体・撤去していれば、その跡地を五六市などにおいても有効に活用できたのではないか。具体的な民間提案も出てきていたかもしれない。
築50年以上も経つ老朽建築物についての取扱いについては、再度、早急に的確な判断をされるよう、改めて、強く求めておく。
Q.私の質問
次に、枚方市公設市場サンパークの1階店舗返還後の取扱いについて、伺う。
昨年12月に公設市場サンパークの営業が廃止となったが、それ以降、未だに公設市場条例も廃止されず、跡地活用についての情報も発信されていない状況となっている。
この公設市場の廃止について、外部意見として、産業振興対策審議会のご意見も踏まえて判断されると聞いたが、どのような意見が出たのか、また、今後の跡地活用について、どのように考えているのか、市の見解を伺う。
A.富田観光にぎわい部長の答弁
公設市場サンパークについては、枚方市西口公設市場商業協同組合より、昨年10月末に「営業廃止・店舗返還届出書」の提出があり、12月20日に営業を廃止され、原状回復の上、1月末に1階店舗部分について本市への返還が行われたものである。
公設市場の今後のあり方については、産業振興対策に関する重要事項を調査審議する枚方市産業振興対策審議会において審議をお願いしたところ(審議会資料18_枚方市公設市場サンパークについて)、公設市場サンパークが位置する枚方公園地域においては、民間商業施設の充実等により、近年では地域住民への日用品の安定供給が図られており、「この地域における公設市場として一定の役割は終えたと考えられる」とのご意見をいただいた。
こうしたご意見も踏まえ、今後の跡地活用について検討を進めているところである。
O.私の意見・要望
廃止した施設をほったらかし。せめて、暫定利用を考えて、機会の損失をなくしていただきたい。営業停止後、早くも6か月である。一体、どれだけ公共施設の「空き家」を放置するのかと、指摘しておく。
Q.私の質問
次に、これまでの機能の承継の観点からの質問である。
全員協議会の資料において、新たな観光情報発信拠点のレイアウトイメージ(案)が示されている。令和6年度、4月に運営主体を決定し、前期オープン予定とのことであった。また、イメージ図内には「ボランティアガイド」の記載もあるが、観光情報発信拠点であった市民ふれあいセンターの「枚方市観光ステーション」の閉鎖後、枚方文化観光協会や観光ボランティアガイドの拠点など、移転した機能の承継について、市はどのように考えておられるのか、見解を伺う。
A.富田観光にぎわい部長の答弁
新たな観光情報発信拠点については、市域全体の観光発信拠点として、観光情報冊子やデジタルサイネージによる情報発信に加え、カフェスペースや多目的スペース、キッズスペースといった機能を想定しており、今後、施設機能の詳細について決定していく。また、その運営については、広く民間事業者等の意見も取り入れていきたいと考えており、適宜、DMOをはじめ、枚方文化観光協会とも意見交換を行いながら整備を進めていく。
O.私の意見・要望
これまで、枚方文化観光協会や観光ボランティアガイドが担っておられた役割や機能をどこでどう存続し、どのように承継していくのかなど、ご答弁のとおり、枚方文化観光協会とも意見交換を行いながら整備を進めていただくよう、よろしくお願いする。
Q.私の質問
次も、これまでの機能の承継の観点からの質問である。
③街区に生涯学習市民センター機能・図書館機能等が設置された後、サンプラザ3号館の区分所有施設は売却の方針を打ち出されているが、売却までの間の暫定活用方法の具体化等についての検討も必要になってくると思う。
先の議案質疑において問題提起したところであるが、現在のサンプラザ生涯学習市民センター内、旧市民ギャラリー跡の国際交流推進ルーム機能の承継について、どのように考えておられるのか、市の見解を伺う。
A.富田観光にぎわい部長の答弁
サンプラザ生涯学習市民センター内の国際交流推進ルームについては、本市の国際化施策を推進する上で必要な機能であると考えており、日本語ボランティア養成講座等の本市主催事業、及び外国人市民への日本語学習のサポートや交流促進等を実施する民間団体事業の会場として使用している。
O.私の意見・要望
「国際交流推進ルームは、本市の国際化施策を推進する上で必要な機能である」とのご答弁である。日本で暮らす外国人市民が増加し、日本語教育・多文化共生の取り組みは、今後、ますます重要となる。国際交流推進ルームの機能については、サンプラザ生涯学習市民センター廃止後もしっかりと確保されるよう要望しておく。
この質問は、旧枚方市文化国際財団で担っていた文化事業・国際化事業等に関する課題についての確認でもある。
国際交流・国際理解についても、内なる国際化施策の推進についても、市として、「国際化施策に関する考え方」を示し、取り組まれているわけです。「観光にぎわい部観光交流課」が国際化施策の担当部署であるということは、市民にとっても、来訪者にとっても、なかなか想定できないと思われるので、一刻も早い組織名称の検討もお願いしておく。
Q.私の質問
次も、旧枚方市文化国際財団に関する質問である。
枚方市総合文化芸術センターは建設・開館したから、もう終了というものではない。充実した施設として運営するためには、市からの財政的な支援も必要である。
解散した枚方市文化国際財団の基本財産3億円は2021(令和3)年度に一般寄附として受けたとのことであるが、今後の文化・国際事業へ、この3億円はどのように活用されるのか、伺う。
A.田中総合政策部長の答弁
文化国際財団解散に伴う基本財産3億円については、一般財源(寄附)という性質上、一般財源として2021(令和3)年度に受け入れを行っている。
文化・国際事業は重要な施策と考えるが、当時受け入れた寄附金をそれらに使途を特定して活用を図ることは考えていない。
O.私の意見・要望
「一般寄附金として受けたから、一般財源として何にでも使わせてもらう。文化・国際事業に活用する考えはない」という、まるで「開き直り」のようなご答弁である。市が設立した公益財団法人の文化国際財団を解散する~このことは、市が法人設立の「目的」がもはや無くなったと判断したことを意味するのではない。財団という組織は、あくまでも政策実現の手段でしかなく、財団が担ってきた役割は、総合文化芸術センターの指定管理者なり、市の直営なりで担い続けられるのである。だとするならば、文化・国際事業を推進するために確保していた財団の基本財産は、市において基金のような形で引き継ぐべきだったのではないか。
例えて言うなら、「学資金など、子どもの将来に備えて貯めておいたお金を、預け入れ先の銀行を変えなければいけなくなって解約した途端に、生活費で使います」というようなことを市は行ったわけです。厳しい表現をすれば、解散した財団法人の財産をかすめ取ったようなものではないか。
今からでも遅くない。当時の寄附金相当の一般財源を文化・国際施策の推進・発展に役立てるための「特定目的基金」に積み立て、有効活用を図るべきだと意見しておく。
【参考】幼児療育園跡地活用について
▶ 3年6か月の議員活動のなかで取り組んできた大きな政策課題について、特集号としてまとめました。【2022年11月】
肢体不自由児の通園施設だった幼児療育園(三矢町)は、2019(平成31)年4月に市立ひらかた子ども発達支援センター(磯島北町)に統合され廃止された。市は、その後3年以上、廃屋のまま放置。五六市で賑わう旧京街道の中心エリアに位置していることから、私は地元の要望も踏まえ、早期解体、跡地活用を求めているが、市は観光交流施設整備の方向性を定められず、いまだに放置し続けている。
▶ 大切なことは、市が適切に公共的なファシリティ・マネジメントを行い続けること。「民設民営」を検討している幼児療育園跡地の活用について、質問しました。【2022年9月定例月議会_一般質問】
地元から利活用したいという要望もあったが、市は「民設民営」の(観光交流)施設を検討すると回答。「民設民営」という事業手法は、市が適切に公共的なファシリティ・マネジメントを行い続けている場合、その機能が働いている中では、有効な場合もあると考えるが、市の現状はどうなっているのか、確認。
▶2022年3月17日 予算特別委員会「幼児療育園の跡地活用について」
2022年度の市政運営方針で、民設民営での活用方法の検討が提案されている幼児療育園について、老朽化した施設の更新や解体にあたっても、地元への丁寧な説明が必要になる。アスベストの含有が想定される公共施設の解体について、公的機関が責任をもって実施するというのは当然のことかと思うが、そもそも解体工事というのは、騒音・振動・ほこりといった、周辺地域に及ぼす問題も大きいことから、公的機関が適切な管理のもとで責任をもって実施するべきであると意見。
▶ すぐにでも取りかかかれる市有資産の活用を放置するのは機会損失。幼児療育園跡地の有効活用について質問しました。【2020年9月定例月議会_一般質問】
すぐにでも活用可能な市有資産を放置することは、機会損失になることから、地元の要望も踏まえながら、今年度内の活用に向けての検討を要望。
▶ 2020年3月24日 予算特別委員会「未利用施設(元幼児療育園)の維持管理について」
用途廃止となった資産について、市として大きな機会損失とならないよう、例えば、建物の解体費用を基金から繰り出すシステムを構築されている他市事例も参考に、地元からの要望も踏まえた資産活用方策を早急に確立することを要望。
(2021年11月_藤棚も樹木もバッサリ。除草も行われスッキリ。下は2021年4月の桜・藤です。)
【参考】枚方市文化国際財団について
▶ 2022年9月28日 決算特別委員会
文化振興事業、国際交流推進事業を行うために市が出資して設立した枚方市文化国際財団の解散に伴い、寄附収受した資金については、そもそもの財団の設置目的であった国際化推進事業や、文化振興事業に資する財源となるよう、特定目的基金の設置を検討いただくよう要望。
▶ 誰一人取り残されない、多文化共生を。このまちに住む 外国人市民の安心につなげる。「国際化施策に関する考え方」について質問しました。【2021年9月定例月議会_一般質問】
(公財)枚方市文化国際財団の解散に伴い、財団から寄附収受した3億円余は、一般財源に組み入れるのではなく、財団の設置目的であった国際交流や文化振興に資する財源となる「特定目的基金」とするよう要望。
▶ 2021年3月18日 予算特別委員会
文化芸術の振興、国際交流等の推進のために市が出資して設立した公益財団法人の財産を枚方市が譲り受けるのであれば、市はこの資金を同一目的に活用する義務があるはずである。「特定目的基金」を設置して、総合文化芸術センターの運営費用などに充てるべきで、行財政改革の「効果額」として、何にでも使える「この街に住みたい基金」に積み立てるのは問題だと指摘。
▶ 枚方市文化国際財団の解散まで半年。財団が担ってきた役割をどのように引継ぐのか、新たな国際化施策推進体制などを確認するため、国際化施策の推進について質問しました。【2020年9月定例月議会_一般質問】
枚方市文化国際財団が担ってきた役割の適切な引継ぎも踏まえ、それぞれの取り組みの担当部署を明らかにするとともに、適切な進捗管理を行いながら、外国人市民に対する新たな課題への取り組みも展開していただくよう要望。
▶ 議案第18号「枚方市立生涯学習市民センター条例の一部改正について」(2023年6月定例月議会_議案審議)
新しくなる施設で、国際交流推進ルーム機能についてはどう対応するのか、しっかりと検討いただきたいと要望。