2月20日、枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について、全員協議会が開催されました。防災拠点機能を持つ④街区の公園・広場と隣接した、自治の拠点となる市役所新庁舎の整備、訓練施設のある枚方消防署庁舎の⑤街区への整備が、より早く、より安く、より効果的な安全・安心の拠点形成につながると訴えました。

2025/02/20

枚方市議会議員の奥野みかです。

2月25日から開催される3月定例月議会に先立ち、2月20日、「枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について」を案件とする全員協議会が開催され、10議員が質問に立ちました。(20日のみで終了)

資料:枚方市駅周辺再整備の取り組み状況について

01_枚方市駅周辺再整備の取り組みについて※抜粋はこちら。
02_参考資料1_災害時の防災性について 
03_参考資料2_新しい市役所本庁舎の整備に関するアンケート中間報告書
04_参考資料3_新しい市役所本庁舎の整備に関する個別意見聴取結果
05_参考資料4_「長期財政の見通し(令和7年2月) 抜粋」

 

枚方市駅周辺再整備について、③街区においては、2024年9月、複合施設「ステーションヒル枚方」がオープンし、北口駅前広場は、2025年度中の供用開始に向けて、拡張整備が進められています。しかしながら、④・⑤街区においては、2022年9月の定例月議会で、市役所の位置を⑤街区とする条例案が否決された後、説明会等を開催することにより市民や市議会への周知に取り組んだと言われるものの、その後、2年5か月半を経過するというのに特段の進捗は見られない状態が続いています。
老朽化し、危険建築物となっている現市役所庁舎について、大規模災害に備えるためにも早期に建て替えることが求められていることを踏まえ、④・⑤街区の取り組みの現状や、今後の想定スケジュール、新庁舎整備基本計画策定作業の進捗、③街区・②街区の取り組み、概算事業費の見直しなどについて報告するため、全員協議会が開催されることになりました。そして、3月の議会で、市役所の位置に関する条例の改正を提案する予定と、この後のスケジュールが示されました。

 

 

昨年2月の全員協議会は、それぞれの議員から市の示す考え方に対する問題提起、また、課題を指摘する意見が次々と展開され、「連鎖型まちづくりを止めない」と市が示す計画の実現可能性への疑念がさらに可視化され、「過ちを改めようとしないことが本当の過ちである」との痛烈な指摘もありました。

それからも1年経ちましたが、今回の全員協議会においても、さまざまな問題提起が続きました。さらに厳しい実態が明らかになった本市財政のこの後の見通しについて、駅から広がる「みどりの大空間」の実現可能性への疑問、広域緊急交通路への実際の接道の問題、税務署との合築の優位性への疑問、まやかしの土地区画事業想定、④街区市庁舎案の有効性、②街区のサンプラザ1号館の地権者協議会の動向、旧北河内府民センターのアスベスト対応について等々…。「まずは⑤街区への庁舎移転を進めて」、という市の答弁が目立ちました。論理的な検討を積み重ねた事業の目的や内容ではなく、理由も根拠もあいまいな「はじめにあった結論」に固執しているから、各議員に対する答弁も「ちぐはぐ」なものになっているのではないかと考えています。

私は、全体の5番目でした。次の3点について、順次、確認をしました。

1つは、市役所新庁舎位置をなぜ⑤街区にする必要があるのかということ。2つめは、市庁舎を⑤街区に移転するから、枚方消防署庁舎を遠隔地に移転するダブル移転のごり押しが消防体制上、適切かということ。3つめは、市庁舎を移転させてまで確保した④街区の再整備内容が枚方市のまちづくりにとって価値のあるものかということ。

具体的な質問項目の流れは以下のとおりです。

1.新庁舎移転が必要だとする価値判断について
(1)新庁舎の位置について
① ⑤街区でなければ実現できない新庁舎機能について
(2)枚方消防署の移転について
① 災害時の防災性の観点も踏まえての見解
② 市庁舎の⑤街区移転を優先し、消防力の適正配置上、合理性を欠く、枚方消防署の遠隔地移転について
(3)庁舎を⑤街区に移転させた後の④街区で整備しようとする都市機能について
① ④街区の公有地を手放してまで市庁舎を⑤街区に移転させる価値について
② ④街区の民間活力導入エリアのタワマン建設について

2. まちづくりにおける価値判断について
① 土地の高度利用、建築物の容積率について
② 高容積の区分所有建築物(タワマン)のリスクについて
③ 枚方市駅周辺における商業系・業務系の床の状況について
④ フェーズ・フリーの考え方に基づく公共施設の整備について

 

繰り返しになりますが、危機感をもって防災力のさらなる向上を図り、大規模災害に備えるということが本市の最優先課題であり、災害時にも行政機能を最大限に発揮することのできるとなる新庁舎、「自治の拠点」となる新庁舎は、④街区の防災拠点機能を持った公園・広場と隣接して一体的に整備されることが最も合理的です。その公園・広場は、フェーズ・フリーの考え方に基づき、防災公園機能を始めとする様々な魅力を持つ公園となるよう拡張整備を進める。⑤街区については、訓練施設や高度化された消防・救急機能などを備えた枚方消防署と、優れた機能を有した新しい枚方警察署が集積する地域づくりを、それこそ連鎖的に進めるべきであると私は考えています。このプランを支える目的や価値判断は、迫る大規模災害への備えとして、一刻も早く安全・安心のための拠点を整備しなければならないというものです。

M9.1が想定される南海トラフ巨大地震の地震発生確率について、国は30年以内に80%と公表していますが、約10年後に必ず起こり(2035年±5年)、その災害規模は東日本大震災より10倍大きいと伝えるようにしているという学者もおられます。想定の「前提」が誤ってしまうと、実際の発災時にはすべてが「想定外」となってしまいます。

枚方市駅前という中心市街地に、安全・安心なまちのための広々とした公的な空間や拠点施設を集積させることで、枚方市が何を大切にしているまちであるかを目に見える形でアピールできます。そして、それは、ありふれた他の都市の駅前にはない、極めて特徴のある、色あせない魅力となると考えます。

もし、安全・安心のまちづくりを最優先にした再整備を選択せず、賑わいがどうの、駅前居住・まちなか居住がどうのという価値判断で再整備を進めている途上に大震災に見舞われたら、その判断に対する責任は取れるのでしょうか。私たちは今、何を大切に判断しなければならないか、そのことしっかりと考えて政策判断をしなければ、主権者市民に対する責任は果たせないと最後に意見をさせていただきました。

以下に、質問のやりとりを掲載していますので、ご覧いただければと思います。

 

 

【公式YouTubeチャンネル(hirakatacity)/5.奥野の質問】

 


 

※以下は他の議員の質問に対する市長の答弁です。

市役所庁舎を⑤街区に置くことで枚方市駅周辺で進めたいまちづくりへの思いについて問われた伏見枚方市長の答弁は、例えば、箕面キューズモール、甲子園、宝塚歌劇団、キッザニア甲子園、高槻将棋会館。市内外からの集客による賑わいが経済効果を生むまちづくりを市駅周辺で推進したい!?というような内容でした。広大で貴重な④街区の市有地を手放してまで⑤街区に市庁舎を移転させる説得力のある、まちづくりに対する合理的な価値判断を、少なくとも市長の答弁に見出すことはできず、本当に残念でした。

※会議録は追って市のHPに掲載されますが、ここに文字起こしの内容を掲載します。

 

【公式YouTubeチャンネル(hirakatacity)/伏見枚方市長の答弁】

 


 

以下、当日の議場でのやりとりを掲載します。

1.市庁舎移転が必要だとする価値判断について
(1) 新庁舎の位置について
① ⑤街区でなければ実現できない新庁舎機能について

Q.私の質問

私の方からも質問させていただく。
今回の協議会で明らかにされなければならない大切なことは、次の3点である。
1つは、市役所新庁舎の位置をなぜ⑤街区にする必要があるのかということ。2つめに、新庁舎を⑤街区に移転させることにするから、枚方消防署の建て替えのための用地を隣接区域に確保できなくなり、所管区域外の遠隔地である旧中宮北小学校跡地に移転させるというダブル移転が必要となった。このことが本市の消防体制上、適切なのかということ。3つめに、市庁舎を移転させてまで確保した④街区の再整備内容が本当に枚方市のまちづくりにとって価値のあるものなのかということである。
そのような観点で、順次、質疑させていただく。

いったい、いつ、どのような市庁舎が、どこに、どのようにできるのか。市駅周辺再整備について、いま、何がどこまで進んでいるのかについての再確認である。
先の大地議員へのご答弁によると、最速で令和16(2034)年度の供用開始を想定している、とのことである。そして、新庁舎の移転後、④街区の現市役所庁舎の解体工事及び公園・広場の拡大整備を進めるとの説明だから、最速と言っても、気が遠くなるほど先の話になる。それでもなお、市庁舎移転が必要だとする価値判断について、改めて確認する。
新庁舎の位置について、「⑤街区」でなければ実現できない「新庁舎機能」というものがあるのか、伺う。

A.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁

⑤街区での新庁舎整備については、災害対策本部となる庁舎が広域緊急交通路に隣接することや、水害対策として地盤のかさ上げなどの対応がしやすいことなどの立地的な特性から、④街区に新庁舎を建てた場合と比較して、防災・減災機能に優れていると考えている。
また、現在、⑤街区にある枚方税務署との合築により、駐車場や会議室などが共有化でき、効率的な執務機能の配置など、施設規模の合理化につながることからも、優位性があると考えている。

Q.私の質問

「⑤街区」でなければ実現できない「新庁舎機能」なんて特にない、というご答弁である。
では、ただいまのご答弁でメリットに挙げられた「枚方税務署との合築」についてだが、国(税務署)との協議は、いま、どの程度、進んでいるのか、伺う。
また、「最速で令和16(2034)年度の新庁舎の供用開始」との想定について、国(税務署)とは共有できているのか、伺う。

A.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁

⑤街区にある枚方税務署との合築については、随時「枚方市における国・府・市有財産の最適利用推進連絡会議」などを通じて協議をしており、引き続き、⑤街区での庁舎の配置計画や合築庁舎の内容などについて協議を行っていく。今回お示しした市役所本庁舎の2034(令和16)年度供用開始をめざすスケジュール案についても、2025(令和7)年1月30日開催の連絡会議で共有しているところである。

O.私の意見

基本計画の策定(2021年3月)前の全員協議会(2020年12月)では、新庁舎の完成は「最短で令和13(2031)年」と説明されていた。
もう少し遡れば、2018年11月段階では、最短で2025(令和7)年の庁舎完成が可能」とあった。…どんどん遅れている。
一方、「④街区に新庁舎を立てた場合」は、「新庁舎の供用開始は、令和16(2034)年度以降となり、さらに国・府と確認した庁舎移転の方針から大きな変更となるため、大幅に遅れる」と示されているが、本当にそうであろうか。
考えてみていただきたい。④街区全体、約23,300㎡のうち、市有地は約20,000㎡(2ha)もあるわけである。この中で、段階的な庁舎移転を行えば新庁舎整備を早急に進めることは可能だと考える。

 

枚方市は長年にわたって「庁舎等周辺整備」に取り組んできたが、伏見市政におけるこの10年の取り組みの経過は、迷走に次ぐ迷走で、そもそも、④街区・⑤街区の再整備の目的はなんであったのかもわからなくなっているのではないか。老朽公共建築物の状態はどんどん悪くなる一方である。
先の決算審査の際にも、庁舎本館外壁落下事故に始まる改修工事におけるグダグダの手続きについて、また、老朽施設(第3分館)の存続対策(維持管理経費)にズルズル、ダラダラと、年間3,000万円~4,000万円など、多額のコストをかけていることを指摘したが、市民の皆さんからお預かりした貴重な税金が、「庁舎等周辺整備」に賢く使われて、機能しているとはとても思えない。
⑤街区で合築しようという国(税務署)との情報共有もあやしいものであるが、⑤街区から出ていく大阪府と、「最速で令和16(2034)年度の新庁舎の供用開始」、「令和15(2033)年度までに⑤街区の建築物の解体・整地等」というスケジュールの想定について、本当に共有できているのであろうか。
大阪府としては、④街区にも、⑤街区にも土地は要らない、すでに③街区の床を購入して移転しているので、もともと換地不交付でよいのだから、土地区画整理事業の「仮換地指定」等を受ける予定はない、そのように考えておられる。
実際、大阪府は「できる限り速やかに売却したい」という見解を文書として示されている。そして、土壌調査や石綿(アスベスト)調査等、商品化というのか、売却に向けた準備についても着々と進められているようである。財政的にいろいろと厳しい大阪府にとって、有効活用可能な資産を放置しておくことは損失でしかないわけである。
令和8(2026)年度には売却したいという話が出ているようですが、これは、「⑤街区」の北河内府民センター跡地を使いたいという本市が購入するということになるのでしょうか。売却が遅れ、不用府有資産の管理コストが継続するとなれば、大阪府の損失も看過できないものとなり、補償を求めてこられるかもしれない。

最初の質問で、新庁舎の「⑤街区」移転が必要だとする価値判断についてお尋ねしたが、理解できる合理的な説明は得られなかった。
そうであるのに、⑤街区市庁舎案に固執するから、枚方消防署及び訓練施設に必要な敷地面積を確保できない。だから、枚方消防署は、現在地隣接の⑤街区ではなく、遠隔地へと移転すると提案されたわけである。

(2) 枚方消防署の移転について
① 災害時の防災性の観点も踏まえての見解

Q.私の質問

そこで、次に、枚方消防署の移転について、災害時の防災性の観点も踏まえての見解を伺う。
去る12月議会の一般質問では、担当部長が「現在、浸水想定区域内に所在する枚方消防署を浸水想定区域外である旧中宮北小学校跡地に移転する場合は、国の緊急防災・減債事業債の対象となる可能性もあることから、浸水想定区域内である⑤街区への移転と比較して、財政的な面でのメリットも大きいと考えている。」と答弁された。
しかし、消防の役割としては、淀川という河川、また府道京都守口線や枚方大橋という主要道路、さらに、大規模な集客イベント等も開催される淀川河川公園の位置する枚方市から枚方公園エリアについては水難事故、交通事故などの日常的な発生事態、さらに、大規模イベントの抱える様々なリスク対応に関しても大きな役割を果たす必要がある。
だからこそ、枚方消防署庁舎については、その移転先用地は隣接地、すなわち、「⑤街区」内で確保することが好ましいとされていたわけである。
市駅周辺再整備でいうならば、平時もさることながら、発災時に災害対策本部となる市庁舎や、④街区に整備する防災機能を持った大きな公園(みどりの大空間)と、拠点となる消防署との連携も必須ではないだろうか。新町へ分離移転した消防本部とも元は一体だったわけである。
にもかかわらず、そうした役割や機能を弱める遠隔地移転を、発生確率の極めて低い淀川洪水の浸水想定区域外からの移転に対する国の支援という財政メリットで合理化するなどというのは、本末転倒だと考えるが、見解を伺う。

A.新内危機管理部長の答弁

枚方消防署の移転についてお答えする。
防災体制構築にあたっては、発生確率に関わらず、想定最大規模の災害を念頭に対策を講じる必要があると考えており、淀川破堤という大災害が発生した場合に、救出救助活動が継続できる消防庁舎を確保したうえで、災害対策本部となる市庁舎等と必要に応じて連携を図ることが、市の防災体制のより一層の強化につながると認識している。
また、将来、必要な消防庁舎の建設費用に国の事業債を活用できることは、候補地を選定するにあたり、重要なインセンティブになると考える。

O.私の意見

浸水想定区域内に所在する消防署を浸水想定区域外に移転する場合、国の緊急防災・減債事業債の対象となる可能性もあるとのことである。ちなみに、地方債の充当率が100%で、70%が地方交付税として交付される「国の緊急防災・減債事業債」は、令和7(2025)年度までの時限措置であるが、事業の趣旨に鑑み、延長が検討されているようである。旧中宮北小学校跡地に移転する場合、用地取得費用は発生しないので、対象は施設整備費用であろう。なお、浸水想定区域内で建て替えざるを得ない状況がある場合には、かさ上げなどの浸水対策を講じることにより同等の効果が見込まれれば対象となり得るようである。
市駅周辺まち活性化部長が、「⑤街区は水害対策として地盤のかさ上げなどの対応がしやすいことなどの立地的な特性がある」と答弁されていた。ですから、枚方消防署が⑤街区に移転する場合であっても、かさ上げなどの対策により、緊急防災・減債事業債の対象となる可能性もあるのではないかと意見しておく。

② 市庁舎の⑤街区移転を優先し、消防力の適正配置上、合理性を欠く、枚方消防署の遠隔地移転について

Q.私の質問

枚方消防署の遠隔地移転について、市長に伺う。
老朽化や訓練施設整備のために建て替えが必要であることが長年の課題であった枚方消防署庁舎の移転先用地は、隣接地である「⑤街区」内で確保することが好ましいというのが消防組合の考え方であった。しかし市長はそれを無視して、市庁舎の「⑤街区」移転を優先し、消防力の適正配置上、合理性を欠く、約2㎞離れた旧中宮北小学校跡地という遠隔地への移転を押し進めようとされている。
これは、本市の消防行政のトップであるにも関わらず、まちの安全や住民のいのちよりも、民間開発を優先する判断ではないであろうか。

A.伏見市長の答弁

消防署の立地については、さまざまな観点で検討する必要があるということで、これまでも検討してきたところである。もちろんのこと、5分救急・消防体制は非常に重要であるし、また、必要な土地の面積、それから、道路事情、それから先ほど部長からも答弁があったけれども、財政的なメリット、それから、これを枚方市所有の土地でどういうものがあるかということ等、総合的に判断したものである。枚方消防署が旧中宮北小学校跡地に移転した場合でも、「5分救急・消防体制」は引き続き確保できることは枚方寝屋川消防組合において確認している。まちの安全や住民のいのちを守るために必要な消防力は引き続き維持できるものと考えている。。

O.私の意見

「移転が適切」ではなく、「移転しても大丈夫」。それもまるで第三者機関に確認したような言い方をされるが、市長は枚方寝屋川消防組合の管理者である。
直線距離で2.5km以内が「5分消防・5分救急」のシミュレーションというのは、人命が安易な検討で済まされているのではないか。そんな声も届いている。「5分消防・5分救急」到達圏の確認には、曜日や時間帯を変え、「想定出動」を繰り返して蓄積された現着時間の実証データからの判断が必要であるという現場の声もある。さらに、高層化・複雑化した中心市街地である枚方市駅周辺の建築物への対応シミュレーションも求められるのではないであろうか。
市は、市役所新庁舎の整備位置に関しては、⑤街区が現庁舎のある④街区よりも災害対応上も優位であるとしながら、枚方消防署本署の設置位置となると、淀川堤防決壊による⑤街区の浸水リスクを持ち出す「二枚舌」を使われている。とにかく、いま、都合のいい場所を「流用する」といった考えではなく、市民の安全・安心を第一に考え、この先の枚方市を守り抜く消防署をあるべき場所に建て替え、さらには防災拠点の整備に繋げていくことが、消防組合としての課題ではないかと指摘しておく。

枚方市新庁舎基本構想(2021年3月)より抜粋]

 

(3)庁舎を⑤街区に移転させた後の④街区で整備しようとする都市機能について
① ④街区の公有地を手放してまで市庁舎を⑤街区に移転させる価値について

Q.私の質問

次に、庁舎を⑤街区に移転させた後の④街区で整備しようとする都市機能について、まずは、④街区の公有地を手放してまで市庁舎を⑤街区に移転させる価値について、伺う。
担当部長は、去る12月議会の一般質問で、「今後、時間をかけながら有効活用方法の調査・検討を進めていく考えであり、現時点では、民間商業ビルの複合施設など、どのような施設が立地するのかなどについて、決まったものはない。」と答弁された。枚方市が長年かけて庁舎の建て替えを可能にするための取り組みを進めてきた貴重な「④街区」の公有地を手放してまで実現しようという再整備の内容が全く見えないが、それでも庁舎を「⑤街区」に移転させる価値は何だと市長は判断されているのであろうか、伺う。

A.伏見市長の答弁

④街区の市有地では、都市再生緊急整備地域に指定されているメリットを活かし、民間活力を導入して多様な都市機能を誘導し、公園・広場と一体となった集客力が高く、回遊性が向上する魅力的なまちづくりを進める考えである。
また、老朽化が進む現庁舎の建て替えや、防災性の向上が、喫緊の課題となっており、これまで国や大阪府、その他の関係者とともに進めてきた連鎖型のまちづくりを実現するためにも、⑤街区において、新庁舎を整備する考えである。

O.私の意見

防災を言いながら、結局は「集客力」とやらを優先するお考えのようである。

② ④街区の民間活力導入エリアのタワマン建設について

Q.私の質問

では次に、④街区の民間活力導入エリアのタワマン建設について、伺う。
市長は、去る12月議会の一般質問で、「高層マンションのニーズが高いことを確認しているが、現時点で、特定の建物を誘致している事実はない」と答弁された。市長は「④街区」の民間活力導入エリアにタワマンが建設されることを否定しているのか。

A.伏見市長の答弁

④街区に関わらず市駅周辺では、夜間人口が少ないことが課題であるため、居住機能も必要と考えているが、民間活力導入エリアにタワーマンションも含めて、現時点で誘致を決めた施設はない。

O.私の意見

「④街区の市有地では、都市再生緊急整備地域に指定されているメリットを活かす」というのも、結局は民間開発の誘導である。
そこで、民間開発を誘導し、高い容積率の土地利用を進めることが本当に魅力的なまちづくりになるのかについて、順次、確認させていただく。

2.まちづくりにおける価値判断について
① 土地の高度利用、建築物の容積率について

Q.私の質問

まず、まちづくりにおける価値判断に関して、土地の高度利用、建築物の容積率についての質問である。
市長は、去る12月議会の一般質問で、「④・⑤街区は土地の高度利用を図るとしている都市計画マスタープランの考えに基づいて土地区画整理事業を進め、民間活力導入をする」旨の答弁をされた。また、「④街区」が市街化区域の1%にも満たない「商業地域」であり、ここを高度利用しないともったいないという趣旨の説明をされている。
都市整備において、高容積の建築物を整備することが良いなどというのは、バブル期までの発想であり、人口減少社会、日本経済の縮減が現実のものとなっている現在、時代遅れの発想ではないであろうか。実際、「まちの魅力」という観点でも、高容積の街区が魅力的というわけでもないと考える。
例えば、新町二丁目地区の旧クラボウ跡地における土地利用転換にあたっては、地区計画において容積率の緩和がなされたと思うが(準工業地域200→近隣商業地域300)、再整備された総合文化芸術センターや病院が立地している新町二丁目地区の地区計画区域の容積率は何パーセントの指定なのか、また、この地区の実績の容積率は何パーセントになっているのか、伺う。

A.中村都市整備部長の答弁

新町二丁目地区は都市計画で容積率を300パーセントに定めており、区域内に立地している施設の容積率は、ラポール枚方が約190%、総合文化芸術センターが約110%、病院が約200%となっている。

O.私の意見

容積率は300%だけれども、枚方市の新しいこの街区は実績としてはすべて200%までの容積率で整備されているが、とても魅力的なものである。
建築物のボリュームは、まちに大きなインパクトを与える。今ではどこの駅を降りても同じ顔、同じような都市景観ばかりになっていて、魅力的ではない。新町二丁目地区では、まちにとって真に必要な施設・機能が整備され、また緑や空間が大切にされたからこそ、豊かで魅力的な都市空間が実現されているのではないであろうか。

② 高容積の区分所有建築物(タワマン)のリスクについて

Q.私の質問

次に、まだ決まっていないということであるが、高容積の「まちなか居住地」、すなわちタワマンという建築物について伺う。現在、タワマンについては、建設するのもハイコストだし、多数の所有権者(区分所有者)で維持管理・修繕しながら長い年月良好な状態で維持するのも困難な集合住宅であるとの評価になってきている。加えて、現在では、大阪市内だけではなく、近隣駅周辺でも「雨後の竹の子」のように建設されている。そのような建築物を、わざわざ、市有地を売却までして「④街区」に整備させて、枚方市駅周辺の魅力が本当にアップすると判断しているのか。30年、50年先に禍根を残さない歴史的な判断だと確信を持って言えるのか。高容積の区分所有建築物(タワマン)の評価について、どうお考えなのか。

A.伏見市長の答弁

④街区において、これはタワーマンションに決まったものではないが、やはり、この民間活力導入エリアにおいて、民間活力を導入することによって魅力が高まる、そういったものを、集客、市外からも人が訪れてくれるような、そんな施設が来てくれればまちの魅力も上がるというふうに考えている。市有地の有効活用手法については、定期借地か、売却かはまだ決まったものではないけれども、市駅周辺再整備事業でめざすまちの早期実現に向けて、まずは庁舎の位置を確定し、まちづくりを進めていきたいと考えている。

O.私の意見

結局、伏見市長の答弁は、さしたる根拠もなく、ただただ「民間開発でまちが魅力的になる」と信じ続ける「民間開発万能教」の信者のようである。
ご自身が信心されるのは勝手であるが、市長の立場を振りかざして、現在、そして将来の市民にそんな信心を押し付けられては、迷惑千万である。
結局、市有地を手放してまで行おうとしている④街区の再整備の価値は、全く説明されていない。

③ 枚方市駅周辺における商業系・業務系の床の状況について

Q.私の質問

次に、民間活力導入エリアに導入しようとしている、商業・業務系の機能について伺う。
枚方市駅周辺では、商業・業務系の床はすでに過剰であり、サンプラザ1号館・3号館や「②街区」の老朽化ビルの建て替えなども控えている。このような状況であるのに、なぜ、「④街区」において公共的な土地利用をせず、民間開発事業を誘導するのか。床が過剰になれば、空き床が増加し、逆にまちの活力や魅力を損なう。
また、サウンディング調査時点から時間も経過し、社会経済状況の変化が著しい中、民間事業者からの提案がなければどうするお考えか。

A.伏見市長の答弁

④街区においては、駅が近い立地特性や都市再生緊急整備地域のメリットを活用し、民間投資を促す考えである。
今後、社会経済の状況や民間事業者のニーズを踏まえながら、民間事業者の投資意欲を低下させないよう、③街区の再開発事業の流れを連鎖型まちづくりとして④⑤街区に繋げていくため、まずは庁舎位置を確定させる必要があるものと考えている。

O.私の意見

民間投資を促しても、具体化されるかどうかは不明である。しかし、庁舎位置の確定、庁舎位置の確定と、繰り返し、答弁されるわけである。市役所新庁舎の移転だけは早々と決め、老朽化して危険な公共建築物は今後も解体しないままにする。そして、本市の消防体制にとって極めて大きな問題がある枚方消防署の移転をごり押しする。こうした判断は枚方市にとって公共的で、必要なまちづくりをないがしろにするものである。

④ フェーズ・フリーの考え方に基づく公共施設)の整備について

Q.私の質問

フェーズ・フリーの考え方に基づいて、防災機能と日常の楽しみ・魅力を一体的に提供する公園としての拡張整備を行い、その公園に隣接して、発災時の対応拠点ともなる新庁舎や子育て支援拠点機能を有する公共公益施設を整備する。南海東南海地震の発生に備えて老朽化した庁舎や公共施設の建て替えを早急に進め、安全安心などの価値を重視するまちであることを目に見える形でアピールする。
~こういったプランが、他の自治体にはない魅力ある中心市街地を形成することにもなるのではないか、市長に伺う。

A.伏見市長の答弁

⑤街区に新庁舎を整備するとともに、④街区のみどりの大空間については、様々なイベントや遊び、憩いといった等の日常的な機能だけでなく、オープンスペースを活用した災害時における一時避難所などの防災・減災機能の導入を図る考えである。

O.私の意見

都市の再整備というものは「手段」である。市庁舎の建て替えも「手段」である。そして、大切なのは、何のためにそれを行うのかという「目的」である。そして、問われるのは、その「目的」を支える「価値判断」です。

市庁舎を⑤街区に移転する「目的」は、④街区を民間開発させること。それが意味のあることだとする「価値判断」は、民間事業者による再開発で整備されるタワマンや商業ビルがまちを魅力的にする、というお考えのようである。

しかし、私は、「民間開発万能教」の信者ではないので、そのようには考えない。
タワマンという高層建築物は、最近ではどの駅前にも乱立していて、魅力的でも何でもない。その上、集合住宅として維持存続させるには大きなリスクがあることが明らかになってきている。
商業系や業務系のビルについては、枚方市駅周辺では、はっきり言って「過剰」である。さらに、駅に隣接しているビル、サンプラザ1号館や3号館、そして②街区内のビルの老朽化が進んでいるので、建て替えを進めなければならない。公有地に民間商業・業務系のビルを建てる必要性などないし、そんなことをすれば、枚方市駅周辺での「空き床」を増やすだけで、逆にまちの魅力や活力を損なうだけだと考える。

一方、私が求めていることは次のことである。

④街区ではフェーズ・フリーの考え方に基づき整備する防災公園機能を始めとする様々な魅力を持つ公園を拡張整備すること。そして、その公園に隣接して「自治の拠点」となる新庁舎や子育て支援拠点となる公益施設などを建てること。
そして⑤街区には、訓練施設を併設した枚方消防署の新庁舎を建設することである。
そして、あわせて大阪府に対して枚方警察署の建て替えを求めることなどである。
そして、このプランを支える目的や価値判断は、迫る大震災に対して、一刻も早く安全・安心のための拠点を整備しなければならないというものである。

先の一原議員に、拡大整備するみどりの大空間の一時避難所の指定も考えているとのご答弁があった。全くその通りだと思う。先ほども申し上げたが、④街区にフェーズ・フリーの考え方に基づき整備する防災公園、その公園に隣接して「自治の拠点」となる新庁舎や公益施設、そして、隣接する⑤街区に枚方消防署の整備。こういう安全、安心のための拠点の整備が必要なのではないか。

枚方市駅前という中心市街地に、安全・安心なまちのための広々とした公的な空間や拠点施設を集積させることで、枚方市が何を大切にしているまちであるかを目に見える形でアピールできる。そして、それは、ありふれた他の都市の駅前にはない、極めて特徴のある、色あせない魅力となると考える。

南海東南海地震が30年以内に発生する確率は80%とされている。もし、安全・安心のまちづくりを最優先にした再整備を選択せず、賑わいがどうの、駅前居住(まちなか居住)がどうのという価値判断で再整備を進めている途上に大震災に見舞われたら、その判断に対する責任は取れるのであろうか。
私たちは今、何を大切に判断しなければならないか、そのことしっかりと考えて政策判断をしなければ、主権者市民に対する責任は果たせないと意見させていただく。

 


 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【※以下、2025年2月_全員協議会資料より抜粋】

▶ 庁舎位置(④街区・⑤街区)の比較について

▶ 長期財政の見通し(2025年2月)抜粋抜

▶ 災害時の防災性について

 


【参考】

※2024年2月21日_全員協議会(生中継分)→youtu.be/jmA23dddOa4?t=21855]

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